概要情報
事件名 |
東北中谷 |
事件番号 |
宮城地労委 平成 2年(不)第5号
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申立人 |
宮城一般労働組合 |
被申立人 |
株式会社 東北中谷 |
命令年月日 |
平成 6年 4月19日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、(1)Y1監査役が、組合員X1に対して申立人組合からの脱退及び申立外組合への加入勧誘を行ったこと、(2)上級職制Y2課長代理らが、申立外組合の加入勧誘活動に便宜を図ったり、組合員X2らに対して申立人組合からの脱退を勧誘する等したこと、(3)下級職制らが就業規則に違反し又は職権を濫用して、申立人組合の組合員に対し組合からの脱退及び申立外組合への加入を勧誘する等したこと及び会社がこれを放置したことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 宮城地労委は、(1)、(2)について支配介入の禁止、(3)について下級職制らの行為を放置することによる支配介入の禁止を命じ、併せて文書交付を命じた。その余の救済申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人株式会社東北中谷は、申立人宮城一般労働組合の中谷支部組合員に対し、申立人 組合からの脱退及びゼンキン連合東北中谷労働組合への加入を勧誘することにより申立人組 合の運営に支配介入してはならない。 2 被申立人株式会社東北中谷は、下級職制等が就業規則に違反し又は職権を濫用して、申立 人組合からの脱退及びゼンキン連合東北中谷労働組合への加入を勧誘することを放置するこ とにより申立人組合の運営に支配介入してはならない。 3 被申立人株式会社東北中谷は、申立人宮城一般労働組合に対し、速やかに下記文書を交付 しなければならない。 記 当社の監査役、課長及び課長代理が、宮城一般労働組合東北中谷支部の組合員に対し、同 組合からの脱退及びゼンキン連合東北中谷労働組合への加入を勧誘したこと並びにゼンキン 連合東北中谷労働組合役員が、同組合への加入を勧誘するために視聴室を使用するについ て、当社課長代理が、特に便宜を図ったことは、宮城県地方労働委員会において、労働組合 法第7条第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。また、当社の係長補、主 任、班長等が、就業規則に違反し又は職権を濫用して、宮城一般労働組合東北中谷支部の組 合員に対し同組合からの脱退及びゼンキン連合東北中谷労働組合への加入を勧誘したことを 会社が放置していたことも、同様に労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である と認定されました。 よって、今後、再びこのような行為を繰り返さないようにいたします。 平成 年 月 日 株式会社東北中谷 代表取締役社長 Y3 宮城一般労働組合 執行委員長 X3 殿 同東北中谷支部 支部長 X4 殿 4 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
5121 挙証・採証
録音テープとその反訳の証拠能力は、民事訴訟上も認められており、編集、整理が極めて容易であるなどの特徴に十分留意し、関連する証拠の内容を総合的に検討しつつ、事実認定の基礎資料として用いることが適当であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
会社役員の行為は全く個人的立場で行ったことが疑う余地のない場合を除き、使用者の行為であり、X1の身元引受人であっても会社監査役が組合脱退を勧誘したことは会社の支配介入行為であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
課長代理らの上級職制の行為は、特段の事情のない限り、使用者の意を体して行われたと推定され、別組合への加入勧誘について便宜を図ったなどの行為は申立人組合への支配介入にあたるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
会社は、下級職制等が就業規則に反して勤務時間中に別組合加入勧誘行為を行っていたことを知りながら、その勧誘行為の効果を享受せんとする意図の下に放置していたと認められ、申立組合に対する支配介入にあたるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
X5主任は、その職務と関連づけて、別組合への加入を勧誘しており、職権濫用であり、これを放置した会社に、X5の行為の効果を享受しようとする意図が認められる以上、申立組合に対する支配介入であるとされた例。
2613 使用者と取引関係者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3421 使用者と取引関係者の言動
郵政職員X6による組合脱退工作は、別組合の組織拡大のために行ったとみるのが相当で、会社の意によるものとは認められず、会社にその責めを負わせることはできないとされた例。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集99集539頁 |
評釈等情報 |
 
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