労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  信組情報サービス 
事件番号  東京地労委 平成 7年(不)第24号 
申立人  全労協全国一般東京労働組合 
被申立人  信組情報サービス株式会社 
命令年月日  平成11年 1月12日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、組合から申し入れのあった冬季一時金の3割減額支給問題及び組合掲示板設置の2項目のほか合計12項目を議題とする団体交渉において、(1)会社主張の理由やその根拠について組合の求める説明等を行わなかったこと、(2)決定権及び当事者能力を持たない者を団体交渉担当者としていることが、不当労働行為であるとして争われた事件で、東京地労委は、上記2項目について具体的な理由や基本的態度の説明を拒否・回避することなく誠実に団体交渉に応じることを命じた。 
命令主文  1.被申立人信組情報サービス株式会社は、申立人全労協全国一般東京労働組合が申し入れた、(1)平成6年12月20日付要求書第1項に関する団体交渉において、組合員に対する減額支給について具体的な理由の説明を拒否することなく、また、(2)同第2項のうち組合掲示板の供与に関する団体交渉において、掲示板設置に係わる会社の基本的態度について説明を回避することなく、それぞれ誠実に対応しなければならない。
2.その余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
2240 説明・説得の程度
冬季一時金3割減額支給問題の交渉にあたり、組合員に対する減額支給について具体的な理由の説明を拒んだことは、不誠実団体交渉に当たるとされた例

2240 説明・説得の程度
2306 便宜供与
組合掲示板設置の交渉にあたり、会社が設置場所につて検討するなどと答えたのであるから、たとえ会社として組合掲示板の設置を許容しないこととなるとしても、組合掲示板の設置に関する会社の基本的態度について組合に対し十分説明を行う必要性があるものとされた例

2240 説明・説得の程度
組合事務所供与の交渉にあたり、一時金や賃金等の議題との関係で交渉に入れず未解決状態となっている場合は、団体交渉の拒否とか不誠実な団体交渉とみなすことはできないとされた例

2231 組合の不誠実
2249 その他使用者の態度
時差出勤廃止の交渉にあたり、議題としながら議論に入らなかった後は団体交渉の議題にもしておらず、時差出勤そのものも実施されていない以上、会社の対応を団体交渉拒否ということはできないとされた例

2231 組合の不誠実
2249 その他使用者の態度
有給休暇取得の環境整備交渉にあたり、組合に対し、年次有給休暇取得を妨げられているとする具体例を示すよう求めたのに、これに応えず、一年余り経過後再度同様の指摘を受けて回答している以上、会社の交渉態度が不誠実であったとか、団体交渉を拒否したとはいえないとされた例

2240 説明・説得の程度
組合休暇付与の交渉にあたり、賃金等の緊急議題のため現実の団体交渉の場で議論できない状況にあったからといって、これを直ちに団体交渉拒否と断ずることは飛躍に過ぎるとされた例

2249 その他使用者の態度
明け休み問題の交渉にあたり、「就業規則どおりである」等との会社回答後、組合が団体交渉議題にも取り上げていないのであるから、交渉が中途のまま残っていることをもって不誠実な団体交渉とか団体交渉拒否とはいえないとされた例

2231 組合の不誠実
2249 その他使用者の態度
千葉移転問題の交渉にあたり、会社は組合の具体的要求の提出を待って交渉を進めようとしていたのに組合の対応が遅れたままになっているのであるから、会社の交渉態度を不誠実であるということはできないとされた例

2245 引き延ばし
2248 実質的権限のない交渉担当者
団体交渉の場での組合からの質問に対し、即答しないことや回答根拠の回避行為も、会社としての意思決定を受けた上でそうした態度をとったとみなせる場合は、当事者能力が与えられていないとはいえないとされた例

2234 団交の場以外での違法・不当行為
団体交渉中であっても、労働組合がその考え等を外部に知らせ、理解を求める等の「要請行動」は組合活動の一環として許容されるとされた例

1201 支払い遅延・給付差別
2250 未妥結・打切り・決裂
査定結果と冬季一時金減額支給の関連について、会社が組合を納得させる努力を尽くしたとは認め難いので、両者主張が対立したまま平行線の状態であるとは認められないとされた例

2247 解決済
一時金を異議なく受領したので解決済みであるとする会社主張は、支給当日にも3割の減額支給について会社に抗議していること、さらに、分会の公然化とともに組合がこの問題を団体交渉議題に取り上げていることから認められないとされた例

2300 賃金・労働時間
冬季一時金支給問題交渉について、一時金は賃金請求権の消滅時効にかかっており団体交渉事項ではないとする会社主張は、認められないとされた例

業種・規模  情報サービス・調査業(ソフトウェア業等)、広告業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集113集34頁 
評釈等情報   

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