概要情報
事件名 |
東海旅客鉄道(東海労団交等) |
事件番号 |
大阪地労委 平成 6年(不)第40号
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申立人 |
ジェイアール東海労働組合新幹線関西地方本部 |
申立人 |
ジェイアール東海労働組合 |
被申立人 |
東海旅客鉄道株式会社 |
被申立人 |
東海旅客鉄道株式会社新幹線鉄道事業本部関西支社 |
命令年月日 |
平成 9年 8月25日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、<1>組合員X1に対して勤務を否認し欠勤としたこと、組合員33名に対して懲戒処分をしたことについて、同人らから労働協約に基づく苦情の申告がなされ、地方苦情処理会議の開催を求められたにもかかわらず、これに応じなかったこと、<2>組合が苦情処理会議の未開催は労働協約違反であるとしてこれに関する団体交渉の開催を申し入れたにもかかわらず、これを拒否したことが争われた事件で、<1>組合員X1及び組合員33名から行った苦情申告についての速やかな地方苦情処理会議の開催、<2>文書手交(<1>に関して)を命じ、東海旅客鉄道株式会社新幹線鉄道事業本部関西支社に対する申立ては却下し、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人東海旅客鉄道株式会社は、同社新幹線鉄道事業本部関西支社をして、同社が申立人ジェイアール東海労働組合組合員X1の平成5年8月27日の勤務を否認し欠勤としたことについて同人から同年9月8日になされた苦情申告、及び同社が同月10日付けで同組合員X2外32名に対して行った懲戒処分について同人らから同月14日から17日にかけてなされた苦情申告に係る地方苦情処理会議を速やかに開催させなければならない。 2 被申立人東海旅客鉄道株式会社は、申立人らに対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 ジェイアール東海労働組合 中央執行委員長 X3 殿 ジェイアール東海労働組合新幹線関西地方本部 執行委員長 X4 殿 東海旅客鉄道株式会社 代表取締役 Y1 当社の新幹線鉄道事業本部関西支社が、貴組合員X1氏の平成5年8月27日の勤務を当社が否認し欠勤としたことについて同氏から同年9月8日になされた苦情申告、及び組合員X2氏外32名に対する当社の同月10日付け懲戒処分について同氏らから同月14日から17日までの間になされた苦情申告に係る地方苦情処理会議の開催に応じなかったこと、並びに貴組合の新幹線地方本部から同年11月29日及び同年12月27日付けで開催申入れのあった団体交渉(貴組合員X5氏に係る事項を除く)に応じなかったことは、大阪府地方労働委員会において労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為と認められました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 3 申立人らの被申立人東海旅客鉄道株式会社新幹線鉄道事業本部関西支社に対する申立ては却下する。 4 申立人らのその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
2131 支社等の出先機関
関西支社は、会社の組織上の構成部分にすぎず、不当労働行為救済命令の名あて人たる法律上独立した権利義務の帰属主体と認められないとした例。
1604 その他
3103 労働協約締結をめぐる行為
関西支社が組合員X1らの地方苦情処理会議の開催に応じなかったのは、組合を嫌悪したことによるもので、関西支社の行為は、協約に基づき設置された地方苦情処理会議の機能を損ない、当該組合員に不利益を与えるとともに、組合の弱体化を図り、組合運営に対する支配介入となるので労組法7条1号及び3号に該当する会社の不当労働行為である。
2216 その他
本件団交事項(苦情処理会議の開催に関する労使間の見解の相違に係る事項)のように、労働協約に定められている団交対象事項に該当しない問題であっても、解決のための代替措置等が協約等に定められていない場合には、労使間の団交によって問題解決を図るべきであり、関西支社が正当な理由もなく団交を拒否し応じていないことは、労組法7条2号に該当する会社の不当労働行為である。
4502 交渉事項を対象に交渉出席者に触れた例
団交申入れに係る団交開催は、苦情申告に係る地方苦情処理会議を開催することにより団交要求の目的は達成できるとして、団交応諾を命じなかった例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集108集508頁 |
評釈等情報 |
 
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