労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  光風会回春荘病院 
事件番号  茨城地労委 平成 4年(不)第2号 
申立人  回春荘病院労働組合外5名 
被申立人  医療法人 光風会 
命令年月日  平成 7年 3月 7日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、病院が、(1)スト中の不就労分につき、組合との協議なく組合員の基本給のほか、諸手当についても全面的にカットしたこと、(2)組合の書記次長を一般受付事務から本人の希望していない看護助手に配転したこと、(3)組合三役に対し、違法ストを指導、煽動したとして就業規則上懲戒処分の区分にない「厳重注意処分」の通知を行ったことが不当労働行為であるとして争われた事件である。
 茨城地労委は、組合員の給与から控除した金額のうち、諸手当分につき決定された金員の支払い、書記次長の配置転換命令の取消しと原職復帰、厳重注意処分の取消し、誓約書の手交と掲示を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人医療法人光風会は、別表1の氏名欄記載の申立人回春荘病院労働組合の各組合員 に対し、同人らの平成4年5月28日支給の給与から控除した金額のうち同表の金額欄記載の 金員をそれぞれ支払わなければならない。
2 被申立人医療法人光風会は、申立人X1に対する平成4年6月9日付通達による配置転換 命令を取り消し、同人を原職に復帰させなければならない。
3 被申立人医療法人光風会は、申立人X2、同X3、同X4、同X5及び同X1に対する平 成4年9月17日付の文書による厳重注意処分を取り消し、この処分が行われなかったものと して取り扱わなければならない。
4 被申立人医療法人光風会は、本命令受領後7日以内に、申立人回春荘病院労働組合に対し て下記の誓約書を手交するとともに、同誓約書を縦1m×横1.5mの白紙に明瞭に記載し、従 業員の見やすい場所に、毀損することなく10日間掲示しなければならない。
                     記
                              平成  年  月  日
   回春荘病院労働組合
    執行委員長 X2 殿
                            医療法人光風会
                             理事長 Y1
                 誓  約  書
  当会が、貴組合員らに対して行った次の行為は、茨城県地方労働委員会において労働組合 法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。
  よって、当会は、ここにその責任を認め、再びこのような行為を繰り返さないことを誓約 いたします。
                     記
  (1)貴組合が平成4年4月22日にストを行ったことを理由として、貴組合員の同年5月28日   支給の給与から、資格手当、職務手当、扶養手当、住宅手当、保育手当、通勤手当及び   精勤手当を控除したこと。
  (2)貴組合のX1に対し、平成4年6月9日付通達により配置転換を命じたこと。
  (3)貴組合の執行委員長X2、同副執行委員長X3、同副執行委員長X4、同書記長X5及   び同書記次長X1に対して、スト指導を理由とした文書による厳重注意を行ったこと。
5 申立人回春荘病院労働組合らのその余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  0417 法令・協約・信義則違反
組合は病院の保安要員の要求に応ずることなく24時間ストを行ったが、病院の要求は妥当性を欠いたものと認められること、患者の生命、身体に悪影響を及ぼしたとするものは認められないこと等を総合すると、違法とは言えないとされた例。

1204 スト・カット
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
資格手当、職務手当、扶養手当、住宅手当、保育手当、通勤手当及び精勤手当をカットした行為は労組法7条1、3号に該当するが、本給の一部である調整給及び勤怠等を考慮して決定される賞与のカットは不当労働行為に当たらないとされた例。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合の書記次長に対する一般受付事務から看護助手への異職種配転が、同人の意思、過去の配転例、配転に関する規定、異動の時期、同人らが被った不利益等を総合的に判断して、労組法7条1、3号に該当する不当労働行為とされた例。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
本件ストは違法であるとはいえず、就業規則所定の懲戒事由に該当せず、違法ストを指導、煽動したとして行った組合役員5名に対する厳重注意処分は、ストに対する報復として行われたもので、7条1、3号の不当労働行為とされた例。

4102 承認・合意
組合及び申立人個人らが、ストカット分を組合に返還するよう求めたのに対し、当該カット分は組合員にそれぞれ支払うのが相当であるとされた例。

4407 バックペイの支払い方法
ストカット分について年5分の割合による金員の付加を求めたが、認められなかった例。

4613 P.Nのみを命じ、他の救済の必要性を認めなかった例
ポスト・ノーティスのみを命じ、全従業員に対する文書の配付を認めなかった例。

業種・規模  医療業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集101集282頁 
評釈等情報   

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