事件名 |
西日本旅客鉄道 |
事件番号 |
島根地労委 平成 2年(不)第2号
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申立人 |
国鉄労働組合米子地方本部 |
被申立人 |
西日本旅客鉄道株式会社 |
命令年月日 |
平成 8年11月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含
む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が本件組合の組合員を職場秩序違反、組合バッチ着用等
の理由により懲戒処分や訓告処分を行い、これらの処分を理由として賃金減額、昇給減号俸、期末(夏季)手当の減額を行ったこ
とが不当労働行為であるとして申立てがあった事件で、島根地労委は<1>懲戒処分等がなかったものとしての取扱い、<2>減
額した賃金の支払い(年率5分加算)、<3>昇給減号俸分の是正と是正された昇給号俸による賃金再計算による差額支給<年率
5分加算)、<4>夏季手当減額分の支払い(年率5分加算)、<5><1>~<4>に関する文書交付等を命じ、その余の申立
て(年率6分加算、陳謝文の掲示)を棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、別表1記載の申立人国鉄労
働組合米子
地方本部に所属する組合員に対する、平成元年12月7日付け及び同月9日付け
並びに平成2年2月2日付け及び同月3日付けの懲戒処分等をなかったものとし
て取り扱わなければならない。
2 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、別表2(省略)記載の申立人国鉄労働
組合米子地方本部に所属する組合員に対し、当該懲戒処分等の発令月の翌月の賃
金から減額した別表2記載の金額に、それぞれ年率5分を加算した金額を支払わ
なければならない。
3 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、別表3(省略)記載の申立人国鉄労働
組合米子地方本部に所属する組合員に対し、平成2年度の昇給において、それぞ
れ所定の4号俸の昇給があったものとして扱い、これに基づき各人別に算定され
る基本給及び諸手当を再計算した金額から既に各人に支給した基本給及び諸手当
の金額を減じて得られる差額に、それぞれ年率5分を加算した金額を支払わなけ
ればならない。
4 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、別表4(省略)記載の申立人国鉄労働
組合米子地方本部に所属する組合員に対し、平成2年度夏季手当において減額し
た別表4記載の金額に、それぞれ年率5分を加算した金額を支払わなければなら
ない。
5 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、本命令書受領の日の翌日から1週間以
内に、下記内容の文書を申立人国鉄労働組合米子地方本部に交付しなければなら
ない。
記
年 月 日
国鉄労働組合米子地方本部
執行委員長 X1 殿
西日本旅客鉄道株式会社
代表取締役 Y1
当社が、貴組合の組合員に対して平成元年12月7日付け及び同月9日付け並
びに平成2年2月2日付け及び同月3日付けで懲戒処分等を行い、それに基づき
発令月の翌月に賃金の減額を行い、平成2年度昇給において昇給号俸から減号俸
をし、さらに、平成2年度夏季手当において減額支給をしたことは不当労働行為
であると島根県地方労働委員会において認定されました。
今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
6 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、前各項を履行したときは、速やかに当
委員会に文書で報告しなければならない。
7 申立人のその余の請求を棄却する。
(別表1) 懲戒処分等一覧表
番号 氏名 処 分 内 訳 発令年月日
1 X1 7日間出勤停止 平成2年2月3日
2 X2 1ケ月 1/2減給 平成2年2月2日
3 X3 戒 告 〃
4 X4 戒 告 〃
5 X5 7日間出勤停止 平成2年2月3日
6 X6 7日間出勤停止 〃
7 X7 1ケ月 1/2減給 平成2年2月2日
8 X8 1ケ月 1/2減給 〃
9 X9 7日間出勤停止 平成2年2月3日
10 X10 14日間出勤停止 平成2年12月9日
11 X11 1ケ月 1/2減給 平成元年12月7日
12 X12 戒 告 〃
13 X13 戒 告 〃
14 X14 訓 告 〃
15 X15 訓 告 〃
16 X16 7日間出勤停止 平成元年12月9日
17 X17 1ケ月 1/2減給 平成元年12月7日
18 X18 戒 告 〃
19 X19 戒 告 〃
20 X20 1ケ月 1/2減給 〃
21 X21 1ケ月 1/2減給 〃
22 X22 1ケ月 1/2減給 〃
23 X23 戒 告 〃
(別表2) 懲戒処分による賃金減額表 (省略)
(別表3) 懲戒処分による平成2年度昇給減号俸表 (省略)
(別表4) 懲戒処分等による平成2年度夏季手当減額表(省略) |
判定の要旨 |
1400 制裁処分
会社が本件組合の組合員に対して行った懲戒処分等が不利益取扱いであり、かつ、その不利益取扱いにより組合員の組合活動を制
約し、組合の組織の弱体化を図った支配介入であり、労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
会社が本件組合の組合員に対して行った懲戒処分等に基づく賃金減額、昇給減号俸等が労組法7条1号及び3号に該当する不当労
働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集106集137頁 |
評釈等情報 |
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