概要情報
事件名 |
タカイ印刷 |
事件番号 |
大阪地労委 平成 7年(不)第75号
大阪地労委 平成 7年(不)第76号
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申立人 |
大阪地域合同労働組合 |
被申立人 |
タカイ印刷株式会社 |
命令年月日 |
平成 9年 8月25日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、<1>会社職制が、冬季一時金に係る団交申入書を提出した組合員X1に対して、これを非難する発言を行ったこと、<2>会社が夏季一時金に係る団体交渉に応じなかったこと、<3>会社が、その後開催された夏季一時金に係る団体交渉及び冬季一時金に係る団体交渉において誠実に対応しなかったことが不当労働行為であるとして申立てのあった事件である。 大阪地労委は、いずれも不当労働行為であるとして、<1><2>について、組合に対して必要な資料を示すなどして誠実に団体交渉に応じることを、併せて<1>から<3>についてポストノーティスを命じた。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、申立人から平成7年7月11日に申入れのあった同年夏季一時 金に係る団体交渉及び同年11月2日に申入れのあった同年冬季一時金に係る団 体交渉に、必要な資料を示すなどして誠実に応じなければならない。 2 被申立人は、申立人に対し、1メートル×2メートル大の白色板に下記のと おり明瞭に墨書して、被申立人会社の正面入口付近の従業員の見やすい場所に1 0日間掲示しなければならない。 記 年 月 日 大阪地域合同労働組合 執行委員長 X2 殿 タカイ印刷株式会社 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7 条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後この ような行為を繰り返さないようにいたします。 記 (1)平成7年11月2日、当社課長Y2、同Y3及び同Y4が貴組合員X1 氏に対し、同氏の組合活動を非難する発言を行ったこと。 (2)貴組合から申入れのあった平成7年夏季一時金に係る団体交渉について 、当該一時金の支給前に、正当な理由なく応じなかったこと。また、同年7月2 6日、同年9月12日及び同年11月13日の団体交渉において、会社回答につ いて何ら根拠を示さないなど不誠実な対応を行ったこと。 |
判定の要旨 |
1602 精神・生活上の不利益
2620 反組合的言動
会社が、全従業員を集めて開催したミーティングは、従業員の面前で積極的に組合否定の姿勢を示して従業員の同調を強要し、X1と従業員との対立をあおって孤立させ、同人に精神的苦痛を与え、会社から分会を排除しようとしたもので労組法7条1号及び3号の不当労働行為に該当するとされた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
Y1社長が、X1分会長に対して行った、「(X1の)息子の勤務先の社長と知人である」等の一連の言動は、X1に心理的圧迫を加え、組合活動の中止を迫るもので労組法7条3号の不当労働行為に該当するとされた例。
2620 反組合的言動
営業担当者会議での、X1分会長に対する、Y4課長及びY1社長の発言からすると、Y1社長の発言は、同人がY4課長の脱退要求を黙認・利用して自らも組合否定発言を行い、X1分会長に組合脱退を迫るもので労組法7条3号の不当労働行為に該当するとされた例。
1602 精神・生活上の不利益
2620 反組合的言動
X1分会長を含む全従業員を集め、X1の言動を非難する意見書を見せる等して従業員にX1を批判する発言をさせたY1社長の言動は、X1の組合活動を嫌悪し、同人に精神的・肉体的苦痛を与え、従業員との対立をあおることによって分会を会社から排除しようとしたもので労組法7条1号及び3号の不当労働行為に該当するとされた例。
1401 労務の受領拒否
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
X1分会長に対する自宅待機命令は、会社がX1の組合加入を嫌悪して従業員との対立をあおり、同人に脱退勧奨を行っていたことから、組合員たるX1に精神的苦痛を与えるとともに、分会の影響力を会社から排除しようとするもので労組法7条1号及び3号の不当労働行為に該当するとされた例。
2211 団交ルールの先議
組合が結成通知とともに団交を申し入れることは何ら問題はないことなどから、組合から突然団交を申し入れられたことが団交拒否の正当理由となるものではないとされた例。
2216 その他
Y1社長がX2委員長に対して述べた、X1分会長を含む全従業員でミーティングするから団交しない等の発言がいずれも団交拒否の正当な理由とはいえないとされた例。
2244 特定条件の固執
Y1社長の団交における態度からみると、組合の事前了解を得ずに従業員約10名を出席させたり、合同労組の性格に疑問を呈する等自らの主張に固執して実質的な団交議題の検討を行われなかったことが認められ、このような態度が、組合の要求項目について誠実に交渉しようとする姿勢に欠けると判断された例。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
冬季一時金の団交拒否事案につき、申立後に団交が開催され、組合と会社間で冬季一時金以外の事項について協定書が締結されているが、そのことによって会社の行為が不当労働行為でなくなるものではないとされた例。
4420 団交を命じた例
組合は、冬季一時金について、組合要求額での支給を求めているが、一時金は労使の交渉において決定されるべきものであるから、救済方法としては、速やかな団交応諾を命ずるのが相当とされた例。
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業種・規模 |
石油製品・石炭製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集108集530頁 |
評釈等情報 |
 
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