概要情報
事件名 |
岳南朝日新聞社 |
事件番号 |
静岡地労委 平成 6年(不)第5号-1
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申立人 |
日本新聞労働組合連合 |
申立人 |
日本新聞労働組合連合関東地方連合会 |
申立人 |
新聞労連岳南朝日新聞労働組合 |
被申立人 |
株式会社岳南朝日新聞社 |
命令年月日 |
平成 9年 5月22日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、<1>組合員6名を編集部門等から営業部門等に配置転換したこと、<2>組合員X1に対し、平成6年7月分給与から責任手当の支給を停止したことが争われた事件で、<1>組合員2名に対して行なった配置転換の撤回及び原職復帰、<2>組合員X1に対し、平成6年7月以降同人が受け取るはずであった月々の責任手当相当額を支払うこと、<3>文書手交を命じ、その余の申立て(4名の配転発令撤回及び誓約分の手交)は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人新聞労連岳南朝日新聞労働組合に所属する組合員X2、同X1に対して行った平成6年7月21日発令の人事異動を撤回し、同人ら両名を異動前の原職に復帰させなければならない。 2 被申立人は、申立人新聞労連岳南朝日新聞労働組合に所属する組合員X1に対し、平成6年7月以降同人が受け取るはずであった月々の責任手当相当額を支払わなければならない。 3 被申立人は、申立人新聞労連岳南朝日新聞労働組合に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 平成 年 月 日 新聞労連岳南朝日新聞労働組合 執行委員長 X3 様 株式会社岳南朝日新聞社 代表取締役 Y1 貴組合所属の組合員に対して行った平成6年7月21日及び同年10月12日発令の各人事異動は、静岡県地方労働委員会において、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 4 申立人らのその余の申立は、いずれも棄却する。 |
判定の要旨 |
1300 転勤・配転
会社が、組合員X2を編集部門から企業等から広告をとる営業部門に、組合員X1を総務・編集等の部門から新聞購読の勧誘を行う新聞拡張部門に、それぞれ異動させたのは、被配転者に職務上の不利益等を与えたもので、労組法7条1号に該当する不当労働行為である。
4614 文書手交のみを命じた例
会社が、組合員に対して行った第1次異動発令(平成6年7月21日発令)から第2次異動発令(同年10月12日発令)の間に、組合員7人が組合に脱退届を提出していること、各人事異動が従来と異なり組合に対し十分な説明もなく一方的に行われていること、第2次異動において組合脱退者に対する異動と組合役員に対する異動を対比すると前者の方が優遇していることが否定できないこと等からみて、これら各人事異動は、組合組織の弱体化を意思して実施されたもので、労組法7条3号に該当する不当労働行為である。
1201 支払い遅延・給付差別
会社が、経営危機を理由に一方的に組合員X1の責任手当(28,000円)の支給を停止したことは、組合員であることを理由とした不利益取扱いであり、労組法7条1号に該当する不当労働行為である。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
組合員X1は、結審時において解雇されているが、解雇を争っていることが認められ、配転の撤回及び原職復帰を命ずる救済利益は消滅していないとされた例。
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業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集108集128頁 |
評釈等情報 |
 
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