労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  西日本旅客鉄道(第二島根賞与減額等) 
事件番号  島根地労委 平成 3年(不)第2号 
島根地労委 平成 4年(不)第1号 
島根地労委 平成 5年(不)第1号 
島根地労委 平成 6年(不)第1号 
申立人  国鉄労働組合米子地方本部 
被申立人  西日本旅客鉄道株式会社 
命令年月日  平成10年11月24日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が国労組合員に対して(1)平成2~5年度の年末手当、平成3~5年度の夏季手当を減額して支給したこと、(2)平成3~5年度の定期昇給にあたり、4分の1号俸減じて支給したことが争われた事件で、島根地労委は、(1)について各手当から減額した金額にそれぞれ年率5分を加算した金額の支払い、(2)について所定の4号俸昇給したものとして扱い、これにより生じた差額に年率5分を加算した金額の支払いを命じ、併せて、(1)、(2)に関する文書交付と文書による履行報告を命じ、その余の申立て(陳謝文の掲示)については棄却した。 
命令主文  1 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、別紙1記載の申立人国鉄労働組合米子
地方本部に所属する組合員等に対し、平成2年度年末手当において減額した別紙
1記載の金額に、それぞれ年率5分を加算した金額を支払わなければならない。
2 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、別紙2記載の申立人国鉄労働組合米子
地方本部に所属する組合員等に対し、平成3年度の昇給において、それぞれ所定
の4号俸の昇給があったものとして扱い、これに基づき各人別に算定される基本
給及び諸手当を再計算した金額から既に各人に支給した基本給及び諸手当の金額
を減じて得られる差額に、それぞれ年率5分を加算した金額を支払わなければな
らない。
3 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、別紙3記載の申立人国鉄労働組合米子
地方本部に所属する組合員等に対し、平成3年度夏季手当において減額した別紙
3記載の金額に、それぞれ年率5分を加算した金額を支払わなければならない。
4 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、別紙4記載の申立人国鉄労働組合米子
地方本部に所属する組合員等に対し、平成3年度年末手当において減額した別紙
4記載の金額に、それぞれ年率5分を加算した金額を支払わなければならない。
5 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、別紙5記載の申立人国鉄労働組合米子
地方本部に所属する組合員等に対し、平成4年度の昇給において、それぞれ所定
の4号俸の昇給があったものとして扱い、これに基づき各人別に算定される基本
給及び諸手当を再計算した金額から既に各人に支給した基本給及び諸手当の金額
を減じて得られる差額に、それぞれ年率5分を加算した金額を支払わなければな
らない。
6 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、別紙6記載の申立人国鉄労働組合米子
地方本部に所属する組合員等に対し、平成4年度夏季手当において減額した別紙
6記載の金額に、それぞれ年率5分を加算した金額を支払わなければならない。
7 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、別紙7記載の申立人国鉄労働組合米子
地方本部に所属する組合員等に対し、平成4年度年末手当において減額した別紙
7記載の金額に、それぞれ年率5分を加算した金額を支払わなければならない。
8 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、別紙8記載の申立人国鉄労働組合米子
地方本部に所属する組合員等に対し、平成5年度の昇給において、それぞれ所定
の4号俸の昇給があったものとして扱い、これに基づき各人別に算定される基本
給及び諸手当を再計算した金額から既に各人に支給した基本給及び諸手当の金額
を減じて得られる差額に、それぞれ年率5分を加算した金額を支払わなければな
らない。
9 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、別紙9記載の申立人国鉄労働組合米子
地方本部に所属する組合員等に対し、平成5年度夏季手当において減額した別紙
9記載の金額に、それぞれ年率5分を加算した金額を支払わなければならない。
10 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、別紙10記載の申立人国鉄労働組合
米子地方本部に所属する組合員に対し、平成5年度年末手当において減額した別
紙10記載の金額に、それぞれ年率5分を加算した金額を支払わなければならな
い。
11 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、本命令書受領の日の翌日から1週間
以内に、下記内容の文書を申立人国鉄労働組合米子地方本部に交付しなければな
らない。
                 記
                          年  月  日
 国鉄労働組合米子地方本部
  執行委員長 X1殿
                   西日本旅客鉄道株式会社
                    代表取締役社長 Y1
 当社が、貴組合の組合員に対して平成2年度年末手当の減額支給、平成3年度
昇給の減号俸、平成3年度夏季手当の減額支給、平成3年度年末手当の減額支給
、平成4年度昇給の減号俸、平成4年度夏季手当の減額支給、平成4年度年末手
当の減額支給、平成5年度昇給の減号俸、平成5年度夏季手当の減額支給及び平
成5年度年末手当の減額支給をしたことは不当労働行為であると島根県地方労働
委員会において認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
 (注:年月日は文書を交付した日を記載すること)
12 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、全各項を履行したときは、速やかに
当委員会に文書で報告しなければならない。
13 申立人のその余の請求を棄却する。
(別紙1~別紙10省略) 
判定の要旨  5001 将来における予防、不特定な内容の請求
5008 その他
労働委員会は、個々の事案に応じて適切な命令を出す裁量権を有しており、必ずしも厳格に申立人の「請求する内容」に拘束されず、それに仮に不特定・不明な部分があっても、それだけで申立てを却下すべきことにはならないとされた例。

5121 挙証・採証
勤務成績の査定を会社が実施し、その関係資料を所持しているが、これを公開せず、説明もしていないが、申立人が差別の外形事実の存在を立証し、公正さに嫌疑があると疎明した以上、会社は反証として査定の公正さを疎明しなければならないとされた例。

5200 除斥期間
組合は、当初申し立てていた組合員X2の平成2年度年末手当の減額について、審査の過程で平成3年度夏季手当が減額されたと変更したが、組合は平成2年度年末手当及び平成3年度夏季手当の減額支給に関する救済申立てをしており、この変更は、「請求する救済の内容」の基礎となる事実関係の変更であって、申立ての取下げと新たな申立ての提起とみることはできず、1年間の除斥期間を経過したとはいえないとされた例。

5121 挙証・採証
会社は社員ごとに作成した職務行動観察記録等で勤務成績を査定したとするが、それらの資料を明らかにすることなく、陳述書及び証人の証言だけでは、内容すべてを事実とみることができず、マイナス評価を受ける事実のあった者を含めて勤務成績の査定が公正に行われたとの疎明があったとはいえないとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
3700 使用者の認識・嫌悪
本件の夏季一時金、年末一時金、定期昇給について、減額し、又は減号俸したことは、国労を嫌悪した会社が、国労組合員であることを嫌悪した不利益取扱であり、国労組合員の組合活動を制約し、国労の組織の弱体化を図った支配介入であるとされた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集112集275頁 
評釈等情報   

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