概要情報
事件名 |
京葉タクシー |
事件番号 |
千葉地労委 平成 4年(不)第4号
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申立人 |
全国自動車交通労働組合総連合会千葉地方本部 |
被申立人 |
京葉タクシー 有限会社 |
命令年月日 |
平成 6年 3月 2日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)団交にY1所長を代理出席させ、実質的な討議を行わないこと、(2)組合員のみに対し、遅刻等による賃金カットをしたこと、(3)組合事務所として使用していた仮眠室の一部から机等を撤去し組合事務所としての使用を拒否したこと、(4)組合員に旅行補助金の支給を拒否したこと、(5)組合掲示板から掲示物を無断で剥がしたこと、(6)副委員長X1及び書記長X2の担当車両にタコグラフを装着したことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 千葉地労委は、(1)について回答の根拠となる資料を提示するなどした誠意ある対応、(3)について従前どおりの使用、(5)について使用妨害の禁止、(6)についてタコグラフの撤去を命じ、併せて(1)(3)について文書交付を命じた。その余の申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人所属京葉タクシー労働組合との団体交渉において、回答の根拠となる 資料を提示するなどして、誠意をもってこれに応じなければならない。 2 被申立人は、申立人所属京葉タクシー労働組合に対し、仮眠室の一部を従前どおり組合事 務所として使用させなければならない。 3 被申立人は、申立人所属京葉タクシー労働組合が会社事務室入口左壁を組合掲示板として 使用することに対し、組合に無断で掲示物をはがしたり許可制とすることにより、その使用 を妨害してはならない。 4 被申立人は、申立人所属京葉タクシー労働組合の副執行委員長X1と書記長X2の両名が 担当する車両に装着したタコグラフを、速やかに撤去しなければならない。 5 被申立人は、本命令受領後1週間以内に、下記文書を申立人及び申立人所属京葉タクシー 労働組合に交付しなければならない。 記 平成 年 月 日 全国自動車交通労働組合総連合会千葉地方本部 執行委員長 X3 様 京葉タクシー労働組合 執行委員長 X4 様 京葉タクシー有限会社 代表取締役 Y2 当社が、(1)全国自動車交通労働組合総連合会千葉地方本部所属京葉タクシー労働組合との 団体交渉に誠実に応じなかったこと、(2)仮眠室の組合事務所としての利用及び会社事務室入 口左壁の組合掲示板としての利用を禁止したこと、(3)同組合員2名の担当車両に対して、タ コグラフを装着したことは、今般千葉県地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号 ないし第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。 よって、当社は、今後このようなことを繰り返さないようにいたします。 6 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2248 実質的権限のない交渉担当者
労働条件の改善等に関する覚書の履行に関する団交に資料を示すこともなく、実質的決定権限のない所長をして団交に当たらせたことが、誠実な交渉を行ったとはいえないとされた例。
1203 その他給与決定上の取扱い
就業時間中の組合活動に対して賃金カットを行ったことが、従前の取扱いと異なるとしても、労使間の取扱いに関する協定がない現状では不利益取扱いではないとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合結成以来組合事務所として使用して来た仮眠室から机と黒板を撤去し、事務所としての使用を禁止したことが、会社専務が使用を認めていたこと、仮眠室としての使用に支障があったとの疎明もないことから支配介入とされた例。
2802 福利厚生資金に関する寄付・貸付等
会社主催の旅行に参加しなかった組合員らの旅行に補助金を支給しなかったことが、会社は、組合員の会社主催旅行への参加を認めていること等から不当労働行為ではないとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3020 組合活動への制約
従来、会社事務室の入口左壁を組合掲示板として使用を認めながら、壁が傷むなどの理由で、組合と協議することなく無断で掲示物をはがしたりしたことが支配介入とされた例。
1602 精神・生活上の不利益
3104 別組合利用・別組合員宅訪問
保有車両のうち組合委員長と書記長の担当車両にのみタコグラフを装着したことは、同人らを嫌悪した7条1、3号の不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集99集266頁 |
評釈等情報 |
 
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