概要情報
事件名 |
柳瀬ハイヤー |
事件番号 |
高知地労委 平成 4年(不)第1号
高知地労委 平成 5年(不)第2号
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申立人 |
全国自動車交通労働組合総連合会 |
申立人 |
高知自動車交通労働組合ヤナセ支部 |
被申立人 |
有限会社 柳瀬ハイヤー |
命令年月日 |
平成 7年 4月13日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)組合員X1を会社の指導に従わなかったとして、4日間の乗務禁止処分にしたこと、(2)運賃改定に伴う労働条件改善について労使間に合意が成立するまで、スト参加組合員に対する営業収入額の2%に相当する賃金の支払いを留保したこと、(3)業績不振を理由に賞与に係る貸付制度を廃止したこと、(4)スト参加をした組合員の氏名を記載したり組合支部長を常識のない人間と指摘する等の内容の文書を会社及び組合員住居の近辺地域に配付したこと、(5)減給処分等の懲戒処分に至る勤務シートの遵守措置をとったこと、(6)時間外労働禁止の注意に従わなかった支部長ら3名を出勤停止処分にしたこと、(7)申立人組合員X2ら3名に対する年次有給休暇の取得制限をしたことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 高知地労委は、(2)について賃金支払いの留保の撤回と、留保した賃金相当額の支払いを命じ(2)、(4)についてスト参加組合員に対する賃金の支払留保や氏名記載文書配付等の不利益取扱いの禁止とこれによる申立人組合に対する支配介入の禁止を命じた。その余の申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、営業収入額の2%に相当する賃金の支払留保を撤回するとともに、申立人の 組合員のうち当該賃金の支払を留保した組合員に対し、平成4年9月1日以後当該撤回の日 までの間、当該支払を留保した賃金の額に相当する金額を支払わなければならない。この場 合において、亡X3に対する支払は、同人の相続人に対し、同人の死亡時までの金額を支払 うものとする。 2 被申立人は、申立人の組合員の一部に対し、営業収入額の2%に相当する賃金の支払を留 保したり、当該組合員の氏名等を記載した文書を配付するなどの不利益取扱いをしてはなら ず、かつ、これにより申立人の運営に支配介入してはならない。 3 申立人のその余の申立は、棄却する。 |
判定の要旨 |
1400 制裁処分
農業を兼業している運転手に対し、4日間乗務を禁止した措置は、同人が組合役員でもなく、組合を嫌悪し、組合員に不利益を及ぼす意図の下に行われたとはいえないとされた例。
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
運賃改定に伴う賃金改善を求める指名スト参加組合員9名に対し、すでに実施していた営業収入の2%に相当する賃金の支払いを留保したことが、労組法7条1、3号に該当するとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
賞与に係る貸付制度の廃止は、全従業員に対して行われており、不当労働行為に該当しないとされた例。
1602 精神・生活上の不利益
2620 反組合的言動
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合の宣伝活動に対抗して行った会社の文書配付が、スト参加組合員の住所及び氏名を記載し、同人らの住居のある地域に配付していること等から、労組法7条1号、3号に該当するとされた例。
3020 組合活動への制約
勤務シートの遵守措置は、その指導方法も口頭等一定の段階を踏んで行われ、穏当なものであること、非組合員にも同様の要請をしていること等から、不当労働行為には当たらないとされた例。
1400 制裁処分
勤務シートの遵守を求めた後、期限が到来した36協定を以後締結しないとしたのに対し、これを無視して時間外労働を行った支部長ら3名に対する出勤停止処分が、不当労働行為に当たらないとされた例。
1203 その他給与決定上の取扱い
年休の申立に対し、既に従業員2名から同一日について年休届が出されているので、この2名の従業員と調整するようにとの指示に従わず、欠務した組合員を欠勤扱いしたことが、不当労働行為に当たらないとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集101集668頁 |
評釈等情報 |
 
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