労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  九州旅客鉄道(JR総連支配介入) 
事件番号  福岡地労委 平成 3年(不)第10号 
福岡地労委 平成 3年(不)第11号 
申立人  全日本鉄道労働組合総連合会 
申立人  ジェーアール九州労働組合 
被申立人  九州旅客鉄道  株式会社 
命令年月日  平成 7年 7月28日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、(1)X社及びY社と通じ、九州労組Aグループや助役らをして九州労組を混乱させたり、臨時大会に関与させて九州労組のJR総連脱退及びX1委員長解任を決議させるなどしたこと、(2)Bグループ支持の九州労組員に対し、助役の言動によりあるいは本社係長が組合員宅を訪問するなどによりJR総連を非難し、その関係を維持する新組合への加入を抑止したこと、(3)JR九州労結成活動としてのビラ配布を妨害し、ビラ回収、状差しへの移し替え及び配布者等の個人名を挙げて組合活動非難の掲示を行ったこと、(4)Y1助役をして九州労組の組合員X2に対しJR総連脱退を勧奨し、JR総連と連携する新組合の結成を抑止したこと、(5)Y2所長をして組合員やその家族に対しJR総連と連携する新組合への加入を抑止したことが不当労働行為であるとして争われた事件である。
 福岡地労委は、(2)について本社係長によるJR総連の組織運営に対する支配介入の禁止、(3)についてJR九州労の組織運営に対する支配介入の禁止を命じ、併せて申立人2組合への文書手交を命じた。その余の申立てについては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、ジェーアール九州労働組合の結成及び同労働組合への加入を妨害する運輸部 管理課社員係長の言動により、申立人全日本鉄道労働組合総連合会の組織運営に支配介入し てはならない。
2 被申立人は、乗務員更衣室のロッカーに配布されたビラを回収したり、ビラ配布などを行 った者の個人名を挙げて組織活動を非難する掲示を行って、申立人ジェーアール九州労働組 合の組織運営に支配介入してはならない。
3
 (1)被申立人は本命令交付の日から7日以内に、次の文書を申立人全日本鉄道労働組合総連   合会に手交しなければならない。
  当社運輸部管理課社員係長が、ジェーアール九州労働組合の結成及び同労働組合への加入 を妨害する言動を行ったことは、福岡県地方労働委員会によって不当労働行為と判断されま した。
  今後このような行為により、貴組合の組織運営への介入を繰り返さないよう留意します。
                                平成 年 月 日
   全日本鉄道労働組合総連合会
    執行委員長 X3 殿
                         九州旅客鉄道株式会社
                          代表取締役 Y3
 (2)被申立人は、本命令交付の日から7日以内に、次の文書を申立人ジェーアール九州労働   組合に手交しなければならない。
  当社が行った下記の行為は、福岡県地方労働委員会によって不当労働行為と判断されまし た。
  今後このような行為により、貴組合の組織運営への介入を繰り返さないよう留意します。
                    記
 1平成 3年12月13日、鹿児島運転所常務員更衣室のロッカーに配布されたジェーアール九州  労働組合の結成に関するビラを回収したこと及び同月19日、同様に配布されたビラを回収  し、同所運転室にある状差しに移し替えたこと。
 2平成 3年12月18日、鹿児島運転所において、ビラ配布などを行った者の個人名を挙げて、  ジェーアール九州労働組合の結成活動を非難する掲示を行ったこと。
                               平成 年 月 日
   ジェーアール九州労働組合
    中央執行委員長 X4 殿
                           九州旅客鉄道株式会社
                            代表取締役 Y3
4 その余の申立てについては、棄却する。 
判定の要旨  2610 職制上の地位にある者の言動
2624 組合人事への干渉
3410 職制上の地位にある者の言動
九州労組の混乱及び臨時大会におけるJR総連からの脱退並びにX1委員長の解任決議は、いずれも同労組内部の問題であり、これに会社が助役らを指揮ないし指導して関与したとの主張が退けられた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
「組合分裂は起きないほうがよい」等の組合員である助役らの言動は、職務上の地位を利用したものとまでは認められないが、非組合員の運輸部管理課係長の言動は組合に対する介入行為と評価でき、会社の責任は免れないとされた例。

3020 組合活動への制約
JR九州労への加入を呼びかけるビラを運転室に配布したのは正当な組合活動とは認められないが、乗務員更衣室におけるビラ配布は正当な活動と認められるところ、右ビラを所長らが回収した行為等は、組合結成活動を妨害する行為とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
所長が、運転所においてビラ配布などを行った者の個人名を挙げて、JR九州労の結成活動を非難する掲示を行ったことが労組法7条3号該当の不当労働行為であるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2625 非組合員化の言動
所長や助役が組合員に対し、JR総連と連携する新組合へ加入しないよう働きかけたとの組合の主張が退けられた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集102集340頁 
評釈等情報   

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