概要情報
事件名 |
徳島南海タクシー |
事件番号 |
徳島地労委 平成10年(不)第3号
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申立人 |
全国一般労働組合全国協議会 |
申立人 |
徳島南海タクシー二交替労働組合 |
申立人 |
徳島地域合同労働組合 |
被申立人 |
徳島南海タクシー株式会社 |
命令年月日 |
平成11年 7月 9日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)解雇した書記長が出席していること等を理由に書記長の解雇撤回及び車両担当基準等に関する団交を拒否又は不誠実な対応をしたこと、(2)口頭で合意した団交ルールの書面化に応じなかったこと、(3)事前に何ら協議することなく組合費のチェックオフを廃止したことが、それぞれ不当労働行為であるとして争われた事件で会社に対し、(1)解雇した書記長を団交担当者として認めること、(2)団交ルールについての協定書の作成、(3)書記長の解雇撤回に関する誠実断行の実施、(4)組合費のチェックオフの再開を命じ、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、X1を、申立人徳島南海タクシー二交替労働組合の労働組合法第六条に定める代表者として認め、申立人と誠実に団体交渉を行わなければならない。 2 被申立人は、団体交渉のルールについて、平成10年9月25日の団体交渉における合意事項を踏まえ、申立人と誠実に協議を尽くした上で、協定書を作成しなければならない。 3 被申立人は、X1の平成8年8月21日付け解雇に関し、申立人と誠実に団体交渉を行わなければならない。 4 被申立人は、組合費のチェック・オフに関し、本社従業員の過半数を代表する者から協定を締結したい旨の申し入れがあった場合には、書面による協定を締結した上で、申立人徳島南海タクシー二交替労働組合の組合費のチェック・オフを再開しなければならない。 5 申立人のその余の申立て及び請求は、棄却する。 |
判定の要旨 |
2121 被解雇者
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
労組法六条にいう団交の権限を有する組合の代表者には、執行委員長のみならず、執行委員なども含まれると解すべきであり、団交の席上、社長が、解雇した書記長の退席を求めたこと及び発言の制止をしたことは労組法七条二号及び三号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2252 署名・調印拒否
団交ルールについて、口頭で合意に至っていること、合意内容等に問題点があるのであればその旨について協議すべきであるにもかかわらずこれを行っていないことから、団交ルールの書面化を拒否することは労組法七条二号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2240 説明・説得の程度
2301 人事事項
書記長の解雇に係る団交において、会社は組合から何度も同問題についての説明を求められたにもかかわらず解雇理由などについて具体的な説明をしなかったことは、労組法七条二号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合費のチェックオフについて、過去12年間にわたり間断なく実施されており労使間の慣行として定着していたと認められること、会社は経営合理化をチェックオフ廃止の理由としているが、12年前に事務員の数が減っていること以外に合理化にむけて何かを行ったとの疎明もないこと、チェックオフを廃止する旨を口頭で通告したのみで組合の了承を得る努力がなされたとはいえないこと等から、本件チェックオフの廃止は労組法七条三号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2240 説明・説得の程度
車輌担当基準等に係る団交において、会社は十分な説明をしておらず、使用者の態度として問題がないとは言えないが、組合は会社に対し更にこの問題について追求することもなく、以降の団交においてこれらの問題が取り上げられることもなかったことから、本件における会社の態度は不当労働行為には当たらないとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集114集153頁 |
評釈等情報 |
 
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