概要情報
事件名 |
盛岡市農業協同組合 |
事件番号 |
岩手地労委 平成 6年(不)第1号
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申立人 |
岩手県農業協同組合労働組合 |
申立人 |
X1 |
被申立人 |
盛岡市農業協同組合 |
命令年月日 |
平成 7年 7月 7日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、農協が、(1)申立人組合分会の春闘協定書の労使合意に基づき完全週休二日制を実施する旨の通告等に対して警告書を交付したこと、(2)分会が上記通告内容を実施して土曜日の労務提供を拒否したところ、争議権の行使とはいえないとして分会執行委員長X1に対し昇給停止の懲戒処分を行ったことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 岩手地労委は、X1の懲戒処分の取消しと当該処分がなければ受けるはずであった賃金相当額と既支給賃金との差額の支払いを命じ、併せて警告書交付とX1の懲戒処分に関する再発防止の誓約書手交を命じた。陳謝文の交付及び掲示並びに声明文の農協広報誌への掲載等については上記救済で足りるとして棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人X1に対する平成 6年 2月 7日付文書による昇給停止の懲戒処分を取 り消し、同人に対して、当該処分がなければ受けるはずであった賃金相当額から既に支給し た額を控除した金額を支払わなければならない。 2 被申立人は、申立人らに対し、本件命令書交付の日から7日以内に、下記文書を手交しな ければならない。 記 年 月 日 岩手県農業協同組合労働組合 中央執行委員長 X2 殿 岩手県農業協同組合労働組合盛岡市分会 執行委員長 X1 殿 盛岡市農業協同組合 代表理事組合長 Y1 当農業協同組合が、平成 6年 1月19日付で岩手県農業協同組合労働組合盛岡市分会に対し 警告書を交付したこと及び平成 6年 2月 7日付文書で岩手県農業協同組合労働組合盛岡市分 会執行委員長X1氏に対し昇給停止の懲戒処分をしたことは、このたび、岩手県地方労働委 員会において、労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると認定されましたので、今 後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。 3 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2700 威嚇・暴力行為
分会の「93春闘協定書に基づいて完全週休二日制を実施する旨の通告は、実質的には争議行為の通告であり、これに対する農協の警告は労組法7条3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
0410 目的・手続き
完全週休二日制を実施するとしてなされた1.22行動は、争議行為としての通告等の形式及び内容において一部適切でない面はみられるが、その主体、目的、手続及び手段、態様のいずれについても違法とはいえず、正当な争議行為とされた例。
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
上記1.22行動を企画し、実施した分会執行委員長に対する昇給停止の懲戒処分が、上記行動が労働組合の正当な行為であることから、これを理由とする本件処分は労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
協同組合 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集102集273頁 |
評釈等情報 |
労働経済判例速報 平成 8年 2月10日 1583号 8頁 
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