概要情報
事件名 |
東洋学園 |
事件番号 |
愛知地労委 平成 7年(不)第7号-1
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申立人 |
愛知地域労働組合きずな東洋分会 |
申立人 |
愛知地域労働組合きずな |
被申立人 |
学校法人東洋学園 |
命令年月日 |
平成10年 3月 9日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
学園が、組合結成通知書の受取りを拒否し、組合員に組合からの脱退を働きかけ、組合の要求事項に関して組合員に対して直接釈明を求め、組合活動を制約する発言を行ったことなどが争われた事件で、愛知地労委は、(1)学園は組合に対し脱退勧奨・恣意的制約による支配介入を行わないこと(2)組合の要求事項について、組合員に直接釈明を求めることによる組合への支配介入・不利益取扱を行わないこと及びこれらに関する文書交付を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人所属の組合員に対し申立人からの脱退を働きかけること 及び職場の内外における申立人の組合活動を恣意的に制約することによって、申 立人の運営に支配介入してはならない。 2 被申立人は、申立人所属の組合員に対し、直接、申立人の要求事項について 釈明を求めることによって、不利益取扱いをしてはならず、かつ、これにより申 立人の運営に支配介入してはならない。 3 被申立人は、申立人それぞれに対して、下記内容の文書を本命令書交付の日 から7日以内に交付しなければならない。 記 当学園が、貴組合の結成通知書などの受け取りを拒否したこと、貴組合所属 の組合員に対し、貴組合からの脱退を働きかけたこと及び職場の内外における貴 組合の組合活動を恣意的に制約したことは、労働組合法第7条第3号に該当する 不当労働行為であり、また、貴組合の要求事項について、X1及びX2の 2組合員に対し、直接、釈明を求めたことは、労働組合法第7条第1号及び第3 号に該当する不当労働行為であると愛知県地方労働委員会によって認定されまし た。 今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 年 月 日 愛知地域労働組合きずな 執行委員長 X3殿 愛知地域労働組合きずな東洋学園分会 分 会 長 X4殿 学校法人東洋学園 理事長 Y1 4 その余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
4820 単一組織の支部・分会等
4825 その他
申立人適格を有した労働組合法上の労働組合であるか否かは使用者に対する分会員名簿や分会規約の提出が要件ではなく、労働組合法第2条及び第5条第2項に定める各要件を具備しているかどうかによって判断されるのであって、分会がかかる労働組合法上の要件を具備した労働組合であることは、当委員会が行った資格審査によって明らかであるから、分会には申立人適格が認められるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
理事長が分会結成通知の受け取りを拒否し、「誰が首謀者だ」などと発言したことは、分会の結成を嫌悪し、分会を結成したばかりの分会員らを威圧・牽制し、もって、組合活動を抑制しようとしたものとみることができ、組合の運営に対する支配介入であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
理事長の、学園が設置する別の学校の事務長に対する「組合と連絡をとりあっていないか」などとの発言は、同校での組合活動の状況を確認するためになした質問とみるのが相当であり、組合活動を妨害するための行為であるとまではみることができないとされた例。
2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
副校長の分会員に対する「組合をやめるわけにいかないか」などの発言は、組合からの脱退と組合活動の抑制を働きかけたものであって、組合の運営に対する支配介入であるとされた例。
1602 精神・生活上の不利益
校長及び副校長が分会員2名に対して組合の要求に関する釈明を求めたことは、不利益な処分を示唆しつつ業務命令としていわれのない釈明要求をなしたものであり、同人らに相当の精神的苦痛を与えたものとみることができ、組合の組合活動を嫌悪し、X1及びX2が分会員であることを理由とした不利益取扱いであるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
2901 組合無視
校長及び副校長が、組合を差し置いて分会員2名に対して直接釈明要求を行ったことは、組合の存在と活動をことさらに無視したものであって、組合の運営に対する支配介入とみることができるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3020 組合活動への制約
予備交渉における副校長の「学校の内外での組合活動は一切認めない」「学校を使うことも一切認めない」などの発言は、休憩時間中に職場外で行うすべての組合活動を禁止し、また勤務時間外に行う施設管理上特段の支障を生じないような職場での組合活動をも禁止したものであって、組合活動を恣意的に制約したものといわざるを得ず、学園による組合の運営に対する支配介入であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3020 組合活動への制約
副校長の「クラブ活動で時間外手当を要求されるのであれば、5時に終わると話をしなければならない」との発言は、学園の考え方を説明したものとみることもでき、必ずしもそれ自体を組合活動にかかわる不当な発言とみることはできず、この発言をもって、組合活動を制限し組合運営に対する支配介入があったとまではみることができないとされた例。
2612 従業員の親族・保証人・友人の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3420 従業員の親族・保証人・友人の言動
Y2は、理事長の意を受けて、学園への就職紹介者という自己の立場ないし影響力を利用して、分会員に対し組合からの脱退を働きかけたとみるのが相当であり、これは、学園による組合運営に対する支配介入であるとされた例。
2901 組合無視
3106 その他の行為
分会に対する文書のあて名に分会名が記されていないものの、「分会長F殿」と明記されており、単なる個人あてのものではなく、分会あてのものであることが明白であり、また文書の内容も分会が存在することを前提としたものとみることができ、支配介入にあたらないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
3410 職制上の地位にある者の言動
副校長は、学園側を代表して組合と労使交渉を行う立場にあったことが認められ、学園はその発言についてその責任を免れるものではないとされた例。
4614 文書手交のみを命じた例
組合は、陳謝文の掲示を求めているが、文書手交が相当であるとされた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集110集302頁 |
評釈等情報 |
 
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