概要情報
事件名 |
鳥栖交通 |
事件番号 |
佐賀地労委 平成 5年(不)第1号
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申立人 |
全日本運輸一般労働組合福岡地方本部 |
被申立人 |
鳥栖交通株式会社 |
命令年月日 |
平成 8年 7月 8日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が<1>X1執行部の引き下ろし及び組合の福岡地本からの脱退を目的として管理職による組合誹謗発言、組合役員人事介入、組合大会開催妨害等の様々な支配介入行為を行なったこと、<2>X1及びX2を貸切バス乗務から除外したことが不当労働行為であるとして申立てがあった事件で、佐賀地労委は、X1に対する貸切バス乗務から除外したことについては不当労働行為の成立を認め、X1が希望する場合の貸切バスへの乗務と地労委への文書報告を命じたが、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、X1に対し、貸切バス乗務の意志を確認し、同人が貸切バス乗務を希望する場合は、本命令書受領後1か月以内に正規の貸切バスの乗務ないし予備の貸切バスの乗務員として貸切バスに乗務させなければならない。 2 被申立人は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。 3 申立人のその余の申立ては、棄却する |
判定の要旨 |
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
Y1社長の入社面接時のX3に対する発言は、組合活動を抑圧しようとする意図がうかがわれるが、X1が組合の執行委員長に就く以前の発言であり、X1執行部の引き下ろしを目的とした支配介入とは言えない。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
2803 その他
新組合事務所の使用に際し、会社が組合に対し、組合事務所に鍵をかけるな、組合看板を出すなと言ったことには、その使用を制限する一定の事情が認められ、しかも、会社と組合との間で合意が成立しているのであるから、当委員会はその当否を論じる必要はない。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
5200 除斥期間
Y2部長のX4に対する「新入社員のリーダーとなって、X1執行部を引き下ろせ。」という旨の発言は、管理委託路線の受託に同意しようとしないX1執行委員長を引き下ろすことを目的とした組合に対する介入行為である。しかし、この事実は、申立時既に1年以上経過している。
2611 その他の従業員の言動
2620 反組合的言動
Y3係長のX3に対する「運輸一般は共産党系だから言うことを聞いたら会社がつぶれる。」旨の発言については、Y3係長は労組法2条1号の利益代表者でなく、この発言の後、Y4社長は、会社の幹部及びY3に対し、組合に対する発言を慎むよう訓示していることから、この発言は会社の意を受けてなされたものとも判断できない。
1302 就業上の差別
X2を貸切バス乗務から除外したことについては、X2が貸切中止時の乗務手当等が不支給なことに不満を持ち、指定された貸切バス乗務を拒否し、会社の説得にもかかわらずX2は貸切バスに絶対乗務しないと言い張ったことから会社が止むを得ず行ったことで不当労働行為とはいえない。
1401 労務の受領拒否
X2本人の乗務要求や福岡地本からの団交申入れを行ったにもかかわらず貸切バスに乗務させないことは、X2が担当部長を通して乗務要請をするように言われているのにY2部長のところに行っておらず、また、福岡地本の団交申入れの際にX2の件は団交として取り上げないことで会社と組合は意見の一致をみていた。
1302 就業上の差別
X1を貸切バス乗務から除外したことは、X1の執行委員長としての組合活動を嫌務して行った不当差別であり、労組法7条1号に該当する。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(バス専業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集105集145頁 |
評釈等情報 |
 
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