概要情報
事件名 |
渡島信用金庫 |
事件番号 |
北海道地労委 平成 6年(不)第14号
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申立人 |
渡島信用金庫労働組合 |
被申立人 |
渡島信用金庫 |
命令年月日 |
平成 7年12月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、金庫が、正当な理由なく団交開催の延期を繰り返し、団交がもたれても不誠実な対応をしていること、平成5年1月及び同6年2月の支店での本部検査の際、金庫の検査室長が組合を批判する等の発言をしたこと、及び理事長が団交において組合活動に介入する発言を行ったことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 初審北海道地労委は、形式的で不誠実な団交の禁止、組合活動を誹謗するなどしての支配介入の禁止及び文書掲示を命じ、団交における理事長の発言に対する申立てについては棄却し、平成5年1月の同室長の発言については1年以上の前の行為に関する申立てであるとして却下した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合の団体交渉申入れに対し、正当な理由なく開催期日の延期を繰り 返すなどして、形式的で不誠実な対応をしてはならない。 2 被申立人は、本部検査において組合活動を誹謗したり、組合員の行動を批判するなどし て、申立人組合の運営に支配介入してはならない。 3 被申立人は、次の内容の文書を縦1m×横1.5mの大きさの白紙に楷書で墨書し、被申立人 の本店及び各支店の正面玄関の見やすい場所に、命令交付の日から7日以内に10日間継続し て掲示しなければならない。 記 当金庫が行った次の行為は、北海道地方労働委員会において、労働組合法第7条第2号及 び第3号に該当する不当労働行為であると認定されましたので、今後このような行為を繰り 返さないようにします。 (1)当金庫が、貴組合の団体交渉申入れに対し正当な理由なく開催期日の延期を繰り返すな どして、形式的で不誠実な対応をしたこと。 (2)当金庫が、本部検査において組合活動をひぼうしたり、組合員の行動を批判するなどし たこと。 平成 年 月 日 渡島信用金庫労働組合 執行委員長 様 渡島信用金庫 理事長 4 申立人の平成5年1月の本部検査に関する申立てを却下する。 5 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2245 引き延ばし
金庫が、組合の団交申入れに対し、内部調整がつかない等として、団体交渉の延期を繰り返したことが7条2号に該当する不当労働行為とされた例。
2251 一方的決定・実施
救済申立て後に行われた団体交渉は、形式的なもので、誠意ある団交とはいえず、夏期臨給も合意の成立しないうちに一方的に支給したものであり、救済の利益が失われたとはいえないとされた例。
5201 継続する行為
支店の本部検査における検査室長の発言は、それ自体1回限りの行為であって、「継続する行為」には当たらず、平成5年1月の発言に関する申立ては、1年以上前の行為についてのものであるとして、却下された例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
支店の本部検査における検査室長の発言は、組合を誹謗したり、組合員の行動を批判したりしたもので、理事長の方針の下に、本部検査の機会をとらえ組合を弱体化しようとした支配介入に当たるとされた例。
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業種・規模 |
金融業、保険業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集103集341頁 |
評釈等情報 |
 
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