概要情報
事件名 |
近畿生コン |
事件番号 |
京都地労委 平成 6年(不)第6号
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申立人 |
全日本運輸一般労働組合関西地区生コン支部 |
被申立人 |
近畿生コン株式会社 |
命令年月日 |
平成 9年 4月 7日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、時間内組合活動に対する賃金保障等の取扱いについて他組合と差別したこと、組合役員X1に対して残業保障制度を不適用としたこと、組合員X2に対し8年間賃上げをしなかったこと等が争われた事件で、<1>X1に対する残業手当差額分の支払い、<2>X2の賃金に関するその引上げを前提とする組合との協議、<3>誓約文の掲示を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、平成5年10月から平成7年12月までの残業保障制度不適用 による残業手当の差額分として、申立人X1に318,454円を支払わなけれ ばならない。 2 被申立人は、申立人X2の賃金について、その引上げを前提として申立人全 日本運輸一般労働組合関西地区生コン支部と協議しなければならない。 3 被申立人は、下記内容の文書を縦1メートル、横1.5メートルの模造紙に 楷書で明瞭に墨書し、被申立人の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなけれ ばならない。 記 会社は、残業の平均化を行う際に組合用務による早退及び早上りを空白時間に 算入しない取扱い及び組合用務による不就労を一時金の控除対象としない取扱い を、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部の組合員に対してのみ行う ことによって、全日本運輸一般労働組合関西地区生コン支部に対する支配介入及 びその組合員に対する差別的取扱いを行ってきました。今般、京都府地方労働委 員会から、この対応が不当労働行為であると認定されました。よって、今後この ような不当労働行為を行わず、両組合に平等に対応いたします。 以上、京都府地方労働委員会の命令により誓約いたします。 年 月 日 全日本運輸一般労働組合関西地区生コン支部 執行委員長 X3 殿 近畿生コン株式会社 代表取締役 Y1 4 申立人らの申立てのうち、次の不利益取扱いに係る救済申立てを却下する。 (1)申立時における請求する救済内容のうち、申立日現在で1年を経過した 賃金及び一時金支払い行為に係る時間内組合活動に対する賃金控除分の返還請求 (2)X1の残業保障制度不適用による残業手当の差額分の請求の中で、追加 申立日(平成6年9月26日)現在で1年を経過しているもの 5 申立人らのその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
5200 除斥期間
賃金及び一時金支払行為はその都度完結する一回限りの行為であり、申立日現在で1年を経過した賃金及び一時金支払行為に係る時間内組合活動に対する賃金控除分の返還請求は、却下せざるをえない。
1203 その他給与決定上の取扱い
組合活動保障付与日数については、会社と各組合との間の協議で決定されるべきであり、他組合との間に多少の差異があったとしても、直ちに差別的取扱いには該当しない。
2900 非組合員の優遇
会社がX1ら8名に対して行っている組合用務による早退及び早上りを空白時間に算入する取扱いは、他組合との差別取扱いである。
4613 P.Nのみを命じ、他の救済の必要性を認めなかった例
5008 その他
残業が割り当てられなかったことによる不利益について、算入された空白時間分に対応する残業手当相当額の支払いを命じることは、経費援助の例外として認められる範囲を超えるおそれがあり、労働委員会の裁量の範囲を逸脱する。
1204 スト・カット
会社と組合との間にスト時における賃金等に関する合意が成立していたとは認められず、他組合との間に取扱いに差異があったとも認められないから、会社が申立人のストに対して賃金等を控除して支払ったことは不当労働行為に該当しない。
1203 その他給与決定上の取扱い
X1に対する残業保障制度不適用の理由には合理性がなく、会社の真意はX1の組合活動及びX1が役員となっていた組合を嫌悪してX1のみを差別的に取り扱うとともに組合を弱体化させることにあったと推認される。
1201 支払い遅延・給付差別
会社がX2以外の従業員のすべてを賃上げの対象としているにもかかわらず、X2に限って約8年間賃上げを行っていないのは、X2が組合員であることを嫌悪して行った不利益取扱いである。
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業種・規模 |
窯業・土石製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集107集399頁 |
評釈等情報 |
 
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