労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ヤサカ研工 
事件番号  神奈川地労委 平成 1年(不)第16号 
神奈川地労委 平成 2年(不)第5号 
申立人  X2 
申立人  全日本造船機械労働組合関東地方協議会ヤサカ研工期間工分会 
申立人  X1 
被申立人  株式会社  ヤサカ研工 
命令年月日  平成 4年 7月27日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)賃上げ、一時金(酒肴料)支給等についての団交において、合理的理由の説明や資料の提示を拒否する等不誠実な交渉態度をとったこと、(2)組合執行委員長X1及び副執行委員長X2に対して、酒肴料を差別支給したことが争われた事件で、(1)については、誠実団交の実施、(2)については、バックペイ及び同様の行為による組合への支配介入の禁止並びに(1)及び(2)に関する文書掲示を命じた。 
命令主文  主   文
1 被申立人会社は、申立人組合の要求する賃上げ、一時金(酒肴料)支給についての団体交渉において、具体的な回答を行い、また、その理由について十分な説明や必要な資料を提供するなどして、誠意をもって団体交渉を行わなければならない。
2 被申立人会社は、申立人組合の要求する期間工から社員への登用基準及び酒肴料の支給基準を明示することについて、明確に説明を行い、誠意をもって団体交渉を行わなければならない。
3 被申立人会社は、申立人X1に対し、平成元年7月支給及び同年12月支給の各酒肴料について、同人の前回対比増額と期間工の平均前回対比増額との差額相当額に年5分の割合による金員を加算して支払わなければならない。
4 被申立人会社は、申立人X2に対し、昭和63年12月支給、平成元年 7月支給及び同年12月支給の各酒肴料について、同人と同時期入社の期間工のうち同人を除く平均的支給を受けていた期間工の平均支給額と同人の既支給額との差額相当額に年5分の割合による金員を加算して支払わなければならない。
5 被申立人会社は、申立人組合員に対して、酒肴料を他の従業員と差別支給をして、申立人組合の運営に支配介入してはならない。
6 被申立人会社は、本命令交付後、速やかに下記の文書を縦55cm、横80cmの白紙に楷書で明瞭に墨書し、被申立人会社の本社及びいすゞ自動車川崎工場内にある被申立人会社の作業所内において、それぞれ見易い場所に、き損することなく10日間掲示しなければならない。
            記
 当社の次の行為は、今般神奈川県地方労働委員会において、不当労働行為と認定されました。当社は、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
1 貴組合の賃上げ、一時金(酒肴料)の要求についての団体交渉において、具体的回答をせず、その理由について十分な説明や必要とする資料の提供などを行わず、一方的に決定したこと。
2 貴組合執行委員長X1及び副委員長X2に対し、酒肴料の差別支給をしてきたこと。
 平成 年 月 日
全日本造船機械労働組合関東地方協議会
ヤサカ研工期間工分会
 執行委員長   X1    殿

               株式会社ヤサカ研工
               代表取締役   Y1
7 申立人らのその余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
組合員である期間工2名に対する低査定による酒肴料の支給が不当労働行為に当たるとされた例。

2240 説明・説得の程度
期間工に対して支給している酒肴料に関する組合の要求に応じられないことについての合理的、具体的な説明や資料の提示を一切行わない会社の一連の態度は誠実な態度とはいえないとされた例。

2245 引き延ばし
組合の期間工の賃上げ要求に対して、労働契約外のものであり、団交の対象とはならないてして、形式的には団交に応じなから、実質上、組合の要求に耳を傾けない態度は誠実な態度とはいえないとされた例。

2240 説明・説得の程度
組合の期間工の社員登用基準を説明してほしいとの要求について、会社が具体的に何らの説明もしない等の交渉態度が不誠実であるとされた例。

4409 有期・臨時雇用者の救済
4413 給与上の不利益の場合
4420 団交を命じた例
期間工から社員への登用基準及び酒肴料の支給基準を明示することについて、明確に説明を行い、誠意をもって団交を行うよう命じた例。

4415 賃金是正を命じた例
酒肴料の差別支給の救済として、組合員X1については、同人の 7、12月支給の酒肴料の前回対比増額を会社主張による平均前回対比増額まで是正するのが適当とされた例。

4415 賃金是正を命じた例
酒肴料の差別支給の救済として、組合員X3については、同人の昭和63年12月、平成元年7月及び12月支給の酒肴料を同人及び支給額が明確でないX2を除く他の期間工の平均支給額まで是正するのが適当とされた例。

業種・規模  輸送用機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集95集84頁 
評釈等情報   

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