労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大協運輸 
事件番号  徳島地労委 平成10年(不)第1号 
申立人  全日本港湾労働組合四国地方本部徳島支部外3名 
被申立人  大協運輸株式会社 
命令年月日  平成10年10月30日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、(1)申立人ら3名を懲戒解雇したこと及びこれにより分会の壊滅を図ったこと、(2)分会結成後、申立人ら分会員に対する配車差別による歩合給の減額、夏季一時金の不支給、皆勤手当、通勤手当及び主任手当のカットをしたこと、(3)団交申入れに対して団交を拒否していることが、それぞれ不当労働行為であるとして争われた事件で、いずれも不当労働行為であるとして、(1)申立人ら3名の懲戒解雇がなかったものとしての取り扱い及び原職ないしは原職相当職への復帰、原職復帰までの間の賃金相当額の支給、(2)賃金差別の禁止及び賃金の差額支給、(3)勤続年数が同等の他従業員と同額の一時金の支払い、(4)誠実団交の実施を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人X2、同X3、同X4に対する平成9年12月15日付けの懲戒解雇がなかったものとして取り扱い、同人らを従前の担当車両ないしはこれに相当する車両の運転手に復帰させると共に、同人らに対して平成9年12月分以降原職に復帰するまでの間の各月分の賃金相当額を次の計算式により計算し、支給しなければならない。
  被申立人会社における非組合員である不定期便の大型車の運転手の平成9年12月分以降各月分の被申立人会社の賃金台帳による平均の歩合給(会社の給与明細書における「時間外手当」欄の金額及び「センター」と称する金額の合計額の平均額)をAとする。
   申立人X2の場合
  同人の基本給+A+皆勤手当(1万円)+通勤手当(5千円)+主任手当(1万円)
   申立人X3、同X4の場合
  同人らの各基本給+A+皆勤手当(1万円)+通勤手当(5千円)
2 被申立人は、上記申立人らに対して賃金差別をしてはならないと共に平成9年7月分から同年11月分までの各月分の賃金の差額として次の計算式により計算し、支給しなければならない。
  被申立人会社における非組合員である不定期便の大型車の運転手の平成9年7月分から同年11月分までの各月分の被申立人会社の賃金台帳による平均の歩合給(会社の給与明細書における「時間外手当」欄の金額及び「センター」と称する金額の合計額の平均額)をBとする。
   申立人X2の場合
  同人の基本給+B+無事故手当(2万円)+皆勤手当(1万円)+通勤手当(5千円)+主任手当(1万円)-既支給の各月分の給与総額(ただし、宿泊手当は除く。)
   なお、平成9年6月分の主任手当も不支給となっているためその額(1万円)も追給すること。
   申立人X3の場合
  同人の基本給+B+無事故手当(2万円)+皆勤手当(1万円。ただし、平成9年11月分は加算しない。)+通勤手当(5千円)-既支給の各月分の給与総額(ただし、宿泊手当は除く。)
   申立人X4の場合
  同人の基本給+B+無事故手当(2万円)+皆勤手当(1万円)+通勤手当(5千円)-既支給の各月分の給与総額(ただし、宿泊手当は除く。)
3 被申立人は、申立人 X3 に対する平成9年8月分の一時金(寸志)について同人と同等の勤続年数の他の従業員と同額を支払わなければならない。
  また、申立人 X2 、同 X3 、同 X4に対する平成9年12月分以降の一時金(寸志)についても、同人らが原職に復帰するまでの間、同様に支払わなければならない。
4 被申立人は、申立人全日本港湾労働組合四国地方本部徳島支部から平成9年10月28日付けで申入れのあった事項についての団体交渉に誠意をもって応じなければならない。 
判定の要旨  1107 その他
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社の主張する懲戒解雇事由はいずれも懲戒解雇を正当化するための名目的なものと言わざるを得ず、懲戒解雇の真の意図は、会社が分会の結成及びその正当な組合活動を嫌悪し、申立人らに対する不利益取扱いを行うと共に、分会の壊滅を図ったものとされた例。

1302 就業上の差別
分会結成以降の申立人らの歩合給が同種運転手に比しかなり減少しているほか、会社における仕事の割り振りが会社の指示により一方的に行われる形態であること、分会結成以降の申立人らに対する対応を勘案すれば、申立人らの歩合給の減少は、会社による同人らの分会結成、組合活動を理由とする不利益取扱いであるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
会社の夏季一時金を不支給とする理由には合理性がなく、結局分会結成等を理由とする不利益取扱いであるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
組合の給与基準明確化の要求に籍口して分会結成以降「皆勤手当」の支給基準を厳格化したことは、仮に全従業員一律の取扱いがされているとしても、労働条件の不利益変更について組合と一切協議せず一方的に行ったものであり、分会結成等を理由とする不利益取扱いに当たるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
分会結成後、「通勤手当」が支給されなくなったのは、会社が一方的に行った不利益取扱いであるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
「主任手当」は、管理監督的業務に従事しない申立人にも支給され、年功給的な性格のものであるから、分会の結成を理由に当該手当を支給しなくなったのは、会社の不当労働行為とされた例。

2232 宣伝活動
団交開催の前日の午後5時前電話での確認もせず一片のファックスで組合事務所あて団交の延期を申し入れたこと、団交当日の抗議行動が団交に関する協定違反に当たること等を理由に団交を拒否することは、正当な理由に基づかない団交拒否であるとされた例。

業種・規模  水運業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集112集225頁 
評釈等情報   

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