概要情報
事件名 |
福重 |
事件番号 |
大阪地労委 平成 6年(不)第68号
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申立人 |
大阪一般労働組合同盟福重労働組合 |
被申立人 |
株式会社福重 |
命令年月日 |
平成 8年 9月27日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が<1>X1委員長の辞任等を求めたこと、<2>組合を誹謗、中傷する発言や組合脱退を促進する発言等を行ったこと、<3>労使が同意した協定案に調印せず、その内容の一部を履行しなかったことが不当労働行為であるとして申立てがあった事件で、大阪地労委は上記<1>及び<2>について労組法7条3号の、上記<3>について労組法7条2号の不当労働行為に該当するとした。 |
命令主文 |
被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 大阪一般労働組合同盟福重労働組合 執行委員長 X1 殿 株式会社福重 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において労働組合法第7条 第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、この ような行為を繰り返さないようにいたします。
記 1 平成6年6月30日、当社専務取締役Y2が貴組合執行委員長X1氏に対し、 貴組合が結成されたことを非難し、執行委員長を辞任することを 求め、また、同年8月初旬、当社顧問Y3らが大阪一般労働組合同盟書記長 X4氏に対し、X1委員長及び貴組合書記長X5氏を組合役員から除 外するよう申し入れたこと。 2 平成6年8月22日、当社課長代理Y6が貴組合副委員長X7氏に 対し、会社倉庫移転に伴う休日出勤の調整の際に、組合は会社に逆らってはなら ない旨の発言を行い、また、同月29日の団体交渉の数日後及び同年9月16日 にY6専務がX1委員長に対し、貴組合を誹謗、中傷する発言を行ったこと。 3 平成6年9月29日、非組合員も含む従業員の面前で、当社取締役Y5が 、貴組合員X8氏に対し、同人が組合員であることを理由として、当初ス ピーチを約束していた同人の結婚披露宴への出席を断る旨の発言を行い、また、 X1委員長に対し、組合名で同取締役を脅迫する文書が届いている旨の偽りの 発言を行ったこと。 4 平成6年7月12日の団体交渉において貴組合と同意した事項の協定書案に ついて、正当な理由なく調印せず、夏季一時金の支給を除く事項の履行をしなか ったこと。 |
判定の要旨 |
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
「会社は過去の過ちを反省し、今後不当労働行為を行わない」旨の協定が成立したとしても、本件申立て事項がすべて解決され、会社の支配介入行為に対する組合員の不安が除去されたとは認められず、組合もなお救済を求めているとして救済利益はあるとした例。
2624 組合人事への干渉
会社による委員長への辞任要求や上部団体の幹部に委員長や書記長を役員から除外するよう申し入れたことが、役員人事に介入し、組合を支配することを企図した労組法7条3号の不当労働行為であるとした例。
2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社による組合を誹謗、中傷する発言や組合脱退を促進する発言等が、組合の弱体化や組合の組織拡大を妨害する労組法7条3号の不当労働行為であるとした例。
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業種・規模 |
パルプ・紙・紙加工品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集106集48頁 |
評釈等情報 |
 
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