概要情報
事件名 |
アトムメディカル |
事件番号 |
埼玉地労委 平成 8年(不)第2号
|
申立人 |
全労協全国一般東京労働組合 |
被申立人 |
アトムメディカル株式会社 |
命令年月日 |
平成10年 7月 9日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
本件は、会社が、(1)昭和49年に締結された労働協約(人事同意条項)の解約、(2)朝礼における社長の組合活動に対する批判的発言、(3)組合の上部団体役員の団交出席拒否、(4)同役員の会社施設への立入拒否をしたことが不当労働行為であるとして争われた事件で、埼玉地労委は、(2)(3)(4)については、今後繰り返すことのないよう誓約する旨の文書交付を命じ、その余の申立て(労働協約の解約、文書掲示)は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人に対し、下記文書を本命令書受領の日から5日以内に交 付しなければならない(下記文書の中の年月日は、交付する日を記入すること。 )。 記 平成 年 月 日 全労協全国一般東京労働組合 執行委員長 X1 様 全労協全国一般東京労働組合アトム分会 分 会 長 X2 様 アトムメディカル株式会社 代表取締役社長 Y1 (1)平成8年6月3日の朝礼において、当社の代表取締役社長が、同年5 月27日及び同月30日に全労協全国一般東京労働組合アトム分会が実施した時 限ストライキに関して発言した一部に、正当な組合活動を抑制するものがあった こと、(2)当社が、平成8年6月5日、前記アトム分会との団体交渉に全労協 全国一般東京労働組合の役員が出席することを拒否したり、翌6日、同組合の役 員が当社の施設内に立ち入ることを禁止したことは、労働組合法第7条第3号に 該当する不当労働行為であると埼玉県地方労働委員会から認定されました。 よって、今後は、このような不当労働行為を繰り返さないよう誓約いたしま す。 2 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
3103 労働協約締結をめぐる行為
本件人事協定条項解約申入れについて、一連の経緯からみて、会社が分会の正当な組合活動を阻害し、分会消滅を企図していたという心証は得られないこと等から、会社が不当労働行為を行ったと断定することはできないとした例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
本件の朝礼におけるストライキに関する発言について、その一部に組合員を威嚇し、組合活動を抑制しようとした点があり、労組法七条三号の支配介入に該当するとされた例。
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
組合の上部団体役員が出席することを嫌悪し、団交開催を拒んだことは、第一義的には分会に選択権があるべき団体交渉出席者に介入した行為と言わざるを得ず、労組法第7条第3号に該当する不当労働行為であると判断された例。
3020 組合活動への制約
会社外部の者である組合の上部団体役員が参加する分会の集会について、施設利用を許可しないと業務上の機密保持の面からという会社の主張は容認できず、同役員が会社内の労使関係に口出しすることを嫌悪した結果であり、労組法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
|
業種・規模 |
精密機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集111集110頁 |
評釈等情報 |
 
|