概要情報
事件名 |
ネットユニバース |
事件番号 |
千葉地労委 平成 9年(不)第2号
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申立人 |
全日自労建設農林一般労働組合千葉県本部 |
申立人 |
全日自労建設農林一般労働組合千葉県本部成田空港支部 |
被申立人 |
株式会社ネットユニバース |
命令年月日 |
平成11年 8月27日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)従業員である日系外国人らが組合結成を公然化する直前に、同人らに対し、雇用期間を1年から2ヶ月とする短期雇用への契約更改を要求したこと、(2)組合公然化後、短期雇用契約に応じない組合員に対し、在留期間更新に必要な在職証明書の交付を拒否したこと、(3)本国への帰国休暇日数を短縮したこと、(4)組合からの脱退を勧奨したこと、(5)団体交渉申入れに対し、誠実に応じなかったこと等が不当労働行為であるとして申立てのあった事件で、初審地労委は、会社に対し、(1)在職証明書等の交付拒否を告知するなどした短期雇用契約要求の禁止、(2)雇用契約書未作成を理由とする在職証明書交付拒否の禁止、(3)申立人組合を誹謗中傷することによる組合運営への支配介入の禁止を命じ、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人所属組合員に対し、在留期間更新のための在職証明書等の交付拒否を告知するなどして、雇用契約の更新に当たり、雇用期間を短期2ヶ月とする要求をしてはならない。 2 被申立人は、申立人所属組合員から在留期間更新手続に必要な在職証明書の交付申請があった場合は、雇用契約書が作成されていないことを理由に交付を拒んではならない。3 被申立人は、申立人組合を誹謗中傷する等により、申立人組合の運営に支配介入してはならない。 4 その余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
2621 個別的示唆・説得・非難等
2ヶ月間の雇用契約提案は、従前の1年間の雇用契約を2ヶ月に短縮することに合理的理由は認められず、支部結成とほぼ同時期に行われたことなどを併せ考えると、支部組合員に対して心理的圧迫を加える威圧行為であり、これが撤回されない限り、組合員が心理的圧迫を受け続けて、支部の組織維持の障害となっていることは明らかであり、組合らに対する支配介入の一端を構成するものであるとされた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社が、支部組合員が2ヶ月間の雇用契約書に署名しないことをもって、同人らに在留期間更新に必要な在職証明書を交付しないことは、正当な理由とはいえず、組合らの運営に対する支配介入であり、支部の弱体化を企図した労組法七条三号に該当する不当労働行為に当たるとされた例。
2620 反組合的言動
2900 非組合員の優遇
会社が、支部組合員に対して組合本部や支部を誹謗中傷する発言をしたり、支部組合員以外の従業員に現金を配る行為は、支部結成と同時期になされ、会社が組合らを嫌悪する発言をしていたことなどを併せ考えると、支部の弱体化を企図した労組法七条三号に該当する不当労働行為に当たるとされた例。
1600 休暇の取扱い
組合らは、会社が従前は30日間認めていた帰国休暇を、支部結成後、14日間に短縮したことは、支部脱退の手段に利用する埠頭労働行為であると主張するが、帰国のため支部結成後も14日間を超えて休んだものが不利益処分を受けたという事実も認められないことから不利益取扱いとは認められないとされた例。
2252 署名・調印拒否
会社は第1回団体交渉で取り交わした確認書を第2回団体交渉当日に解約するなど、その対応に配慮にかける点が見受けられ、問題を生じてはいるが、これらは労使関係が未成熟のために生じたことといえ、労組法二条に該当する不当労働行為であるとまではいえないとされた例。
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業種・規模 |
運輸に附帯するサービス業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集114集292頁 |
評釈等情報 |
 
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