概要情報
事件名 |
浅田商事 |
事件番号 |
富山地労委 平成 8年(不)第4号
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申立人 |
浅田商事労働組合 |
申立人 |
全日本運輸産業労働組合富山県連合会 |
被申立人 |
浅田商事株式会社 |
命令年月日 |
平成 9年 7月15日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、<1>労働条件の改善や労使関係の確立及び一時金の支給等に関する団体交渉に誠実に応じなかったこと、<2>組合員である女子事務職員2名に対して嫌がらせを行い退職を強要したこと、<3>専務が団交の席上反組合的言動をしたこと及び組合員に対して上部団体からの脱退勧奨等の支配介入をしたことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 富山地労委は、<1>について誠実に団体交渉に応じること、<3>について支配介入の禁止及び<1>、<3>についての文書手交を命じ、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人浅田商事株式会社は、申立人全日本運輸産業労働組合富山県連合会 及び同浅田商事労働組合が、夏季及び冬季一時金その他労働条件に関わる事項に ついて団体交渉を申し入れた場合、誠実にこれに応じなければならない。 2 被申立人会社は、申立人組合所属の組合員に対して組合活動を批判したり、 浅田商事労働組合所属の組合員に上部団体である全日本運輸産業労働組合富山県 連合会からの脱退及び浅田商事労働組合の解散を求める等して、申立人らの組合 活動及び運営に支配介入してはならない。 3 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記の文書を申立人 組合に手交するとともに、日本工業規格B列1番の大きさの白紙に同文を楷書に て明瞭に記載し、被申立人会社休憩所の従業員の見やすい場所に毀損することな く10日間掲示しなければならない。 記 当社が行った次の行為は、富山県地方労働委員会から、労働組合法第7条第2 号及び同条第3号に該当する不当労働行為であると認定されましたので、今後こ のような行為を繰り返さないようにします。 1 貴組合が、平成7年12月3日に申し入れた事項及び平成7年の冬季一時 金について、誠実に団体交渉を行わなかったこと。 2 貴組合所属の組合員に対して組合活動を批判したり、浅田商事労働組合所 属の組合員に上部団体である全日本運輸産業労働組合富山県連合会からの脱退、 富山県地方労働委員会に対する不当労働行為救済申立ての取下げ及び浅田商事労 働組合の解散を求める等して、貴組合の組合活動及び運営に支配介入したこと。 平成 年 月 日 全日本運輸産業労働組合富山県連合会 執行委員長 X1 殿 浅田商事労働組合 執行委員長 X2 殿 浅田商事株式会社 代表取締役 Y1 4 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2245 引き延ばし
2300 賃金・労働時間
4420 団交を命じた例
<1> 会社の一時金等労働条件に関する団交申入れに対する申立人組合への対応は、一貫して申立人組合を無視するもので誠実さに欠けており、また、これまでの一連の対応からして、将来にわたっても会社の団交を拒否する蓋然性は極めて高いと言わざるを得ないことから、これら一連の会社の行為は労組法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとされた例。
1300 転勤・配転
<2> 女性従業員2名の退職強要について、両名が組合結成前より会社から嫌がらせを受けていたことを自認していることなどから、これが組合員ゆえの嫌がらせなのか、業務上の注意なのか判然としないこと、会社の言動に不当な動機や目的が存在したことを認めるに足る疎明もないこと、また、配転による身分上、経済上、生活上及び組合活動上の不利益なども認められないこと、更に、会社が、両名に直接退職を強要したとまでは認めることができないことから、組合員ゆえに不利益な取扱いを企図した不当労働行為に当たらないとされた例。
2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
<3> 団交の席上及び組合員らに対する専務の一連の言動等は、会社が団交拒否を続けている状況の中での発言であり、また、口外を禁じて秘密裡に組合員への圧力をかけている態様や組合員を個別に呼び出し、組合の解散、本件申立ての取下げ及び上部組合からの脱退を求めたこと等から考えると、組合組織の壊滅を企図し、申立人組合の内部運営に不当に介入する反組合的行為であり、労組法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
航空運輸業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集108集406頁 |
評釈等情報 |
 
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