労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  山口県桜ヶ丘学園 
事件番号  山口地労委 平成 7年(不)第1号 
申立人  山口県桜ヶ丘高等学校職員組合 
被申立人  学校法人山口県桜ヶ丘学園 
命令年月日  平成 9年10月15日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、申立組合の組合員に対して行った自宅待機の業務命令等及び出勤停止の懲戒処分等が、いずれも不利益処分及び支配介入に該当する不当労働行為であるとして申立てのあった事件である。
 山口地労委は、自宅待機の業務命令及び出勤停止の懲戒処分等がなかったものとして取扱い、その間受けるはずであった賃金及び一時金相当額と支払い済額との差額を支払うことを命じ、その余の申立て(教職員全員に対する確約書及び生徒の保護者に対する謝罪文の交付並びに金500万円の支払等)は棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員に対する平成6年8月30日付けの出勤停止を内容とする懲戒処分、同年9月8日付けの自宅待機を内容とする業務命令、同年11月15日付けの出勤停止及びけん責を内容とする懲戒処分、同月24日付けの自宅待機を内容とする業務命令、平成7年1月10日付けの校内研修を内容とする業務命令並びに同日付けの自宅待機を内容とする業務命令がなかったものとして取り扱い、申立人組合執行委員長X1、申立人組合員X2、同X3が受けるはずであった賃金及び一時金相当額と支払済額との差額を支払わなければならない。
 併せて、上記差額につき、既往のそれぞれの支払期日から支払済みまで年率5分で算出した金額を支払わなければならない。
2 申立人のその余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  0200 宣伝活動
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
4411 配転・転勤・出勤停止・下車勤等の場合
4415 賃金是正を命じた例
<1> 学園が発令した組合の執行委員長であるX1の平成6年8月30日における懲戒処分について、学園は、X1が以前の懲戒処分に対して反省の色が見られないこと、繰り返し学校及び校長を誹謗する文書を外部に配布したこと等を理由として挙げているが、これらの理由はいずれも合理性・妥当性を欠くものであることから、当該懲戒処分は組合及びX1らの組合活動を嫌悪して行った不利益取扱いであるとともに、組合の活動を封じ込めようとした支配介入であると認められた例。

1401 労務の受領拒否
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
4411 配転・転勤・出勤停止・下車勤等の場合
4415 賃金是正を命じた例
<2> 学園が発令した平成6年9月8日のX1の自宅待機の業務命令について、学園は、<1>の懲戒処分に対するX1の態度が反抗的であること等を理由として挙げているが、X1の態度は心情的にみて自然の成り行きであったと解されること、当該業務命令が<1>の懲戒処分の目的を達成するために命じられたものでこれの必要・合理性がないものと言わざるをえないことなどから、当該業務命令がX1の組合活動を嫌悪して行った不利益取扱いであるとともに、同人を組合から遠ざけることにより組合の活動を牽制しようとした支配介入行為であると認められた例。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
4411 配転・転勤・出勤停止・下車勤等の場合
4415 賃金是正を命じた例
<3> 学園が行った平成6年11月15日の組合執行委員長X1及び組合員X2に対する懲戒処分について、学園は、X1らが勤務時間中に団体交渉と称して理事長室で組合活動を行ったこと等を理由として挙げているが、当該団体交渉は議題に平成6年度賃金妥結を含む正当な組合活動であると認められることなどから、当該懲戒処分は学園がX1らの組合活動に対して報復的に行った不利益取扱いであるとともに、組合の活動を牽制しようとして支配介入行為であると認められた例。

1401 労務の受領拒否
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
4411 配転・転勤・出勤停止・下車勤等の場合
4415 賃金是正を命じた例
<4> 学園が行った平成6年11月24日の組合執行委員長X1らに対する自宅待機命令について、学園は、<3>の出勤停止処分に対して態度が反抗的であること等を理由として挙げているが、この処分は不当なものであり、X1らの態度が反抗的にであったのも自然の成り行きであったと解されることなどから、当該業務命令には必要性・合理性はないといわざるを得ず、従って、これは、学園がX1らの組合活動に対する報復的取扱いを徹底しようとした不利益取扱いであるとともに、同人らを組合から切り離し組合の活動を封じ込めようとした支配介入行為であると認められた例。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
4411 配転・転勤・出勤停止・下車勤等の場合
4415 賃金是正を命じた例
<5> 学園が発令した平成7年1月10日の組合執行委員長X1らに対する校内研修の業務命令について、これは山口地裁における<4>の自宅待機命令に関する仮処分決定を予想して同人らの反抗的態度を防ぐためのもので必要性・合理性を欠いていることから、X1らの組合活動意思を衰微させようとして行った不利益取扱いであるとともに、組合の活動を弱体化させようとした支配介入行為であると認められた例。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集109集81頁 
評釈等情報   

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