概要情報
事件名 |
津田学園 |
事件番号 |
三重地労委 平成 6年(不)第1号
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申立人 |
津田学園中・高等学校教職員組合 |
被申立人 |
学校法人 津田学園 |
命令年月日 |
平成 7年 8月30日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、学園が(1)組合委員長を通勤手当の不正受給等を理由に解雇したこと、(2)(1)に対する団交に一度しか応じず、その後の団交を拒否したこと、(3)組合活動に積極的に参加してきた保健体育の教員を、組合員のいない体育専門学校に配置転換したこと、(4)(2)に対する団交申し入れに対し、人事権の介入に当たるとして応じなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 三重地労委は(1)、(3)について原職復帰とバック・ペイを命じ、併せて(1)~(4)全てに関し文書手交と文書掲示を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合執行委員長X1に対する平成6年2月28日付解雇を取消し、同人 を原職に復帰させなければならない。 2 被申立人は、申立人組合執行委員長X1に対し、解雇の日の翌日から原職復帰に至るまで の間に同人が受けるはずであった賃金相当額を支払なければならない。 3 被申立人は、申立人組合員X2に対して、平成6年4月1日付で発し、同年5月18日同人 に到達した配置転換命令を取消し、同人を原職に復帰させなければならない。 4 被申立人は、申立人組合員X2に対し、平成6年4月分以降原職復帰に至るまでの間に同 人が受けるはずであった賃金相当額(既に支払われているものを除く。)を支払わなければ ならない。 5 被申立人は、本命令書受領後1週間以内に、下記の文書に年月日を記入したうえ、申立人 に手交するとともに、この文書を、縦1m×横2mの上質の白紙の表の全面に楷書で明瞭に 墨書し、被申立人学園の見易い場所に継続して2週間毀損することなく掲示しなければなら ない。 記 貴組合の委員長であるX1氏に対し、平成6年2月28日に当学園が行った解雇命令、貴組 合の組合員であるX2氏に対し、平成6年4月1日付で発し、同年5月18日同人に到達した 配置転換命令、貴組合の平成6年3月17日付団体交渉申入れ及び平成6年3月26日付団体交 渉申入れに対する団交拒否について、この度、いずれも三重県地方労働委員会から労働組合 法第7条に違反する不当労働行為と認定されました。 当学園は、今後、教職員の自主的な労働組合の結成、運営等に関する活動に対し、労働組 合法第7条に規定する不当労働行為に該当する行為は一切行いません。 平成 年 月 日 学校法人 津田学園 代表者 理事 Y1 津田学園中・高等学校教職員組合 執行委員長 X1 様 6 申立人のその余の申立てはこれを棄却する。 |
判定の要旨 |
0900 不正行為
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合委員長の通勤費の不正受給等を理由とする解雇が、それまでの学園の反組合的言動を考慮すると、同人を組合から排除し、組合を弱体化させることを決定的な動機として行ったもので、労組法7条1、3号に該当する不当労働行為とされた例
1300 転勤・配転
組合活動に積極的に参加してきた中学校の保健体育の教員を、組合員のいない体育専門学校に配置転換したことが、配転しなければならない特段の事情が認められず、配転の理由も首肯できないとして、労組法7条1、3号に該当するとされた例
2245 引き延ばし
組合委員長の解雇問題についての団交に1回応じ、解雇理由は説明したとしてその後の団交を拒否する学園の態度は形式的にすぎ、誠意ある団交をしたとはいえないとされた例
2301 人事事項
中学校の保健体育教員に対する体育専門学校への配転についての団交申入れに対し、学園が人事権の介入にあたるとして応じないことが、労組法7条2号に該当する不当労働行為とされた例
4505 その他
委員長の解雇及び組合員の配転について、いずれも原職復帰・バック・ペイを命じており、同問題の団交拒否の救済としては、文書の手交、掲示を命ずることで必要かつ十分であるとされた例
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集102集490頁 |
評釈等情報 |
 
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