概要情報
事件名 |
富山第一高等学校 |
事件番号 |
山梨地労委 平成 6年(不)第4号
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申立人 |
富山第一高等学校教職員組合 |
被申立人 |
学校法人富山第一高等学校 |
命令年月日 |
平成10年 2月17日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、学校が、組合の教育条件、労働条件の改善要求に対し、団交で十分な回答を行わず、組合が再三要求した学校側回答の根拠となる財務関係資料の提示を拒否したことが、不誠実団交の不当労働行為に当たるとして争われた事件で、富山地労委は、(1)一時加算金要求に関して、学校の主張根拠を明らかにできる資料を提示するなどした誠意団交を命じ、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人学校法人富山第一高等学校は、申立人富山第一高等学校教職員組合の一時加算金の要求に関する団体交渉において、被申立人学校の主張の根拠を明らかにできる資料を提示するなどして、誠意をもって交渉しなければならない。 2 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
2240 説明・説得の程度
使用者は、自己の主張を相手方が理解し、納得することを目指して誠意をもって団交に当たらねばならず、組合の要求や主張に対しその具体性等に応じた回答や主張を行い、その回答等の根拠を具体的に説明したり、必要な資料を提示する義務があり、合意を求める組合の努力に対しては、誠実な対応を通じて合意達成の可能性を模索する義務があるとされた例。
2240 説明・説得の程度
組合が財務関係資料の提示を求めることは学校の経営への介入である等の会社主張が、組合は財務関係資料の提示要求と労働条件や教育条件に関する要求事項との関連性を必ずしも明らかにしてはいないが、労働条件等に関する学校の回答について根拠資料の提示を求めている面もあり、学校は回答根拠を具体的に説明したり、必要に応じて資料提示しなければならないこともあるので、一概に経営への介入であるとして拒否することは許されないとして採用されなかった例。
2240 説明・説得の程度
組合の、教育条件に関する要求に対して、学校が財務関係の資料を提示して説明する状況にあったとまでは認められないとされた例。
2240 説明・説得の程度
2300 賃金・労働時間
組合の、給与・臨給に関する要求事項を具体的に協議するためには経理的裏付けと根拠がないと交渉が進展せず、臨給6ヵ月以上の要求の協議のためにも財源の裏付けが必要との主張が、給与・臨給は県に準拠し、県の動静を勘案して協議することで合意しているので、この確認書が何らかの事情変更がない限り支給基準の根拠になると解するのが相当であること等から、財務関係資料を提示して説明する必要があったとまではいえないとされた例。
2240 説明・説得の程度
2300 賃金・労働時間
組合の一時加算金導入の提案については、労使が確認書を取り交わした後に県が一時加算金を実施しており、確認書の前提に事情変更があったこと等から、学校は組合の提案を拒否する理由を説明し、必要に応じて資料を示すなど誠意をもって団交に応じる義務があったとされた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集110集77頁 |
評釈等情報 |
 
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