労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  新日本ウエックス 
事件番号  愛知地労委 平成 7年(不)第6号 
申立人  ゼンセン同盟新日本ウエックス労働組合 
被申立人  新日本ウエックス株式会社 
命令年月日  平成 9年 7月28日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、<1>「団交出席者は会社従業員に限る」として上部団体の役員が出席する団交に応じなかったこと、<2>組合に対抗するための団体(「職場を守る会」)の結成及び運営を援助したこと、及び会社職制が、<イ>従業員に対して組合説明会への出席を阻止したり、組合員に対して組合脱退届用紙への署名捺印を強要するなどしたこと、<ロ>組合員X1に対して組合の組合活動を誹謗中傷する発言をしたこと、<ハ>組合役員を隔離し、他の従業員との接触を断たせたこと等が不当労働行為であるとして争われた事件で、愛知地労委は、<1>「団交出席者を会社従業員に限る」という合意があることを理由とする団交拒否の禁止、<2>組合への加入妨害、組合からの脱退強要、組合活動に対する誹謗中傷発言及び組合役員を隔離して他の従業員との接触を断つことによる組合運営に対する支配介入の禁止、<3>「職場を守る会」の運営を援助することによる支配介入の禁止、<4>文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、団体交渉の出席者は被申立人の従業員に限るという合意があることを理由にして、申立人との団体交渉を拒否してはならず、誠意をもって応じなければならない。
2 被申立人は、被申立人の従業員に対して、申立人への加入を妨害したり、申立人の組合員に対して、申立人から脱退するよう働きかけたり、申立人の組合活動を誹謗・中傷し、その抑制を働きかけたり、申立人の役員を隔離し、被申立人の従業員との接触を断ったりして、申立人の運営に支配介入してはならない。
3 被申立人は、「職場を守る会」の運営を援助することによって、申立人の運営に支配介入してはならない。
4 被申立人は、申立人に対して、下記の内容の文書を本命令書交付の日から7日以内に交付しなければならない。
                 記
 当社が、団体交渉の出席者は当社の従業員に限るという合意があることを理由にして貴組合との団体交渉を拒否したこと、当社従業員の貴組合への加入を妨害したこと、貴組合の組合員に貴組合からの脱退を働きかけたこと、貴組合の組合活動を誹謗・中傷する発言を行ったこと、貴組合の中央執行副委員長を隔離して当社の従業員との接触を断ったこと、「職場を守る会」の運営を援助したことは、いずれも労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると愛知県地方労働委員会によって認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないようにします。
  平成 年 月 日
 ゼンセン同盟新日本ウエックス労働組合
      中央執行委員長 X2 殿
                       新日本ウエックス株式会社
                         代表取締役 Y1
5 申立人のその余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  2215 上部団体参加否認
会社が、組合と会社との間で、団体交渉の出席者は従業員に限るという合意が成立していることを理由として、団体交渉を拒否したことは、労組法7条2号に該当する不当労働行為である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
Y2課長の発言は、パートタイマーX3の組合の説明会への参加を職場放棄と位置づけ、X3の同説明会への参加を阻止することにより、X3の組合への加入を妨害する意図を持ってなされたものとみるのが相当である。

3410 職制上の地位にある者の言動
Y2課長の発言は、部下に対する服務管理の一環としてなされたものであり、Y2課長の職務遂行の過程で行われたものとみるのが相当であるから、会社は、Y2課長の発言について、その責を免れるものではない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
組合員X4に対するY3課長の発言は、賞与の支給について組合員であることの不利益と組合員でないことの利益を対比して示すことにより、暗に組合からの脱退を働きかけたものとみるのが相当である。

3410 職制上の地位にある者の言動
組合員X4に対するY3課長の発言は、会社の指示に基づく「照会票」の配付に伴って行われたものであることが認められ、Y3課長の職務遂行の過程で行われたものとみるのが相当であるから、会社は、Y3課長の発言について、その責を免れるものではない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
会社の照会用紙に、組合の指示により残業拒否する旨を署名した組合員X1に対するY4取締役の「残業拒否をするな。・・・組合はうそをついている。」との発言は、組合の組合活動を誹謗・中傷し、その抑制を働きかけたものとみるのが相当である。

1302 就業上の差別
Y5常務が、組合副委員長に対し、電話のない、古い伝票、帳票等の置かれた別室で仕事をするよう指示したことは、組合の中心的人物の一人である同人を隔離し、他の従業員との接触を断つことにより、組合の弱体化を図ろうとしたものとみるのが相当である。

2501 親睦団体の利用
「職場を守る会」は、組合に対抗するための組織であるとみるのが相当であり、組合結成後の会社の対応等を考え合わせると、会社は、組合の組合活動を抑制するために「職場を守る会」の運営を援助したものとみるのが相当である。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
申立人は、X2委員長始め6人の原職復帰等を求めているが、いずれも本件審査中に職務に復帰していることから、この点に関する申立てを維持する意思がないものと判断する。

業種・規模  洗濯・理容・浴場業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集108集427頁 
評釈等情報   

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