概要情報
事件名 |
ジェーピーイー |
事件番号 |
埼玉地労委 平成10年(不)第1号
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申立人 |
ゼンキン連合埼玉ジェーピーイー労働組合 |
被申立人 |
ジェーピーイー株式会社 |
命令年月日 |
平成11年 3月25日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)平成9年度夏季及び冬季一時金に関する組合との団体交渉に誠実に応じなかったこと、(2)会社職制が朝礼において組合をひぼう中傷する発言をしたこと、(3)平成9年度夏季及び冬季一時金を組合員に支給しなかったこと、(4)同8年度夏季及び冬季一時金の支給に当たり組合役員を低く査定したこと、(5)組合員に対して組合からの脱退を勧奨したこと、(6)組合役員を配置転換したことが争われた事件で、埼玉地労委は、(1)平成9年度夏季及び冬季一時金に関する誠実団交応諾、(2)組合をひぼう中傷することによる支配介入の禁止を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、平成9年度夏季及び冬季一時金に関する申立人との団体交渉に、経営状況を明らかにする資料を提示するなど回答の根拠を具体的に説明して、誠実に応じなければならない。 2 被申立人は、申立人の組合活動をひぼう中傷して、その運営に支配介入してはならない。 3 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
2240 説明・説得の程度
2244 特定条件の固執
会社は、組合からの団体交渉の申し入れがなされるやにわかにX1の発言の撤回と謝罪がなければ団体交渉に応じられないと窓口論に終始し、いたずらに団体交渉の開催を遅らせる原因を作ったのであり、X1が発言の撤回を行った後に開かれた団体交渉においても、会社は組合の説明要求に何らこたえず、一方的に会社の言い分を述べる態度に終始したのであるから、会社の団体交渉に臨む態度は不誠実であり、不当労働行為に当たるとされた例。
2211 団交ルールの先議
会社側の不誠実な対応の積み重ねの末に組合の団体交渉申入れが行われていることを考えれば、組合側の提示している交渉条件が団体交渉ルールに即していないからといって、会社はこれをしゃくし定規に拒否する立場にはないわけで、逆に労使関係の正常化に向けて歩み寄ろうとの対応をなすべき立場にあったのであり、会社が団体交渉ルールにのっとった申入れを改めて行うよう組合に通告している経過によっても会社の不当労働行為性は阻却されるものではないとされた例。
2611 その他の従業員の言動
2620 反組合的言動
Y2部長代理の発言は、労働組合の一組合長としての立場を超えるものであり、むしろ会社の職制として、会社の意向を受けての発言とみるのが相当であり、その内容は、組合及び上部団体を直接的な言葉を用いて激しく非難し、ひぼう中傷するもので、組合の活動を強くけん制し、組合員を孤立化させる意図を持ったものであると認められ、また、朝礼という会社の指揮・管理下において行われている発言であることから、使用者側の対抗措置としては行き過ぎであり、不当労働行為であるとされた例。
1202 考課査定による差別
1300 転勤・配転
2621 個別的示唆・説得・非難等
組合は、夏季及び冬季一時金の組合役員に対する低査定、組合員4名の退職や組合脱退、X3執行委員長の配置転換は、組合の運営に対する支配介入であると主張するが、組合によるこれらの主張については不当労働行為であるとの疎明がいずれも十分になされていないので、採用することができないとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
一時金の不支給により組合員の生活に少なからぬ影響が生じていることは想像に難くないが、組合は仮支給を求めるなどの具体的な要求を会社に対して行っておらず、交渉が妥結しない以上、不支給をもって直ちに不当労働行為であると判断することはできないとされた例。
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業種・規模 |
電気機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集113集310頁 |
評釈等情報 |
 
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