概要情報
事件名 |
日本電信電話 |
事件番号 |
徳島地労委 平成 5年(不)第6号
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申立人 |
四国電気通信産業合同労働組合 |
被申立人 |
日本電信電話 株式会社 |
命令年月日 |
平成 7年 2月10日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、(1)平成2年4月、申立人組合の支店構内でのビラ配布を見た支店長が支店のエレベーターの中で「バカな奴らがビラをまいている。」と発言したこと、(2)会社が、組合から毎年出される(1)の支店長発言への謝罪・撤回要求を拒否し続けることにより組合活動を誹謗中傷したこと、(3)キャッチホンの無料試供サービスの実施に関する問題について団交事項になじまないとして団体交渉を拒否したことが、それぞれ不当労働行為に当たるとして争われた事件である。 徳島地労委は、(1)について、支店長の発言はその時点で完結し、「継続する行為」に当たらず申立期間を徒過しているとして却下し、(3)については、命令交付後、最初に開かれる団体交渉において団交拒否を繰り返さない旨の誓約文を読み上げることを命じ、(2)等その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、本命令交付後、申立人と被申立人の四国支社との間で最初に開かれる団体交 渉の場において、次の文章を読み上げなければならない。 「日本電信電話株式会社が、四国電気通信産業合同労働組合から平成5年6月11日付要求 書で申し入れられた団体交渉を、団体交渉事項に該当しないとして拒否したことは、不当労 働行為であると徳島県地方労働委員会において認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないようにします。」 2 申立人の徳島支店長の発言についての申立ては、却下する。 3 申立人のその余の申立ては、棄却する。 |
判定の要旨 |
5201 継続する行為
「バカは奴らがビラをまいている」との支店長の発言は、本件申立てまでに3年2か月余が経過しており、毎年の当該発言撤回要求に応じないことをもって「継続する行為」に当たるとは解されないとして、却下された例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
会社が、支店長の発言は私的なものであるからとして、組合の謝罪及び撤回要求に応じないことが、支配介入に当たるとはいえないとされた例。
2300 賃金・労働時間
キャッチホン無料試供サービスの実施決定そのものは経営に関する事項といえるが、これの実施に伴って生じる種々の業務は労働条件に関係するものであるから、団交事項ではないとして団体交渉に応じなかったことは不当労働行為とされた例。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
キャッチホン無料試供サービスの中止により、団体交渉の目的は消滅したといえるが、その後の会社の対応を見ると、団交拒否による組合の団結権に対する侵害は治癒されたとは認められず、現在もなお救済利益があるとされた例。
4505 その他
団交拒否について、命令交付後の最初の団体交渉の場において、不当労働行為であると認定されたので、今後、このような行為を繰り返さない旨の文章を読み上げるよう命じた例。
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業種・規模 |
郵便業、電気通信業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集101集97頁 |
評釈等情報 |
 
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