労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  観光日本 
事件番号  京都地労委 昭和47年(不)第8号 
京都地労委 昭和47年(不)第15号 
京都地労委 昭和47年(不)第19号 
申立人  総評全国一般京都地本京都ゴルフ東キャデー労働組合 
申立人  総評全国一般労働組合京都地方本部 
被申立人  観光日本 株式会社 
被申立人  観光日本 株式会社京都支社 
命令年月日  昭和48年 7月 9日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が虚偽の欠勤届を理由に組合幹部を懲戒処分に付し、過剰なロックアウトを行ない、また違法ストの指導を理由に組合幹部全員を解雇した事件で、懲戒及び解雇処分の取消し、バックペイ等を命じた。 
命令主文  1 被申立人観光日本株式会社は、X1に対する昭和46年12月2日から12日までおよび同月15日から25日までの各出勤停止処分を取り消し、その間同人が受けるべきはずの諸給与相当額として、同人に対し同年12月1日以前の分として支払われた賃金のうち同年9月3日から同年12月1日までの間の分に相当する金額の一日平均額(ただし、前記期間中の公休日およびストライキの時間を除いて除すること)を1日分として算出した額を支払わなければならない。
2 被申立人観光日本株式会社は、X2に対する昭和46年12月5日から16日までおよび同月18日から29日までの各出勤停止分を取り消し、その間同人が受けるはずの諸給与相当額として、同人に対し同年12月4日以前の分として支払われた賃金のうち同年9月6日から同年12月4日までの間の分に相当する金額の1日平均額(ただし、前記期間中の公休日およびストライキの時間を除いて除すること)を1日分として算出した額を支払わなければならない。
3 被申立人観光日本株式会社は、総評全国一般京都地本京都ゴルフ東キャデー労働組合の組合員に対し、昭和47年7月21日から同年10月5日までのロックアウト期間中同組合員を就労させていれば支払うべきはずの諸給与相当額として、各組合員に対し昭和47年7月20日までの分として支払われた賃金のうち同年4月22日から同年7月20日までの間の分に相当する金額の1日平均額(ただし、前記期間中の公休日およびストライキの時間を除いて除すること)を1日分として算出した額を支払わなければならない。
4 被申立人観光日本株式会社は、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8に対する昭和47年10月5日付の解雇を取り消し、原職に復帰させ、かつ、解雇の日から原職復帰に至るまでの間に同人らが受けるべきはずの諸給与相当額として、同人らそれぞれにつき前項により算出した1日平均額を1日分として算出した額を支払わなければならない
5 被申立人両名は、本件命令書交付の日から10日以内に、縦1メートル、横 1.5メートルの模造紙に下記の文章を墨書し、被申立人京都支社内の従業員の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。
                記
 会社は、貴組合の執行委員長X1、副委員長X2をそれぞれ2回にわたり出勤停止処分にし、組合員X9に対し組合脱退を勧誘し、貴組合の争議行為に対し過剰ロックアウトを行ない、さらに貴組合の執行委員長ら10名を解雇しましたが、これらの行為はいずれも不当労働行為であったことを認め、今後かかる行為はいたしません。
 以上、京都府地方労働委員会の命令により誓約いたします。
      昭和 年 月 日
     総評全国一般京都地本京都ゴルフ
     東キャデー労働組合
      執行委員長 X1 殿
     総評全国一般労働組合京都地方本部
      執行委員長 X10 殿
              観光日本株式会社
               代表取締役 Y1
              観光日本株式会社京都支社
               支配人 Y2 
判定の要旨  0414 ピケッティング
ストの実効をあげるためピケをはったと考えられ、そのピケも正面入口やティーグランドでの説得行為の範囲を越えておらず、また組合員がスクラムを組んだことも団結の示威程度のものであって、いずれも正当な争議行為の範囲を逸脱したものとは認められない。

0419 ロックアウトとの関連
3102 争議対抗手段
組合のストは全面ストではなく、業務上の支障はあまり重大でないにもかかわらず、会社側が無期限のロックアウトを行なったことは必要性の限度を越えた過剰な企業防衛であり、このような過剰なロックアウトは組合の弱体化、壊滅を意図してなされた支配介入行為であるといわざるを得ない。

1400 制裁処分
X1とX2の欠勤届は虚偽であるとはいえないし、かりに委員会にあっせん申請するために、病気や疲労を口実に欠勤したものであるとしても、正当なあっせん申請行為のための欠勤の場合にまで虚偽の届出として懲戒することは懲戒権の乱用であり、逆に正当な組合活動を嫌悪してなされた不当労働行為であるといわざるを得ない。

0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
1400 制裁処分
出勤停止処分中の組合員が会社構内に立ち入ったことは不当処分に対する抗議と就労要請を行なうためであるにもかかわらず、単に立ち入り行為のみをとらえて再度出勤停止処分を行なったことは不当労働行為であるといわざるを得ない。

0700 職場規律違反
組合執行部は違法ストを指導したので解雇したと主張するが、組合のストは正当性の範囲を逸脱しておらず、本件解雇も組合を嫌悪した会社がその弱体化ないし壊滅を意図して行ったものである。

業種・規模  娯楽業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集51集51頁 
評釈等情報  労働判例 1973.11.1   184号 77頁 

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