概要情報
事件名 |
大島商会 |
事件番号 |
石川地労委 平成10年(不)第1号
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申立人 |
全国一般労働組合石川地方本部 |
被申立人 |
株式会社大島商会 |
命令年月日 |
平成11年 3月 9日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)組合からの団体交渉申入れの拒否、(2)運営している「ユートピア加賀の郷」で雇用する加賀の郷分会の組合員に対する大阪本社への人事異動、(3)加賀の郷の従業員休憩室内の組合掲示物の撤去、(4)人事異動に関連した加賀の郷分会組合員に対する脱退強要をしたことが不当労働行為であるとして争われた事件で、(1)組合から申入れのあった場合の団交応諾、(2)組合員X1及びX2に対する大阪本社への人事異動の撤回、(3)ユートピア加賀の郷の従業員休憩室内の組合掲示物の無断撤去の禁止、(4)所属組合員に対する人事異動の撤回を条件とした脱退慫慂などの支配介入の禁止、(5)文書掲示を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人から団体交渉の申込みがあった場合は、すみやかに誠意 をもって、これに応じなければならない。 2 被申立人は、申立人所属組合員X1及び同X2に対する平成10年2月25日付けの大阪本社への人事異動を撤回しなければならない。 3 被申立人は、申立人のコートピア加賀の郷の従業員休憩室内の組合掲示物を、申立人に無断で取り去ってはならない。 4 被申立人は、申立人所属組合員に対し、人事異動の撤回を条件に申立人からの脱退を慫慂するなどして、申立人の運営に支配介入してはならない。 5 被申立人は、本命令書写交付の日から1週間以内に、55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、下記内容を楷書で明瞭に記載して、ユートピア加賀の郷の従業員休憩室内の見やすい場所に、10日間掲示しなければならない。 平成 年 月 日 全国一般労働組合石川地方本部 執行委員長 X3 様 株式会社大島商会 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、石川県地方労働委員会によって労働組合法第7条1号ないし第3号の不当労働行為であると認定されました。今後このような行為を繰り返さないように留意します。 記 1 貴組合との団体交渉において誠意のない対応を繰り返し、また、貴組合からの度重なる団体交渉の申し入れを正当な理由もなく拒否したこと。 2 平成10年2月から3月にかけて、貴組合の組合員に対し、大阪本社勤務等の一連の人事異動を行ったこと。 3 平成10年2月21日、貴組合がユートピア加賀の郷の従業員休憩室内に掲示していたスローガン及び組合旗を無断で取り去ったこと。 4 平成10年2月22日、ユートピア加賀の郷の支配人代行が貴組合組合員に対し貴組合からの脱退を慫慂したこと。 |
判定の要旨 |
5120 使用者の不出頭
審問において被申立人が、審査関係書類を一切提出せず、また、何ら理由を示すことなく調査、審問の全期日に欠席し、権限を委任した代理人を出席させることなく、自ら反論の機会を放棄し、最終陳述も行わなかった例。
2240 説明・説得の程度
組合の要求した団体交渉について何ら理由を説明することなく期日を延期し、会社の経営内容や再建問題等に関する組合の説明要求についても一片の回答書を送付して済ますなど具体的説明をせず、また、交渉で一旦確認した事項を覆したりする誠意のない対応は、労組法第七条二号の不当労働行為に該当するとされた例。
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員を対象とした人事異動は、会社の業務上の必要性から行われたものでなく、会社の経営危機が表面化した中で、組合員に精神的な動揺を与え、その退職や組合からの脱退を意図したものであり、多数の組合員が会社を退職し、若しくは組合を脱退していることから労組法七条一号及び三号の不当労働行為に該当するとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
組合の書記長らに対する本社の指示に従い行動していた支配人代行による「組合を脱退するなら本社勤務の辞令は撤回する」旨の発言は、労組法七条三号に該当するとされた例。
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業種・規模 |
娯楽業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集113集246頁 |
評釈等情報 |
 
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