概要情報
事件名 |
タカイ印刷 |
事件番号 |
大阪地労委 平成 7年(不)第22号
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申立人 |
大阪地域合同労働組合 |
被申立人 |
タカイ印刷株式会社 |
命令年月日 |
平成 9年 5月23日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、①組合の分会結成直後から、分会長X1の組合加入を批判して同人組合脱退を迫り、これに応じないX1を工場長から解任したり、自宅待機を命じたこと②組合員の冬季一時金に関する団交申入れに誠実に応じなかったことが争われた事件で、①X1の工場長解任がなかったものとしての取扱い及びバック・ペイ(年5分加算)②冬季一時金に係る団交応諾、③文書掲示、(①及び②に関して)を命じ、その余の申立て(①従業員組合の結成、②冬季一時金の組合要求額での支給)については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員X1に対し、平成6年12月12日付けで行った工 場長解任がなかったものとして取り扱い、工場長であれば得られたであろう賃金相 当額と既に支払われた賃金との差額及びこれに年率5分を乗じた額を支払わなけれ ばならない。 2 被申立人は、申立人から平成6年11月7日付けで申入れのあった同年冬季一 時金に係る団体交渉に速やかに応じなければならない。 3 被申立人は、申立人に対し、1メートル×2メートル大の白色板に下記のとお り明瞭に墨書して、被申立人会社の正面入口付近の従業員の見やすい場所に10日 間掲示しなければならない。 記 年 月 日 大阪地域合同労働組合 執行委員長 X2 殿 タカイ印刷株式会社 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条 第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。 今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 記 (1)平成6年12月12日、貴組合員X1氏に対し工場長を解任したこと。 (2)平成7年2月22日から同年3月5日までの間、貴組合員X1氏を自宅待機と したこと。 (3)平成6年11月8日、会社従業員を集め、貴組合員X1氏の組合加入を批判 するミーティングを開催したこと。 (4)平成6年11月9日から同年12月12日にかけて、当社社長Y1が貴組合 員X1氏に対し、組合否定の言動を執拗に繰り返し、同氏に組合からの脱退を迫る などしたこと。 (5)平成6年冬季一時金について、貴組合と団体交渉を行わず、一方的に支給し たこと。 (6)貴組合から平成6年11月7日、同年12月5日、同月7日、同月12日及 び同月13日に申入れのあった団体交渉に、正当な理由なく応じなかったこと。 (7)平成7年2月18日開催の団体交渉につき、貴組合の了解なく当社従業員が 参加できる旨を告げて従業員10名を同席させた上、同交渉において不誠実な対応 を行ったこと。 4 申立人のその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
2620 反組合的言動
全従業員を集めたミーティングで、社長が積極的に組合否定の姿勢を示して従業員に同調を強要したことは、組合員を孤立させ、同人の精神的苦痛を与えて、会社から組合そのものを排除しようとしたものである。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
社長が、課長の組合員に対する組合脱退要求を黙認、利用し、自らも組合否定の発言を行ったことは、労組法7条3号に該当する。
1200 降格・不昇格
組合員の工場長解任は、同人の組合活動を理由とするもので、同人に経済的、精神的打撃を与え、同人の組合活動を威嚇、妨害したものである。
1401 労務の受領拒否
組合員に対する自宅待機命令は、同人に精神的苦痛を与えるとともに組合の影響力を会社から排除しようとするものであり、労組法7条1号及び3号に該当する。
2211 団交ルールの先議
労働組合が結成通告とともに団交を申し入れることには何ら問題はなく、組合から団交を突如申し入れられたことは、団交拒否の正当な理由にはならない。
2249 その他使用者の態度
組合の事前の了解もなしに団交の席に約10名の従業員を出席させ、その発言を制止しなかったこと、社長が団交の冒頭で合同労組の性格について疑問を呈したりしたこと等により、実質的な団交が行われなかったことは、不誠実な態度である。
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業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集108集165頁 |
評釈等情報 |
 
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