労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大沢生コン 
事件番号  東京地労委 平成 3年(不)第45号 
東京地労委 平成 4年(不)第70号 
申立人  総評全日本建設運輸連帯労働組合 
申立人  総評全日本建設運輸連帯労働組合東京地域支部 
被申立人  大沢生コン有限会社 
命令年月日  平成 8年12月 3日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が、<1>組合員に対し乗車勤務させなかったこと及び配車差別をしたこと、<2>組合員X4及びX7を定年後継続雇用しなかったこと、<3>組合員X5を解雇したこと、<4>組合員X6を懲戒解雇したことをめぐって争われた事件で、東京地労委は、<1>組合員8名の手当額是正、差額支払い(年5分加算)、<2>組合員に対する配車差別の禁止、<3>組合員X4及びX7の継続雇用、X5の解雇撤回、X6の懲戒解雇撤回並びに各人の原職復帰及びバック・ペイ(年5分加算)、<4>ポスト・ノーティス、<5>履行報告を命じた。 
命令主文  1(1) 被申立人大沢生コン有限会社は、申立人組合の組合員X1、X2、X3、
X4、X5、X6、X7およびX8に対し
、<1>1回の運搬量を法定積載量として、<2>月間走行距離を下表の各期間
における非組合員であるミキサー運転手(第1認定した事実6(6)別表1から
6)の乗務した平均距離として、<3>平成2年8月8日から同6年5月31日ま
で、1日当たりの運搬回数を下表のとおり運搬したものとして取り扱い、これを
各々組合員らの出勤日数に乗じて手当額(無事故・職務・業績の各手当を含む。
)を算出し、その金額と既に支払った手当額との差額を支払わなければならない

 但し、X8に対しては、平成6年5月10日から31日までの手当額の
差額とする。(表略)
 (2) 被申立人会社は、平成6年6月以降についても、申立人組合の組合員
に対し、組合員であることを理由に配車差別を行ってはならない。
2 被申立人会社は、申立人組合の組合員X4に対し、平成3年2月16日定
年となった後も継続雇用したものとして取り扱い、原職に復帰させるとともに、
定年の翌日から原職に復帰するまでの間、継続雇用されたならば支払われるはず
であった賃金相当額を支払わなければならない。
3 被申立人会社は、申立人組合の組合員X5に対する平成3年7月4日付
退職がなかったものとして取り扱い、原職に復帰させるとともに、退職の翌日か
ら原職に復帰するまでの間、退職しなかったならば支払われるはずであった賃金
相当額を支払わなければならない。
 但し、平成3年7月5日から同年8月26日までは休職扱いとする。
4 被申立人会社は、申立人組合の組合員X6に対する平成3年7月31日
付懲戒解雇がなかったものとして取り扱い、原職に復帰させるとともに、解雇の
翌日から原職に復帰するまでの間、解雇がなかったならば支払われるはずであっ
た賃金相当額と既に支払われた金額との差額を支払わなければならない。
5 被申立人会社は、申立人組合の組合員X7に対し、平成4年8月18日
定年となった後も継続雇用したものとして取り扱い、原職に復帰させるとともに
、定年の翌日から原職に復帰するまでの間、継続雇用されたならば支払われるは
ずであった賃金相当額を支払わなければならない。
6 被申立人会社は、第1項(1)および第2項及至第5項の支払額に対して、
各支給日の翌日から支払日まで、年5分の割合による金員を付加して支払わなけ
ればならない。
7 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、55センチメートル
×80センチメートル(新聞紙2頁大)の大きさの白紙に、下記の内容を楷書で
明瞭に墨書して、会社事務所の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければ
ならない。(文書略)
8 被申立人会社は、第1項(1)および第2項乃至第7項を履行したときは、
すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
2901 組合無視
本件配車差別は、会社が分会結成を嫌悪して、組合員らが過積載を拒否したこと及び残業はしないと申し入れたことを奇貨として、組合員であることの故をもってなされたとみるのが相当であり、不当労働行為であるとされた例。

1302 就業上の差別
2901 組合無視
会社が組合員に対し乗車勤務させなかったことには合理的理由はみられず、会社は、分会結成を嫌い、組合員に対し乗車勤務させないことにより、意図的に一種の懲戒処分を行ったとみるのが相当であり、不当労働行為であるとされた例。

1106 契約更新拒否
X4、X7両名の勤務状況が問題であったため継続雇用しなかったとする会社の主張は採用できず、上記両名を定年退職扱いとしたことは、組合員であることを嫌って、社外に放逐することを企図してなしたとみるのが相当であり、不当労働行為であるとされた例。

1106 契約更新拒否
会社が分会結成を嫌悪していることが認められることからして、会社は、X5が組合員であることを嫌い、社外に放逐することを企図し、就業規則の休職期間満了時の復職の手続規定に籍口して退職させたとみるのが相当であり、不当労働行為であるとされた例。

1102 業務命令違反
会社は、分会が結成されたことを嫌い、X6に対し、脱退勧奨に応じないとみるや、その言動をとらえ、事実関係を明らかにすることもせず一方的に無期限の乗務禁止としたうえ、始末書等の提出をしないことにかこつけて懲戒解雇したとみるのが相当であり、不当労働行為であるとされた例。

4411 配転・転勤・出勤停止・下車勤等の場合
本件申立に係る配車差別については、申立以降もその差別が継続していたことが認められるので、申立以降についても配車差別の是正を命じない限り、救済の実効性が得られないとされた例。

業種・規模  窯業・土石製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集106集209頁 
評釈等情報   

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