労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  岩井金属工業(解雇) 
事件番号  大阪地労委 平成 5年(不)第46号 
申立人  岩井金属労働組合 
被申立人  岩井金属工業株式会社 
命令年月日  平成 9年 5月23日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が、組合員X1を勤務成績が不良であるとして解雇したことが不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員X1に対する平成5年7月20日付け解雇がなかったものとして取り扱い、同人に対し、解雇の翌日から就労させるまでの間、同人が得たであろう賃金及び一時金相当額並びにこれらに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交するとともに、1メートル×2メートル大の白色板に同文を明瞭に墨書して、被申立人会社の本社玄関付近の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
                 記
                               年 月 日
岩井金属労働組合
執行委員長 X2 殿
                        岩井金属工業株式会社
                          代表取締役 Y1
 当社が平成5年7月20日に貴組合員X1氏を解雇したことは、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。今後はこのような行為を繰り返さないようにいたします。 
判定の要旨  0500 勤務成績不良
会社の就業規則では、勤務成績が著しく不良で1年を通じて事故欠勤が90日以上に及んだときは解雇する旨規定されているが、病気休暇は同規則の「事故欠勤」には含まれない。

0500 勤務成績不良
ストによる欠勤は、そのストが違法であった場合を除き、会社の就業規則でいう「事故欠勤」に算入することは許されない。

0500 勤務成績不良
X1の欠勤日数には出勤停止命令または帰宅命令による欠勤が含まれているが、これらの命令は会社の恣意によるものと認められ、解雇理由としての事故欠勤に含めることは相当でない。

0500 勤務成績不良
X1が欠勤を繰り返すに至った主たる理由は、職場における執拗な嫌がらせや暴力に加え、寮における私生活までも侵害され、精神的かつ肉体的苦痛を受けたことによるものといわざるを得ず、会社が主張するような同人の無能、怠惰によるものとは認められない。

0500 勤務成績不良
欠勤日数から就業規則所定の「事故欠勤」に含まれないことが明らかである日数(病気休暇、ストによる欠勤、会社の命令による欠勤)を控除すると、事故欠勤日数は就業規則の要件を満たさない。

1602 精神・生活上の不利益
X1に対する<1>係長の発言、暴力、<2>退寮要求、<3>副社長発言、<4>他部署への長期応援派遣等、<5>療養中の部屋を再三訪問したこと、<6>係長らが支払った闘争積立金の返還を繰り返し迫ったこと等は、X1が組合員であり、組合活動を続けていたことを理由に、会社又は会社の職制により行われた嫌がらせ等による不利益取扱いであり、それ自体が不当労働行為に該当する。

0500 勤務成績不良
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
X1の解雇は、正当な理由がなく、組合員であるがゆえに同人を会社から排除し、もって組合の弱体化を企図してなされたものと判断され、労組法7条1号及び3号に該当する。

業種・規模  金属製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集108集183頁 
評釈等情報   

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