労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  国際交通 
事件番号  北海道地労委 平成 8年(不)第11号 
申立人  国際交通労働組合 
被申立人  国際交通株式会社 
命令年月日  平成 9年 7月 7日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、<1>平成7年度夏期及び年末一時金の団体交渉において、不誠実な交渉態度に終始したこと、<2>平成7年度春闘交渉が妥結しないことを理由に夏期一時金交渉を拒否する等により組合の運営に支配介入したこと、<3>組合の役員及び組合員に対して嫌がらせ、担当車外し、脱退勧奨等を行ったこと、<4>組合員X1に対する第二種運転免許養成費の貸付けに関して差別的取扱いを行ったことをめぐって争われた事件で、北海道地労委は、<1>平成7年度夏期及び年末一時金に係る誠実団交応諾、<2>平成7年度春闘交渉が妥結しないことを理由に夏期一時金交渉を拒否する等による支配介入の禁止、<3>ポスト・ノーティスを命じ、第二種運転免許養成費に関する申立ては却下し、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、平成7年度夏期及び年末一時金について会社回答の根拠を明らかにする資料を示して説明するなどして、申立人と速やかに誠意をもって団体交渉を行わなければならない。
2 被申立人は、平成7年度春闘交渉が妥結しないことを理由に夏期一時金交渉を拒否したり、平成7年度夏期及び年末一時金交渉において、資料も示さず、会社回答に固執したりして、申立人の運営に支配介入してはならない。
3 被申立人は、次の内容の文書を縦1メートル、横1.5メートルの大きさの白紙にかい書で墨書し、被申立人の本社正面玄関の見やすい場所に、命令交付の日から7日以内に10日間継続して掲示しなければならない。(文書略)
4 申立人の第二種運転免許養成費に関する申立てを却下する。
5 申立人のその余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  2240 説明・説得の程度
会社には、団体交渉において会社の経営状態を示す財務諸表等を提示して、会社の提案の根拠を説明し、組合の納得を得ようとする真摯な態度が全く見られず、一連の団体交渉の態様をみる限り、団体交渉には応じたものの、誠意をもって十分議論を尽くしているとはいい難く、実質的な団体交渉を行っていないものとみるのが相当であり、不当労働行為であるとされた例。

4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
上部団体の役員が参加する団体交渉については、会社はその後、条件を付することなく応じているので、これを求める組合の救済利益は失われているものとされた例。

2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
会社は、春闘妥結後でなければ一時金の交渉に応じられないとの態度を頑に貫き、団体交渉を拒否し、その結果、多くの組合員の脱退をもたらしたことは明らかであり、会社の行為は、組合の弱体化を意図した支配介入であるとされた例。

2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
会社が、不誠実な交渉態度に終始したこと、上部団体の役員が参加する団体交渉を正当な理由もなく拒否したことは、組合を無視又は軽視した態度であり、組合の弱体化を意図した支配介入であるとされた例。

2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
組合との一時金交渉において、資料も示さず、また、経営状態を説明することもしないで、ただ会社回答に頑に固執し続けたことは、自己の主張に固執し、これを押しつけようとしたものというべきであり、会社がその提案を実現するため、組合員に経済的打撃を与えながら、組合の弱体化を図り、その運営に支配介入したものであるとされた例。

2700 威嚇・暴力行為
組合は、会社の管理職らが売上げ指導に名を借りて組合の役員及び組合員に対して嫌がらせを行ったと主張するが、会社の行為は、いずれも組合の役員ないし組合員であるが故になされた嫌がらせであったとは認められず、不当労働行為ではないとされた例。

1302 就業上の差別
2901 組合無視
組合は、会社が組合の役員及び組合員に対して売上げが低いことなどを理由に担当車替えないし担当車外しをしたと主張するが、会社の行為は、いずれも組合の役員ないし組合員であるが故になされた差別的な取扱いであったとは認められず、不当労働行為ではないとされた例。

5200 除斥期間
組合は、会社がX1組合員に対する第二種運転免許養成費の貸付けに関して差別的な取扱いを行ったと主張するが、X1組合員が同養成費を会社に返済させられたのは平成4年のことであり、本件申立てのあった同8年3月12日までに1年以上を経過しており、却下を免れないとされた例。

2621 個別的示唆・説得・非難等
組合は、会社が組合員に対して脱退勧奨を行ったと主張するが、組合の主張を裏付けるに足る疎明がなく、また、組合は、会社が交通事故を起こした組合員に対して継続雇用を条件に脱退を強要したと主張するが、会社が事故を口実に解雇を保留して脱退を強要したとは認められず、いずれも不当労働行為ではないとされた例。

1302 就業上の差別
2901 組合無視
組合は、会社がX2組合員による交通事故の報告に関して差別的な取扱いを行ったと主張するが、同人の証言には具体性がなく、これを認めることはできず、不当労働行為ではないとされた例。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集108集389頁 
評釈等情報   

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