概要情報
事件名 |
日生運輸 |
事件番号 |
広島地労委 平成 4年(不)第3号
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申立人 |
全日本港湾労働組合関西地方大阪支部 |
被申立人 |
有限会社 日生運輸 |
命令年月日 |
平成 6年 6月23日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が(1)分会結成通知及び要求申入れ以降、分会員には売上げの多い長距離運行の配車をしなかったこと、(2)平成4年夏季一時金等の団体交渉で不誠実な対応を続けたこと、(3)分会員に対し、貸し付けている貸付金の一括返済を迫ったことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 広島地労委は、(1)他の従業員と同様の長距離運行を命じる等の公平な配車及び配車差別による賃金減額分の補填(2)誠意をもっての団体交渉実施(3)貸付金の一括返済要求、組合脱退慫慂等の支配介入の禁止を命じ、謝罪文の掲示及び文書手交については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人分会員X1及びX2に対する配車について、他の従業員と同様に、長 距離運行を命じるなど公平に配車するとともに、X1に対して金 1,850,000円、X2に対し て金 1,100,000円を支払わなければならない。 2 被申立人は、平成4年5月29日付の要求申入れのうち第3項及び第4項並びに同年7月11 日付の夏季一時金要求について、申立人組合と誠意をもって団体交渉を行わなければならな い。 3 被申立人は、申立人分会員に対して、貸付金の早期一括返済要求や担当車両変更を意図し て私物撤去を要求するなどの嫌がらせをしたり、申立人組合から脱退を慫慂する等、申立人 組合の弱体化を狙った支配介入を行ってはならない。 4 申立人のその余の申立ては、棄却する。 |
判定の要旨 |
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会員に対し、長距離運行の配車をしないことが、会社の主張する理由に合理性がないこと等から、組合を嫌悪して分会員に経済的な不利益を与え、組合の弱体化を図った行為とされた例。
2240 説明・説得の程度
会社は、勉強中であることなどを理由に実質的な要求事項についての交渉に入ろうとせず、一時金についても、支給額が回答だなどと社長が発言するなどしており、かかる会社の態度は7条2号に該当するとされた例。
3500 処分の時期
分会員に対し、前借り金の一括返済を、分会結成直後に要求したことが、分会結成を嫌悪したいやがらせであり、7条3号の不当労働行為とされた例。
1602 精神・生活上の不利益
3105 事業廃止、工場移転・売却
車両から分会員の私物を撤去したり、担当車両を変更したことが、長距離運行の配車差別に関連したいやがらせであり、7条3号にあたるとされた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
分会員X3の自宅に電話し家族に組合脱退を働きかけ、X3をして組合を脱退させたことが不当労働行為とされた例。
4407 バックペイの支払い方法
配車差別に伴う賃金の補填すべき額として、分会員X1およびX2のピケが違法であること、景気の変動による業務量の変化、今後の労使関係等を考慮し、それぞれ185万円と110万円が相当とされた例。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集99集822頁 |
評釈等情報 |
 
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