労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  トモエタクシー 外1社 
事件番号  大阪地労委 平成 2年(不)第31号 
大阪地労委 平成 2年(不)第48号 
申立人  トモエ労働組合 
被申立人  トモエタクシー 株式会社 
被申立人  トモエ自動車 株式会社 
命令年月日  平成 4年12月21日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社らが、(1)別訴高裁の確定判決に反して組合員X1を原職復帰させなかったこと及びX1に営業収入上不利な形態の勤務を命じたこと、(2)組合員X2に転勤を命じたこと及び同命令の拒否を理由に解雇したこと、(3)組合員X3に対し不利な形態の勤務を命じる等したこと、(4)組合員X4に出向を命じたこと、(5)組合から申し込まれた団交を、組合員らが依然別組合の組合員である等として拒否していることが争われた事件で、申立期間を経過した部分を却下したほか、組合員が所属しているそれぞれの会社に対し、(1)(2)(3)(4)のそれぞれについては、原職復帰あるいはバックペイ等を、(5)については、団交拒否の禁止を命じ、併せてそれぞれに関する文書掲示及び組合への支配介入の禁止を命じた。 
命令主文  主   文
1 被申立人トモエタクシー株式会社は、申立人組合員X1に対し、平成元年10月15日以降原職復帰があったものとして取り扱うとともに、同年12月14日以降につき行った乗務命令(昼勤6車7人制)がなかったものとして取り扱い、同人を2車3人制の勤務形態に戻すとともに、同年10月15日から 3年 3月21日までの間、同人が受けるはずであった賃金及び一時金相当額と既に支払いを受けた賃金及び一時金との差額並びにこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。
2 被申立人トモエ自動車株式会社は、申立人組合員X2に対し、平成元年6月1日付けで行った徳庵営業所への転勤命令及び2年9月1日付けの論旨解雇がなかったものとして取り扱い、同人を原職に復帰させるとともに、元年6月1日から原職に復帰させる日までの間(同年6月3日から同月16日の間を除く)、同人が受けるはずであった賃金と既に支払いを受けた賃金との差額及び一時金相当額並びにこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。
3 被申立人トモエ自動車株式会社は、申立人組合員X3に対し、平成元年 8月21日から 2年 4月30日の間行った乗務命令(隔日勤務)及び同年 5月 1日以降に行った出入庫時間の厳守命令がなかったものとして取り扱い、同年 8月21日から 3年 3月21日までの間、同人が受けるはずであった賃金及び一時金相当額と既に支払いを受けた賃金及び一時金との差額並びにこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。
4 被申立人トモエタクシー株式会社は、申立人組合員X4に対し、平成 2年 8月21日付けで行ったトモエ交通株式会社佐太営業所への出向命令がなかったものとして取り扱い、同人を原職に復帰させるとともに、同日から 3年 3月21日までの間、同人が受けるはずであった賃金及び一時金相当額並びにこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。
5 被申立人らは、「トモエタクシー労働組合及びトモエ自動車労働組合からX1ら4名は当該組合の組合員である旨の申入れがあり、団体交渉に応じることは労働組合の内部問題に介入することになる」旨の理由により、申立人との団体交渉を拒否してはならない。
6 被申立人トモエタクシー株式会社は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
            記
                     年  月  日
トモエ労働組合
 執行委員長 X1 殿
               トモエタクシー株式会社
               代表取締役   Y1
 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
            記
 (1) 貴組合員X1氏に対し、平成元年10月15日以降原職復帰させなかったこと及び同年12月14日以降につき昼勤 6車 7人制乗務を命じたこと
 (2) 貴組合員X4氏に対し、平成 2年 8月21日付けでトモエ交通株式会社佐太営業所への出向を命じたこと
 (3) 貴組合から申入れのあった団体交渉に応じなかったこと
7 被申立人トモエ自動車株式会社は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
            記
                     年  月  日
トモエ労働組合
 執行委員長 X1 殿
               トモエタクシー株式会社
               代表取締役 Y1
 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
            記
 (1) 貴組合員X2氏に対し、平成元年 6月 1日付けでトモエ自動車株式会社徳庵営業所への転勤を命じたこと及び 2年 9月 1日付けで論旨解雇を行ったこと
 (2) 貴組合員X3氏に対し、平成元年 8月21日から 2年 4月30日の間、隔日勤務乗務を命じたこと及び 2年 5月 1日以降も出入庫時間厳守を命じたこと
 (3) 貴組合から申入れのあった団体交渉に応じなかったこと
8 被申立人らは、今後、申立人組合員らに対し、申立人組合員であること又は正当な組合活動を行ったことを理由に、賃金の低下をもたらすような乗務命令の変更を行ってはならない。
9 申立人のX2に対する隔日勤務命令及び出勤停止処分並びにX3に対する平成元年 2月20日から同年 8月20日の間の隔日勤務命令の撤回にかかる申立てについては却下する。 
判定の要旨  1102 業務命令違反
組合員X2を本社営業所から他の営業所への転勤命令を拒否したことを理由に論旨解雇したことが不当労働行為に当たるとされた例。

1302 就業上の差別
別件大阪高裁判決によって復権が確定した本件申立人X3も原職に復帰させず、解雇前の2車3人制ではなく6車7人制乗務を命じ、約3か月続けさせたことが不当労働行為に当たるとされた例。

1300 転勤・配転
トモエ自動車が組合員X2を本社営業所から他の営業所へ転勤を命じたことが不当労働行為に当たるとされた例。

1302 就業上の差別
トモエ自動車が組合員X3に対して2車3人制から隔日勤務を命じ、その後2車3人制に戻したが、出入庫時間を厳守するよう命じるなど従前の勤務形態に戻していないことが不当労働行為に当たるとされた例。

1300 転勤・配転
トモエタクシーが組合員X4を本社営業所からX3グループのT交通営業所へ出向を命じたことが、同人が組合書記長に就任したことを嫌悪してなした不当労働行為に当たるとされた例。

2235 その他組合の態度
多数派組合が申立人組合所属の組合員4名は同組合の組合員であると主張しており、申立人組合と団交をすることは労組内部問題に介入することになるとして団交に応じなかったことが不当労働行為に当たるとされた例。

4601 「抽象的不作為命令」を命じた例
被申立人両社の組合への介入行為は、今後とも繰り返されるおそれがあるとして不作為を命じた例。

5200 除斥期間
トモエ自動車が組合員X2に対して行った乗務命令及び出勤停止処分の撤回についての救済申立ては、行為の日より1年以上経過してなされていることから却下された例。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集95集725頁 
評釈等情報   

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