事件名 |
大友運送 |
事件番号 |
大阪地労委 平成 8年(不)第16号
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申立人 |
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 |
被申立人 |
大友運送株式会社代表者代表取締役 Y1 |
被申立人 |
大友運送株式会社代表者代表取締役 Y2 |
命令年月日 |
平成 9年12月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含
む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社(東京社及び大阪社)が組合の平成8年4月1日付け労働条件改
善要求書に係る団交において、使用者である東京社をこれに出席させず、また、権限のない者を出席させ、実質的な団交を行わな
かったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、初審大阪地労委は、大阪市所在の会社を使用者と認め、同社に対し誠実
団交と文書手交を命じ、その余の申立てを却下した。 |
命令主文 |
1 大阪市鶴見区所在の被申立人大友運送株式会社は、申立人から提
出された平成8年4月1日付け要求書に係る団体交渉に、実質的交渉権限を有する者を出席させ、誠意をもって応じなければなら
ない。
2 大阪市鶴見区所在の被申立人大友運送株式会社は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記
年 月 日
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部
執行委員長 X1 殿
大友運送株式会社
代表取締役 Y1
当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認めら
れました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
記
貴組合から提出された平成8年4月1日付け要求書に係る団体交渉において、実質的交渉権限を有する者を出席させず、誠意あ
る対応をしなかったこと。
3 申立人の、東京都江戸川区所在の被申立人大友運送株式会社に対する申立ては却下する。 |
判定の要旨 |
2131 支社等の出先機関
東京社と大阪社とが企業グループを形成していることからすれば、大阪社と東京社の労働条件に共通する面が存しているとして
も、直ちに東京社が大阪社の労働条件を決定しているとまでは断定できない。かえって、大阪社においては、<1>賃上げは、
Y1社長と営業所長が、各営業所ごとに決定していること、<2>一時金の実際の支給額は、各営業所ごとの業績を勘案して決定
されていること、等が認められ、これらの事実からすれば、東京社と大阪社はグループ企業として関係を有しているものの、東京
社は大阪社の従業員に対し、賃金等基本的労働条件を具体的かつ現実的に決定する立場にはないと解され、東京社が大阪社の労働
者の労働組合法上の使用者であるとは認められない。
2248 実質的権限のない交渉担当者
Y3所長は組合に対し、要求事項について、事前にY1社長から示された大阪社の方針の説明すら行わないまま何ら回答をせず、
大阪社従業員の労働条件は大阪社に決定権があるにもかかわらず、団交事項についてはY1社長や大阪社でさえも単独で決定でき
ない旨を告げたのであるから、4.10団交における大阪社の態度は、誠意をもって真摯に交渉に応じていたものとは到底認める
ことはできない。また、分会結成以来、組合と大阪社の間で賃上げその他の労働条件に関して交渉が妥結したことはなく、また、
昭和62年7月頃以降、大阪社は組合との団交において、代表権を有するY1社長又はY2社長のいずれも出席することなく、
Y4営業所長ら歴代の団交出席者は、組合の要求に対して、「現段階では答えられない」、「大阪社には決定権がない」旨を回答
するのみであった。このように、大阪社は、一貫して実質的交渉権限を有する者を団交に出席させず、不誠実な交渉態度をとり続
けてきたものである。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集109集341頁 |
評釈等情報 |
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