労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  愛媛県森林組合連合会 
事件番号  愛媛地労委 平成 3年(不)第1号 
申立人  X1 
被申立人  愛媛県森林組合連合会 
命令年月日  平成 6年 6月24日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  本件は、連合会が、申立人X1に対し、(1)金融共済課長から金融共済係に降格し、さらに副会長付としたこと、(2)組合活動が制限される転勤を行ったこと、(3)職場秩序を乱したことを理由に出勤停止処分にしたこと、(4)平成2年度以降の給与及び賞与を差別的に取り扱ったこと、(5)仕事を与えなかったこと、(6)回覧文書等が同人に提供されないことを黙視したこと等が不当労働行為であるとして争われた事件である。
 愛媛地労委は、(1)降格辞令及び転勤辞令がなかったものとしての取扱い、原職又は原職相当職に復帰させ、それまでの間に受けたであろう職務手当相当額の支払い、(2)出勤停止処分の撤回及び減額相当額の支払い、(3)2年度以降の給与を職員の平均昇給率により、賞与を同平均支給率によりそれぞれ算出した額と既に支給された差額相当額の支払い、(4)仕事、回覧文書等の差別取扱いの禁止(5)文書掲示を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人X1に対する平成2年10月1日付金融共済課長から金融共済係を命ず る辞令、同年11月1日付副会長付辞令、平成3年4月1日付東予木材市売場への転勤辞令及 び平成5年4月1日付北宇和木材市売場への転勤辞令をそれぞれなかったものとして取り扱 い、同人を原職又は原職相当職に復帰させるとともに、平成2年10月1日以降、原職又は原 職相当職に復帰するまでの間に受けたであろう職務手当相当額を同人に支払わなければなら ない。
2 被申立人は、申立人に対する平成2年10月15日付出勤停止処分を撤回し、この処分により 基本給から減額された金額相当額を同人に支払わなければならない。
3 被申立人は、申立人の平成2年度以降の給与及び賞与について、次により算出された金額 と実際に支給された金額との差額相当額を同人に支払わなければならない。
  (1)平成2年度以降の申立人の給与については、毎年4月に被申立人職員の平均昇給率によ   り昇給等があったものとして算出した金額であること。
    なお、平成3年5月1日から同年8月19日までの間についても給与は支給されるべき   であること。
  (2)平成2年度当期賞与以降の賞与については、上記(1)で算出した申立人の基本給に被申立   人職員の平均支給率を乗じた金額であること。
4 被申立人は、申立人に仕事を与えないなどの差別をしてはならない。
5 被申立人は、申立人に対する回覧文書の回覧、電話の取次ぎ及びお茶の提供などについ  て、同人が、他の職員と同様に取り扱われるような措置をとらなければならない。
6 被申立人は、本命令書写しの交付の日から7日以内に、下記のとおり、縦50cm×横70cmの 白紙に楷書で明瞭に記載し、被申立人本部内の職員の見やすい場所に7日間掲示しなければ ならない。
                     記
                                平成 年 月 日
   X1 殿
                         愛媛県森林組合連合会
                          代表者理事 X2
  当連合会が、あなたに対して行った下記の行為は、愛媛県地方労働委員会において、不当 労働行為と認定されましたので、今後はこのような行為を繰り返さないようにいたします。
                      記
  (1)平成2年10月1日付金融共済課長から金融共済係を命ずる辞令、同年11月1日付副会長   付辞令、平成3年4月1日付東予木材市売場への転勤辞令及び平成5年4月1日付北宇   和木材市売場への転勤辞令を発したこと。
  (2)平成2年10月15日付出勤停止処分を行ったこと。
  (3)平成2年度夏期賞与の支給を遅らせたり、昇給や賞与の支給、仕事の内容等であなたを   差別的に取り扱ったりしたこと。
 (4)回覧文書が回覧されないこと、電話が取り次がれないこと及びお茶が提供されないこと   を黙視したこと。
                         以上 
判定の要旨  1300 転勤・配転
1400 制裁処分
申立人X1に対する、会計処理を理由とした課長職から一般職員への降格処分、出勤停止処分、副会長付職員への配転という一連の措置は、いずれも、妥当性、整合性を欠く不自然なもので、X1の組合活動を嫌悪した不利益取扱いであるとされた例。

1300 転勤・配転
X1に対する東予木材市売場への配転は、その必要性があったとは認めがたく、人選も合理性があったとはいえず、連合会が同人の組合活動を嫌悪していたことは明らかであって、7条1号に該当するとされた例。

1300 転勤・配転
X1に対する北宇和木材市売場への配転は、同所での増員の必要性があったとは認められず、Yが最適であったとの主張も特段の合理性はなく、連合会がX1の組合活動を嫌悪していたことからすれば、7条1号の行為であるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
平成2年度のX1の昇給停止等の措置は、その根拠を明らかにしておらず、X1に対する一連の処分、配転等と併せて実施した差別的取扱いであって、7条1号に該当するとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
平成2年冬期等のX1の賞与は減額されて、他の職員より低い金額であり、昇給等と同様、差別的取扱いであって7条1号にあたるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
X1に対する平成2年度夏期賞与の支給を遅らせたことは、部長らの発言等からすると、同人に対する嫌がらせであり、就業規則に基づかない方法で遅らせたことは不当であり、7条1号にあたるとされた例。

1302 就業上の差別
仮処分決定後、X1に対して本来の仕事をさせなかったことは、同人に精神的苦痛を与えるものであり、かかる状態に同人を置くことで差別的に扱ったことは、一連の処分と同様の不当労働行為意思による7条1号の行為であるとされた例。

1602 精神・生活上の不利益
X1に対する電話取次ぎ、お茶の提供及び文書の回覧の取りやめは、同人に精神的苦痛を与えるもので、かかる状態を放置、黙視した連合会の態度は、一連の行為と同様、7条1号にあたる不当労働行為とされた例。

業種・規模  林業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集99集851頁 
評釈等情報   

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