概要情報
事件名 |
星野学園 |
事件番号 |
埼玉地労委 平成 2年(不)第2号
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申立人 |
埼玉県私立学校教職員組合連合 |
申立人 |
星野学園教職員組合 |
被申立人 |
学校法人 星野学園 |
命令年月日 |
平成 6年 3月10日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、学園が、(1)組合員X1ら13名を組合員であることを理由に、主任に昇格させなかったこと、(2)主任昇格に関して、組合からの脱退を勧奨したり、自己申告、試験の実施、誓約書の提出、幹部協議会に対する諮問という手段を用い組合員の昇格を阻止したことが不当労働行為として争われた事件である。 埼玉地労委は、(1)について組合員X1及びX2の2名を主任に昇格させたものとして取扱い、速やかにその職務に就かせること、両名のバック・ペイについては、主任に昇格した場合の差額相当額を支給すること、(2)について公正かつ平等に組合員に試験の機会を与え、主任昇格の判断を行い、その結果、主任に昇格させるべき者と判断した場合には、主任として取扱い、速やかにその職務に就かせること、(1)(2)の文書手交を命じ、その余の申立ては、棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、X1及びX2を平成元年4月1日付で主任に昇格したものとして取り扱い、 速やかにその職務に就かせなければならない。 2 被申立人は、X1及びX2に対し、平成元年4月1日付で主任に昇格した場合に支給され るべきであった賃金相当額と実際に支給された賃金額との差額に相当する金員をそれぞれ支 払わなければならない。 3 被申立人は、主任昇格に関して、申立人星野学園教職員組合所属の組合員に対し、公正か つ平等に試験を受ける機会を与えるとともに、当該組合員に係る主任昇格の判断を公正かつ 平等に行い、その結果主任に昇格させるべき者と判断した場合は速やかに主任として取り扱 い、その職務に就かせなければならない。 4 被申立人は、申立人らに対し、本命令書受領の日から5日以内に下記文書を手交しなけれ ばならない。 記 平成 年 月 日 埼玉県私立学校教職員組合連合 中央執行委員長 X3 様 星野学園教職員組合 執行委員長 X4 様 学校法人 星野学園 理事長 Y1 当法人が、(1)平成元年度主任昇格手続において星野学園教職員組合所属の組合員X1及び 同X2を主任に昇格させなかったこと、(2)主任昇格に関し、組合員に対し組合員の身分のま までの昇格を良しとせず組合からの脱退を勧奨したこと及び自己申告等の手段を用い組合員 の身分のままでの昇格を阻止しようとしたことは、埼玉県地方労働委員会において、それぞ れ労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。今 後このような行為を繰り返さないよう誓約いたします。 5 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1200 降格・不昇格
元年度の主任昇格に当たり組合員2名を、「組合在籍者の幹部協議会入会は承認できない」旨の学園幹部協議会の意見を理由に、昇格させなかったことが、学園の組合に対する一連の態度等からみて不当労働行為とされた例。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
59年以降の主任昇格に当たり、学園が組合からの脱退を勧奨したり、幹部協議会への諮問を行うようにしたことが、一連の学園の態度からみて、組合に対する支配介入であるとされた例。
5201 継続する行為
学園の59年以降の主任昇格手続における差別及び支配介入行為は、一貫した不当労働行為意思のもと、そのたびに同意思が顕在化し繰り返されてきたもので、各個の行為は連続して一体をなしており、「継続する行為」にあたるとされた例。
4603 その他
主任昇格手続上の支配介入についての救済として、公正、平等な試験の機会を組合員に与えるとともに、主任昇格の判断を公正、平等に行うなどを命ずることが相当であるとされた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集99集276頁 |
評釈等情報 |
労働経済判例速報 平成6年6月10日 1527号 15頁 
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