労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  正啓会 
事件番号  富山地労委 平成 6年(不)第3号 
申立人  X1 
申立人  全日本運輸一般労働組合富山合同支部 
被申立人  医療法人社団  正啓会 
命令年月日  平成 7年11月 9日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、医療法人が、(1)分会結成以来、賃上げ、各一時金等の団体交渉申入れに対し、誠実な団体交渉態度を取らなかったこと、(2)理事長ら職制が組合員に対し、組合を誹謗中傷し、組合脱退勧奨を行ったこと、(3)副分会長X1の主任手当ての未払いや同人の介護主任職を解任し、主任手当を支給しなかったこと、(4)同X1を介護職から看護助手職に配転したことが不当労働行為であるとして争われた事件である。
 富山地労委は、(1)組合脱退勧奨等を支配介入の禁止、(2)副分会長X1の配転命令を取消し、介護職への復帰、(3)文書手交(上記(1)、(2)、(4)に関して)、(4)履行報告を命じ、上記(3)については、申立期間徒過により却下し、その余の申立て(誓約文の交付・掲示)は棄却した。 
命令主文  1 被申立人医療法人社団正啓会は、申立人全日本運輸一般労働組合富山合同支部の仁泉メデ ィケア分会所属の組合員に対し、申立人組合を誹謗中傷し、組合からの脱退勧奨を行うなど して、申立人らの組合活動及び運営に支配介入してはならない。
2 被申立人医療法人社団正啓会は、平成 6年 5月21日付辞令で命じた申立人X1の成和病院看 護助手職(辞令上の記載は介護職)への配置転換命令を取り消し、配置転換前の老人保健施 設仁泉メディケアの介護職に復帰させなければならない。
3 被申立人医療法人社団正啓会は、この命令書交付の日から1週間以内に、下記の文書を申 立人全日本運輸一般労働組合富山合同支部に手交しなければならない。
                     記
  当会が行った次の行為は、富山県地方労働委員会から労働組合法第7条第1号、第2号及 び第3号に該当する不当労働行為であると認定されましたので、今後このような行為を繰り 返さないようにします。
 1平成5年の年末一時金、平成6年の賃金引上げについて、貴組合との団体交渉を拒否し   て、当会が一方的にこれを決定したこと。
 2貴組合仁泉メディケア分会所属組合員に対して、同分会から脱退するよう勧めたこと。
 3貴組合仁泉メディケア分会所属の組合員X2氏に対し、
 (1)貴組合が加入する富山県労働組合総連合は、政治色が強い上部団体であって、組合員の   利益を考えていないなどと批判する言動
 (2)貴組合に所属することにより当会内で出世できなくなる等の不利益が及び旨を示唆する   言動
  を行ったこと。
 4貴組合仁泉メディケア分会所属の副分会長X1氏に対して行った、当会成和病院看護助手職  への配置転換
                                 平成 年 月 日
   全日本運輸一般労働組合富山合同支部
    執行委員長 X3 殿
   同支部仁泉メディケア分会
    分会長  X2 殿
                         医療法人社団 正啓会
                         理事長 Y1
4 被申立人医療法人社団正啓会は、前記第2項及び第3項を履行したときは、当委員会に文 書で速やかに報告しなければならない。
5 申立人X1に対する介護職主任手当の支給を求める申立ては、これを却下する。
6 申立人全日本運輸一般労働組合富山合同支部のその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  2245 引き延ばし
忙しい等を理由に団体交渉に応じないのは、組合を無視したものであり、7条2号に該当する不当労働行為とされた例

4505 その他
使用者側に団交に取り組む姿勢に努力の跡が見受けられ、団交の実績もあがっていることからすると、将来にかけて団交を拒否する萬然性が高いとまでは認められず、組合が求める将来の誠実団交の救済命令の必要性はないとされた例

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
理事長や職制らの新組合員らに対する言動は、組合に対する批判や組合の嫌悪からくる発言があり、組合の団結権を侵害するもので、組合脱退勧奨をしたことが推認でき、7条3号に該当する不当労働行為とされた例。

5200 除斥期間
副分会長の介護職主任の解任は、本件申立ての約2年半前のことであって、主任手当の未支給の状況が客観的に存在することをもって継続する行為と解釈することはできず、右申立ては労組法27条2項に該当するとして、却下された例。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
副委員長の仁泉メディケアの介護職から、組合員が一人もいない成和病院の看護助手職への配転が病院には組合活動に対し反組合的言動が多く、組合活動に対し嫌悪の姿勢が一貫していることから、反組合的意図をもってなされた、7条1号、3号に該当する不当労働行為とされた例。

業種・規模  医療業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集103集198頁 
評釈等情報   

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