労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  みのり学園 
事件番号  大阪地労委 平成 6年(不)第47号 
大阪地労委 平成 7年(不)第43号 
申立人  南嶺保育園労働組合 
被申立人  社会福祉法人みのり学園 
命令年月日  平成10年 7月17日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  学園が、(1)常勤保母の平成6年度夏季一時金の支給に際し算定基礎に特殊業務手当、主任手当を含めなかったこと、(2)夏期休暇を廃止したこと、(3)参加人数が多いことを理由に団交を拒否したこと、(4)組合の休憩室使用を許可しなかったこと、(5)平成7年4月1日以降組合執行委員長を主任保母から保母に格下げして主任手当を支給しなかったこと、(6)パート職員に平成6年度夏季一時金を支給しなかったこと、(7)組合執行委員長に執務机の移動を命じたこと、(8)保護者に対する1泊2日の園外保育中止の通知文に、組合に対する不信と反発をあおる内容を記載したことが、不当労働行為であるとして申立てがあった事件で、大阪地労委は、平成6年夏季一時金に手当を含んだものとしての取扱い、執行委員長の主任保母担当としての処遇、及び文書手交を命じ、(2)、(4)、(7)及び(8)については申立てを棄却した。 
命令主文  主          文
1 被申立人は、申立人執行委員長X1に対し、平成7年4月1日以降、
従前の主任保母相当として処遇し、従前の主任保母であれば得られたであろう賃
金相当額と既に支払われた賃金額との差額を支払うとともに、今後の主任保母相
当の職務内容について申立人と協議しなければならない。
2 被申立人は、常勤保母の平成6年度夏季一時金について、算定基礎に特殊業
務手当及び主任手当を含んでいたものとして取り扱い、これによって算出した額
と既に支払われた額との差額を申立人組合員に対して支払わなければならない。
3 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない

                 記
                              年 月 日
  南嶺保育園労働組合
   執行委員長 X1殿
                        社会福祉法人みのり学園
                         理事 Y1
  当社会福祉法人が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労
働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認め
られました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
                 記
 (1)主任保母であった貴組合執行委員長X1氏に対し、平成7年4月
1日付けで主任保母制度を廃止したことに伴い保母を命じたこと。
 (2)平成6年度夏季一時金の支給に際し、常勤保母について一時金の算定基
礎から特殊業務手当及び主任手当を除外したこと。
 (3)平成6年度夏季一時金をパートタイム職員に支給しなかったこと。
 (4)貴組合との団体交渉において、貴組合員の出席者が3名を超えたことを
理由に実質的に団体交渉を拒否したこと。
4 申立人のその他の申立ては棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
常勤保母の夏季一時金算定基礎の変更及びパート職員への夏季一時金不支給は、(1)労働条件の変更に際しては事前に協議するとの合意に反し、一方的に行われたこと、(2)常勤保母の従来の同一時金算定基礎は、7年間継続していたこと、(3)パート職員の一時金は、雇用契約書に定めはなかったが、数年前から支給されており、また、廃止の理由について何ら説明していないこと、(4)夏季一時金削減で不利益となった職員の大半は、組合員であったこと、(5)理事長が、組合員から個別に組合結成の事情を聴取したことからすると不当労働行為にあたるとされた例。

1600 休暇の取扱い
学園は夏期休暇の廃止を組合結成前に決定し、その説明をしていたのであるから、不当労働行為とはいえないとされた例。

2213 交渉人数
団交出席人数について労使の調整がつかない状況において、学園は、(1)自己の主張に固執する態度をとり続けていたこと、(2)自己の主張する団交出席人数を超えた場合の問題点等について十分な指摘をしていなかったこと、(3)組合等が、団交において学園側出席者をつるし上げたというほどの事実は認められないことから、組合側出席者が3名を超えた場合に、団交を打切るなどした学園の団交態度が不当労働行為とされた例。

3020 組合活動への制約
(1)組合結成前に休憩室の使用を許可したのは全職員を対象とした行事でかつ年数回であったこと、(2)組合結成直後に現金盗難事件等が発生し、施設管理を強化する必要が生じていたこと、(3)組合等が、不許可で休憩室を使用したこと、(4)保育園の業務の特殊性があること、(5)労使間で休憩室使用に関する合意がないことからすると、学園が休憩室の使用を許可しなかったことは、不当労働行為とはいえないとされた例。

1302 就業上の差別
組合執行委員長に対して執務机を事務室から0歳児室へ移動するように命じたことは、(1)職員の執務机をどこに配置するかは学園の業務管理事項で、学園の権限に属すること、(2)組合対策を含む学園の経営に関する協議を事務室で行うためには同委員長の机を移動しなければならない事情等が認められることからすれば、不当労働行為ではないとされた例。

2620 反組合的言動
1泊2日の園外保育のための三六協定締結を議題とする団交が継続している中で、事前に組合に通知することなく一方的に同保育の中止を決定し、保護者にその旨通知したことは、配慮を欠く行為と言わざるを得ないが、(1)同園外保育実施予定日の5日前になっても三六協定が未締結であったこと、(2)園外の施設を使用すること等準備に時間を要すること、(4)保護者への通知文書の内容も、特段組合に責任を転嫁するものとはいえないこと、(5)保護者は、既に、組合の機関紙等を通じて労使関係が正常でないことを知っていたこと、(6)組合員の協力なしに同園外保育を実施する場合、学園が子供の安全に不安を感じたとしても不自然ではないこと等から、不当労働行為とはいえないとされた例。

1200 降格・不昇格
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
学園が組合執行委員長を主任保母から保母に降格したことは、主任保母制度廃止の形をとっているが、学園の組織運営上の必要からなされたものと認められず、また、主任保母と組合執行委員長の立場が両立し得ないという学園の主張は採用できず、同人を降格して不利益に取り扱うとともに組合の弱体化を図った不当労働行為とされた例。

4401 原職復帰と他の措置を併せて命じたもの
4602 組合との協議を命じた例
組合執行委員長に対する原職相当の処遇、差額のバックペイ、原職相当職の内容協議及び夏季一時金について差額のバックペイを命じた例。

4505 その他
その後団交出席人数を理由とする団交拒否は行われていないことから、文書手交とされた例。

業種・規模  社会保険、社会福祉 
掲載文献  不当労働行為事件命令集111集139頁 
評釈等情報   

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