労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  高宮学園(団交拒否) 
事件番号  東京地労委 平成 7年(不)第38号 
申立人  労働組合東京ユニオン 
被申立人  学校法人東朋学園 
被申立人  株式会社日本入試センター 
被申立人  学校法人高宮学園 
命令年月日  平成 9年 7月 1日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、被申立人らが、平成7年春闘において、<1>組合の団体交渉委員のうち1名が同業他社の従業員であることを理由として、団体交渉を拒否したこと、<2>その後の団体交渉において、賃金及び財務、経営に関する資料の開示をしないことが、不当労働行為であるとして争われた事件で、学園の行為はそれぞれ労組法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、学園に対し、<1>団体交渉応諾、<2>賃金及び財務・経営に関する資料の開示、<3>地労委への履行報告を命じた。 
命令主文  1 被申立人学校法人高宮学園、同株式会社日本入試センターおよび同学校法人東朋学園は、申立人労働組合東京ユニオンから団体交渉の申入れがあった場合、同業他社の従業員が申立人組合の交渉委員となっていることを理由に、団体交渉を拒否してはならない。
2 被申立人らは、申立人組合に対し、各被申立人が有する学歴区分別の新卒標準年齢から4ないし5年経過した者の各基本給および調整給等を記載した給与表並びに各被申立人の職員のうち、高校・短大・大学の各新卒採用者で、平成6年4月1日付で定期昇給を行った年齢満25歳・30歳・35歳・40歳・45歳の者の基本給および調整給の最高額・最低額・平均額を一覧表化した資料を交付しなければならない。
3 被申立人らは、今後、申立人組合から、賃金引上げないし夏期賞与の回答に関し、その根拠を質された場合、被申立人らの経営状態ないし経理状態を具体的に記した団体交渉用資料を作成し、これを申立人組合に交付のうえ、誠実に団体交渉に応じなければならない。
4 被申立人らは、第2項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。
5 申立人のその余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  2123 その他交渉出席者
 法人側が、団体交渉の場から同業他社の従業員である組合側交渉委員の団体交渉の退席を求め、組合がこれを拒むと、法人側交渉委員が退席したことには合理的な理由がなく、労働組合法第7条第2号の団体交渉拒否に該るとされた例。

2211 団交ルールの先議
 組合からの求めにもかかわらず、法人側が賃金以外の要求項目については文書で回答しなかったとしても、そのこと自体をもって直ちに団体交渉拒否の不当労働行為を構成するとまではいえないとされた例。

2240 説明・説得の程度
 法人側において、学歴区分による新卒標準年齢から数年間のみのものであることを明確に応答したり、賃金テーブルが法人側に存在しない事情等を縷々説明して、組合の理解を得る努力を行った形跡は認め難く、新卒標準年齢から数年間のみの賃金テーブルすらも公表できないとの態度をとり、かつその理由も何ら明確に述べない頑な態度をとり続けたので、賃金テーブルの開示問題をめぐる法人側の対応は、組合に対し誠意あるものであったとはいい難いとされた例。

2240 説明・説得の程度
 法人側が提出した資料は、新聞や雑誌の掲載記事の写しであり、その内容も、春闘賃金引上げや夏期賞与の法人側回答を根拠づけるに足るものであるとは認め難いから、これらの資料の提示をもって、法人側が団体交渉に誠実に対応したとはいえないとされた例。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集108集355頁 
評釈等情報   

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