概要情報
事件名 |
日建興業 |
事件番号 |
福岡地労委 平成 5年(不)第3号
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申立人 |
全国一般労働組合福岡地方本部 |
被申立人 |
日建興業 株式会社 |
命令年月日 |
平成 6年 1月28日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、組合員X1ら4名現工場から新規に賃借した作業所へ配転し、何ら業務支持をせず仕事を与えなかったこと、業務支持を求めたX1らの行動が業務命令違反であるとして警告書を交付し、出勤停止処分等に付したことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 福岡地労委は、配転を撤回し、従前の作業に復帰させること、警告書の交付、始末書提出命令及び出勤停止処分の撤回、出勤停止処分に係るバックペイ(但し、X1の行為の一部に行き過ぎがあったとして、同人に対するバック・ペイは半額控除)、文書掲示を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員のX1、X2、X3及びX4に対する平成5年4月15日付志免 作業所勤務命令を撤回し、本社・箱崎工場に戻したうえで、従前の作業内容に相応した仕事 を与えなければならない。 2 被申立人は、申立人組合員のX1、X2、X3及びX4に対する平成5年4月21日付警告 書、同月23日付始末書提出命令及び同年5月8日付出勤停止処分を撤回し、出勤停止処分が なければ得たであろう賃金と既支給額との差額相当額を支払わなければならない。 3 被申立人は、申立人組合員のX1に対する平成5年6月7日付出勤停止処分を撤回し、同 処分がなければ得たであろう賃金と既支給額との差額相当額の半額を支払わなければならな い。 4 被申立人は、本命令交付の日から7日以内に次の文書を縦55cm×横40cm(新聞紙1頁大) の白紙に明瞭に記載し、被申立人会社本社・箱崎工場の事務所入口等従業員の見易い場所に 10日間掲示しなければならない。 日建興業株式会社が行った下記の行為は、福岡県地方労働委員会により不当労働行為と判 断されました。 今後このような行為のないよう留意します。 記 1 全国一般労働組合福岡地方本部日建興業分会組合員のX1、X2、X3及びX4に対し て、平成5年4月15日付で志免作業所への配転を命じ、同配転後同人らに対して一切作 業支持を行わなくなった行為。 2 上記の者に対して、 (1)平成5年4月21日付で警告書を発した行為。 (2)平成5年4月23日付で始末書提出命令を発した行為。 (3)平成5年5月8日付で出勤停止処分を命じた行為。 平成 年 月 日 全国一般労働組合福岡地方本部 執行委員長 X5 殿 日建興業株式会社 代表取締役 Y1 5 その余の申立てについては、棄却する。 |
判定の要旨 |
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員全員を工場から作業所へ配転し、何らの作業指示も与えなかったことが、その後工場内の組合事務所を撤去したり、作業付与の要求に対して十分な説明を行っていないこと等からみて、組合員らの存在を嫌悪した不当労働行為とされた例。
1400 制裁処分
具体的業務指示を求めて工場に無断で出向いたことを理由に、組合員らに対して警告書、始末書提出命令及び出勤停止処分を行ったことが、合理的理由を欠き、作業所への配転等と同様に不当労働行為であるとされた例。
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3600 処分の差別
抗議行動の際の上司に対する言動を理由としたX6に対する2週間の出勤停止処分は、その言動の状況に比べて重きに失し、組合員の存在を嫌悪した会社がことさら過大視してなした不当労働行為とされた例。
4408 バックペイが認められなかった例
X1の2週間の出勤停止処分の救済に当たり、同人にも責められる点があることを考慮し、バックペイから一定額を控除し、ポスト・ノーティスを命じないことが相当とされた例。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集99集159頁 |
評釈等情報 |
 
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