労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  西武交通興業 
事件番号  東京地労委 平成 4年(不)第49号 
申立人  西武交通全労働組合 
被申立人  西武交通興業 株式会社 
命令年月日  平成 6年 8月 2日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が(1)「3年度協定」による組合との合意を一方的に破棄し、新就業規則を強行して組合員ら乗務員に賃下げを行ったこと、(2)組合旗の無断掲揚を理由に、組合との事前協議もなくX1書記長を乗務停止処分にしたこと、(3)組合掲示板に報告ビラを貼っていたX1書記長を呼びつけ「社長の許可を得てから貼れ」などの言動が不当労働行為であるとして争われた事件である。
 東京地労委は、(1)組合員の賃金につき旧就業規則及び3年度協定に基づき、既支給額との差額の支払い、(2)X1書記長の乗務停止処分がなかったものとしての取扱い及び同処分がなかったならば受けるはずの賃金相当額と既支給額との差額の支払い、(3)正当な組合活動に対して干渉する言動等の支配介入の禁止、(4)文書掲示を命じた。 
命令主文  1 被申立人西武交通興業株式会社は、申立人西武交通全労働組合の組合員に対する平成4年 9月以降の賃金について、「旧就業規則」および「3年度協定」に基づき支給しなければな らず、この金額と、既支給額との差額を支払わなければならない。
2 被申立人会社は、4年7月15日に申立人組合のX1書記長に対して行った乗務停止処分が なかったものとして取り扱い、同処分がなかったとすれば受けるはずの賃金相当額と既支給 額との差額を支払わなければならない。
3 被申立人会社は、申立人組合の正当な組合活動に対して干渉する言動を行ったり、また、 乗務員の賃金体系の改定を行う場合、同組合を排除ないし無視するなどして支配介入しては ならない。
4 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容を55cm×80cm(新聞紙2頁大)の白紙に楷書で明瞭に墨書して、被申立人会社の正面玄関前の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
                     記
                                平成 年 月 日
   西武交通全労働組合
    執行委員長 X2 殿
                          西武交通興業株式会社
                           代表取締役 Y1
  当社が、貴組合との協定を無視して就業規則を一方的に変更し、4年9月以降の賃金につ き、賃金水準を切り下げて支給したこと、また、組合旗の掲揚を理由に、同年7月15日X1 書記長を乗務停止処分に付したこと、および、組合掲示物の件に関し、同年9月21日同書記 長を呼びつけ、干渉する言動を行ったことは、いずれも不当労働行為であると東京都地方労 働委員会において認定されました。
  今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
5 被申立人会社は、前記第1項、第2項および第4項を履行したときは、すみやかに当委員 会に文書で報告しなければならない。 
判定の要旨  3103 労働協約締結をめぐる行為
賃金還元分等の支給を合意した労使間の「3年度協定」を事実上棚上げし、就業規則を一方的に変更して組合員である乗務員の賃金水準を切り下げ支給したことが、組合の存在を無視し、弱体化を企図した支配介入であるとされた例。

1400 制裁処分
組合旗の無断掲揚を理由に、書記長を乗務停止処分にしたことが、事前協議制にも反し、会社の一連の組合敵視の表象であって、7条1、3号に該当するとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
社長の書記長に対する威嚇的な言動が、組合敵視の一環であり、支配介入にあたるとされた例。

4603 その他
就業規則の一方的変更により生じた組合員の賃金損失にかかる差額の支払いは、3年度協定による賃金還元分の賃金体系組み入れについての労使協議が整うまでとするのが相当とされた例。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集100集318頁 
評釈等情報  労働経済判例速報 平成6年12月20日 1545号 9頁 

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