労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  トモエタクシー外一社 
事件番号  中労委 平成 4年(不再)第39号 
再審査申立人  トモエ自動車 株式会社 
再審査申立人  トモエタクシー 株式会社 
再審査被申立人  トモエ労働組合 
命令年月日  平成 7年 3月15日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  本件は、会社らが、(1)高裁の確定判決に反して組合員X1を原職復帰させなかったこと及びX1に営業収入上不利な形態の勤務を命じたこと、(2)組合員X2に転勤を命じたこと及び同命令の拒否を理由に解雇したこと、(3)組合員X3に対し不利な形態の勤務を命じる等したこと、(4)組合員X4に出向を命じたこと、(5)組合から申し込まれた団交を、組合員らが依然別組合の組合員であるなどとして拒否していることが不当労働行為であるとして争われた事件である。
 初審大阪地労委は、除斥期間の経過した部分を却下したほか、組合員が所属しているそれぞれの会社に対し、(1)(2)(3)(4)それぞれについて、原職復帰あるいはバック・ペイ等、(5)について団交拒否の禁止、及びそれぞれの文書掲示を命じ、併せて組合への支配介入行為の禁止を命じた。
 会社らは、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は(2)のうち組合員X2に転勤を命じたことについては申立て期間が徒過しているとしてこれを却下することとし、これに係る初審命令を一部変更する等したほかは申立てを棄却した。 
命令主文  1 本件初審命令第1項を次のとおり改める。
1 被申立人トモエタクシー株式会社は、申立人トモエ労働組合の組合員X1を昭和60年3月 31日当時の乗務命令(2車3人制)による勤務に戻すとともに、平成元年10月15日以降上記 勤務形態に戻す日までの間(同3年3月22日から同5年2月21日までの間を除く。)、同人 がこれにより就労したら得られたであろう賃金及び一時金相当額と既に支払いを受けた賃金 及び一時金との差額並びにこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。
2 本件初審命令主文第2項を次のとおり改める。
 2 被申立人トモエ自動車株式会社は、申立人トモエ労働組合の組合員X2に対し、平成2  年9月1日付論旨解雇がなかったものとして取り扱い、同人を同社に復帰させるととも   に、同日から復帰させる日までの間、同人が受けるはずであった賃金及び一時金相当額並  びにこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。
3 本件初審命令主文第3項中「同年8月21日から3年3月21日までの間」を「同年8月21日 以降上記是正措置がとられる日までの間(同3年3月22日から同5年2月21日までの間を除 く。)」に改める。
4 本件初審命令主文第4項中、「同日から3年3月21日までの間」を「同日以降原職に復帰 させる日までの間(同3年3月22日から同5年2月21日までの間を除く。)」に改める。
5 本件初審命令主文第7項中、被申立人トモエ自動車株式会社が申立人トモエ労働組合に手 交する文書の記中 (1)を次のとおり改める。
 (1) 貴組合員X2氏を平成2年9月1日付で論旨解雇したこと
6 本件初審命令主文第9項中、「及び出勤停止処分」を「出勤停止処分及び平成元年6月1 日付トモエ自動車株式会社徳庵営業所への転勤命令」に改める。
7 その余の本件各再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
別件大阪高裁の解雇無効判決が確定した組合員X1を原職に復帰させず、解雇前の2車3人制ではなく収入の低下する6車7人制乗務を命じたことが不当労働行為であるとされた例。

5200 除斥期間
組合員X2に対して行った乗務命令及び出勤停止処分の撤回についての救済申立ては、行為の日より1年以上経過し申立期間が徒過していることから却下された例。

5200 除斥期間
組合員X2の転勤命令に係る救済申立ては、発令日から1年以上経過し、転勤命令と転勤命令拒否を理由とする解雇とは別個の行為で継続行為に該当せず、申立期間が徒過しているとして却下された例。

1102 業務命令違反
組合員X2を他の営業所への転勤命令を拒否したことを理由に論旨解雇したことが組合に加入した同人を嫌悪し、組合活動を抑止することを意図してなした不当労働行為であるとされた例

1302 就業上の差別
組合員X3に対して2車3人制から収入の低下する隔日乗務を命じ、出入庫時刻を厳守するよう命じたことが不当労働行為であるとされた例。

1301 出向
組合員X4を組合員のいない同グループのT交通への出向を命じたことが、組合に加入した同人を嫌悪し、組合活動を抑止することを企図してなした不当労働行為であるとされた例。

2113 交渉団体として不適格
多数派組合が、申立人組合所属の組合員4名は同組合の組合員であると主張しており、申立人組合と団交することは労組の内部問題に介入することになるとして団交に応じなかったことが不当労働行為であるとされた例。

4601 「抽象的不作為命令」を命じた例
Tタクシー及びT自動車の組合への介入行為は、今後とも繰り返される恐れがあるとして不作為を命じた例。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集101集810頁 
評釈等情報  中央労働時報 平成7年8月10日  894号 20頁 

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約263KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。