労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東日本旅客鉄道(第2国労組合バッジ) 
事件番号  埼玉地労委 平成 3年(不)第6号 
埼玉地労委 平成 3年(不)第7号 
埼玉地労委 平成 3年(不)第8号 
埼玉地労委 平成 3年(不)第9号 
埼玉地労委 平成 4年(不)第2号 
申立人  国鉄労働組合東京地方本部 
申立人  国鉄労働組合東日本本部 
被申立人  東日本旅客鉄道 株式会社 
命令年月日  平成 6年 3月30日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、国労組合員の勤務時間中の国労バッジ着用は、就業規則違反であると注意・指導を行い、従わない組合員を戒告、訓告、厳重注意等にして、平成元年から3年まで各年度の夏季手当及び年末手当の支給に当たり賃金規定に定める「訓告を受けた者」又は「勤務成績が良好でない者」に該当するとして、夏季手当及び年末手当の支給に当たり平成元年から3年まで各年度の期末手当を基準額の5%減じて算定した額を支給したことが不当労働行為であるとして争われた事件である。
 埼玉地労委は、国労バッジ着用を理由とする戒告、訓告等の措置がなかったものとしての取扱い、平成元年から3年まで各年度の夏季手当及び年末手当の減額分の支払いと、組合バッジ取外しの強要など、組合運営への支配介入の禁止及び文書手交を命じ、その余の申立て(減額分の年6分の利息支給、陳謝文掲示)は棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、別紙組合員目録1から別紙組合員目録6までに記載の申立人ら所属の組合員 が昭和63年12月1日から平成3年9月30日までの間に行った申立人ら労働組合のバッジの着 用を就業規則に違反しなかったものとして取り扱うとともに、当該組合員の当該バッジ着用 を就業規則違反としてとらえて行った戒告、訓告、厳重注意及びその他の措置をなかったも のとして取り扱わなければならない。
2 被申立人は、別紙組合員目録1から別紙組合員目録6までに記載の申立人ら所属の組合員 に対し、申立人ら労働組合のバッジの着用が就業規則違反として取り扱われなかった場合に 支給されるべきであった平成元年度、平成2年度及び平成3年度の夏季手当及び年末手当相 当額と実際に支給されたこれら各年度の夏季手当及び年末手当の額との差額に相当する別紙 組合員目録1から別紙組合員目録6までに記載の金員を速やかに支払わなければならない。 
3 被申立人は、申立人ら所属の組合員に対し、申立人ら労働組合のバッジの取外しを強要す るなど、申立人ら組合の運営に支配介入してはならない。
4 被申立人は、申立人らに対し、下記文書を本命令書受領の日から5日以内に手交しなけれ ばならない。
                    記
                                 平成 年 月 日
   国鉄労働組合東日本本部
    執行委員長 X1 様
   国鉄労働組合東京地方本部
    執行委員長 X2 様
                         代表取締役 Y1
  当社が貴組合所属の組合員に対し、勤務時間中に貴組合のバッジを着用したことなどをと らえ、戒告、訓告、厳重注意及びその他の措置を行い、もって平成元年度、平成2年度及び 平成3年度の期末手当を減額したことは、貴組合の組合員に対して労働組合の正当な行為の 故をもってする不利益な取扱いであり、同時に貴組合の組合員に対して組合にとどまること に不安を抱かせ、ひいては、貴組合の組織の弱体化を企図した支配介入であると埼玉県地方 労働委員会から認定されました。
  よって、当社は、これらの行為について、命令に従った是正を行うとともに、今後このよ うな行為を行わないよう誓約いたします。
5 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  0210 リボン・ワッペン等の着用
本件勤務時間中の組合バッジの着用は、その必要性があり、その態様も実質的に労務の提供に影響を与えず、業務に支障を生じさせていないことが認められ、労働組合の正当な行為であるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合バッジ着用を就業規則違反として戒告、訓告等を行い、これを「勤務成績が良好でない者」として元年ない3年各夏季、年末手当を減額したことが申立組合員に対する7条1、3号に該当する行為とされた例。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
退職した組合員1名は、本件救済を放棄する意思表示をしておらず、申立人組合は同人に関する救済を受ける固有の利益を有するとされた例。

5201 継続する行為
本件元年以降の期末手当の減額支給は、会社の一貫した意思の下に行われ、そのたびごとに当該不当労働行為意思が顕在化し繰り返されてきたもので、各個の行為は連続して一体をなす「継続する行為」であるとされた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集99集385頁 
評釈等情報   

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