労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  住友重機械工業 
事件番号  岡山地労委 昭和46年(不)第4号 
申立人  総評・全日本造船機械労働組合 
申立人  総評・全日本造船機械労働組合玉島分会 
被申立人  住友重機械工業株式会社 
命令年月日  昭和53年 5月11日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合員が参加している従業員研修会における組合の上部団体脱退問題の討議、職制を通じての反執行部派の投票についての便宜供与及び職制を通じての別組合への加入勧誘等をめぐる事件で、研修会で鈍然たる組合内部問題をテーマとして討議させてはならないこと、職制を通じて別組合加入勧誘等の支配介入してはならないこと及び反執行部派の行動に便宜を与えて、組合内部の対立を助長させてはならないことを命じ早期妥結の署名活動については却下、研修抗議内容が組合批判したものであるとの申立て等については棄却した。 
命令主文  1 被申立人会社は、従業員に対する研修に際しての分科会討議において、全造船脱退問題という鈍然たる組合内部の問題をテーマとして討議させてはならない。
2 被申立人会社は、会社職制らに申立人組合員に対する組合からの脱退、他組合への加入勧誘行為をさせ、あるいは申立人玉島分会代議員会に介入させるなどして、組合の組織運営に支配介入してはならない。
3 被申立人会社は、申立人組合が内部的に対立していることを知りながら、反執行部派の執行部批判行動に便宜を与え、組合内の対立を助長するようなことをしてはならない。
4 申立人組合の早期妥結の署名活動に関する申立ては却下する。
5 申立人組合のその余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  2620 反組合的言動
会社の配布した文書の内容は、企業の内情等に関するものであり、しかもその内容には、威嚇、強制、利益誘導にわたるものは認められず、したがって、いずれも使用者に許される言論の自由の範囲内でなされたものと認められる。

3011 従業員教育
生産性向上のために行なわれた研修は、テキストに基づいてなされており、テキスト全体を見る限りにおいては、組合を非難し、組合の方針を変えさせる意図のものとは解することができなく、日本における労働事情や賃金事情についてごく一般的な解説がなされたにすぎないと認められるので、本件研修は不当労働行為には該当しない。

3011 従業員教育
研修会の分科会において、組合脱退をテーマとして討議させたことは、テーマを研修参加者が自発的に選んだにしても、使用者が行う研修の場で、鈍然たる組合内部の問題であり、かつ組合の意思のみで自主的に決めるべき事項について、会社側がテーマとして採り上げることを制止しないばかりかそれについて討議し、その結果を発表することまで黙認したことは、いわば不作為による不当労働行為と判断せざるを得ない。

5124 その他の審査手続
一連の組合脱退勧誘に関する件はその追加申立ての時点では、行為の時から既に1年を経過しており、またすでになされている追加申立ての時点より後に生じたものであるが、これらの申立事項は、すでになされた追加申立書中の「追加する事実」の申立事項と連続して一体をなすものであるから、これらの追加申立てを単純に別件の申立てとみて、それぞれについて除斥期間の経過を問題にすることは妥当ではない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
非組合員のY1副長が、組合員に対し組合脱退や別組合への加入を勧誘したことが不当労働行為とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
Y2守衛監督が、所長から依頼されたとして、組合員X1に対し、別組合への加入を勧誘したことが不当労働行為とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
Y3副長が、宿直中の組合員X1に対し、別労組への加入を勧誘したとする疎明が十分でないとして、組合の主張が斥けられた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
課長が、部下X2に対し、待遇をよくすることを条件に組合脱退を強要したとする組合の立証は、伝聞に属するものであり、信憑性が薄いとして斥けられた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
次長が組合員X3に対し、早上りを注意した際、分会脱退も勧誘したとの組合主張が斥けられた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
組合員である下級職制が、分会組合員に対し、就業時間外に別組合への加入を勧誘したことは、会社の指示あるいは意向を受けて行われたものでない限り不当労働行為に当らないとされた例。

2803 その他
会社が、反分会派代議員に部屋を使用させたことが、不当労働行為に当らないとされた例。

2803 その他
就労時間中、班長の組合脱退説得行為について、職務に専念すべき通常の義務を怠っていない限り、会社がその行為を放置しても不当労働行為に当らないとされた例。

2803 その他
組合執行部不信任投票について、会社が援助を与えなかったと認められた例。

2803 その他
会社が、組合執行部不信任投票を、条件付で門内で投票を許可したことが不当労働行為に当らないとされた例。

2803 その他
組合執行部不信任投票で、課員全員が終業5分前に投票に向ったことを会社が放置したことが、不当労働行為に当るとされた例。

2803 その他
別労組結成に伴い、分会に供与しているのと同様の組合事務所、掲示板等を供与しても不当労働行為に当らないとされた例。

2803 その他
分会と同様のチェックオフ協定を、別労組と締結し、チェックオフを行っても不当労働行為に当らないとされた例。

3106 その他の行為
組合執行部不信任等署名活動が、下級職制が含まれていたとしても、会社の指示あるいは意向を受けて行われたものでない限り不当労働行為に当らないとされた例。

3106 その他の行為
分会役員選挙における、組合員である係長の発言が、会社の指示あるいは意向を受けてなされたものでない限り、不当労働行為に当らないとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2624 組合人事への干渉
班長、課長、次長の言動が、分会代議員選挙に関与したとは認められないとされた例。

3106 その他の行為
3411 その他の従業員の言動
人事課員Y4が、組合員X2宅へ出向き、代議員会工作を行ったことが会社の指示による不当労働行為とされた例。

5124 その他の審査手続
分会役員選挙、分会代議員選挙に関する追加申立てが、本件救済申立書の「不当労働行為を構成する事実」に記載されている事実を更に具体的に主張したものであるとして、審査の対象とされた例。

5124 その他の審査手続
代議員会工作及び反分会派代議員に部屋を使用させた件については、申立時より1年以前になるが本件救済申立書の「不当労働行為を構成する事実」に記載されている事実との間に継続性のある事実を具体的に主張したものなので、審査の対象とされた例。

5201 継続する行為
反執行部派に食堂を供与したとする行為は、行為の日から1年を経過しているが、追加申立書中の「追加する事実」に記載されている事実を更に具体化して主張したものなので、審査の対象とされた例。

5201 継続する行為
申立日1年以前になされた研修及び文書活動が、申立日1年以内になされた研修あるいは文書活動とそれぞれ継続する行為であると認められた例。

5201 継続する行為
早期妥協の署名活動が、除斥期間内にそれと目的、内容、性質、形態が同一で、しかも時間的に連続しているとみられる行為がなされた事実がないことから、継続する行為には当らないとして却下された例。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集63集377頁 
評釈等情報   

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