労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ワタナベ学園 
事件番号  埼玉地労委 平成 3年(不)第4号 
申立人  越谷地域労働者連合組合 
被申立人  学校法人  ワタナベ学園 
命令年月日  平成 4年12月10日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  学園が、(1)「特約」があるなどとして一部組合員に対して組合との賃金協定を実施しなかったこと、(2)一時金の支給に際して非組合員ら 3名に対し「特別報奨金」を支給したこと、(3)組合加入を妨害するなどしたこと、(4)団交において理事長が欠席する等不誠実な交渉態度をとったこと、(5)本件救済申立1ヶ月後に非組合員に対して金員を支給したこと、(6)組合との確認書に反して組合員Iの住宅手当支給を一方的に中止したことが争われた事件で、(4)については、理事長出席の努力を、(3)については、支配介入行為の禁止を、(1)に関し「特約」についての組合員への説明が不十分であったことなど(1)(2)(4)(5)(6)についての文書掲示を命じた。 
命令主文  主   文
1 被申立人は、学園支部との団体交渉を行う際、労使の信頼関係を確立させ合理的かつ円滑な労使関係を実現するために、可能な限り理事長が出席するよう努力し、理事長が欠席して、理事長が委任した者を出席させる場合は、その権限の範囲を明確にして、誠実に交渉を進めなければならない。
2 被申立人は、組合加入を嫌悪する発言をするなどして、申立人の組織及び運営に支配介入してはならない。
3 被申立人は、本命令書受領の日から5日以内に、下記文書を縦 1.5メートル、横 2メートルの白紙一杯に明瞭に墨書して、被申立人の本部正面玄関の教職員の見やすい場所に7日間掲示しなければならない。(年月日は掲示した日を記載すること。)
            記
                平成  年  月  日
越谷地域労働者連合組合
 議長 X1 様
                学校法人ワタナベ学園
                 理事長    Y1
 当学園が行った下記の行為は、埼玉県地方労働委員会において、不当労働行為であると認定されました。
 今後は、このような行為を繰り返さないよう誓約いたします。
            記
 (1) 学園支部との団体交渉において、交渉を進展ないしは活発化させると言明しておきながら、前言をひるがえし、交渉継続を拒否するかのような態度を示したこと。
 (2) 既に従前の団体交渉で労使が合意、了承した内容を覆す態度に出たこと。
 (3) 学園支部と交渉中の事項に関して、学園の職制が一方的に個別組合員に対して業務指示を行ったこと。
 (4) 平成3年度賃金交渉において、「特約」の存在を主張するのみで、学園支部及び「特約」があるとされる学園支部所属の組合員に十分な説明を行わなかったこと。
 (5) 平成2年度冬期一時金及び平成3年度夏期一時金の支給の際に、学園支部に十分な説明をせず、一部の非組合員に対し、一時金のほかに金員を支給したこと。
 (6) 平成3年6月、学園支部に対し何ら説明することなく、非組合員に金8万円を支給し、及び、支給しようとしたこと。
 (7) 平成 2年11月28日付けの確認書があるにもかかわらず、学園支部に対し何ら説明することなく、組合員X2の住宅手当を不支給としたこと。
4 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  2249 その他使用者の態度
理事長が団交に殆ど出席せず、労使間で合意された内容に対して、理事長が異議を唱えて交渉を無意味なものにする等学園の団交への対応は不誠実であるとされた例。

2249 その他使用者の態度
3103 労働協約締結をめぐる行為
平成 3年度賃金につき協定書が作成されたが、理事長は、組合員 6名について「特約」があることを理由に協定の実施を拒み、「特約」に関する交渉を拒否したことが労組法7条2、3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

2625 非組合員化の言動
学園は職員採用時に組合に加入しないとの誓約書に署名、捺印させているとの事実につき認定するに足る十分な疎明がないとして棄却した例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
学園理事長が組合員に対して、組合からの脱退を慫慂したことが支配介入に当たるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2625 非組合員化の言動
園長が従業員に対して組合加入を阻止するかのような言動を行ったことが支配介入に当たるとされた例。

2900 非組合員の優遇
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
平成2年度冬期一時金及び平成3年度夏期一時金の支給に当たり、非組合員に対してのみ特別報奨金を上乗せ支給したことが支配介入に当たるとされた例。

2900 非組合員の優遇
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
学園が平成3年度賃金協定書により組合に解決一時金を支払うこととしたことが非組合員との間に逆差別になるとして、同金額相当額を非組合員に支給したことが支配介入に当たるとされた例。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
学園が組合との確認書を無視して、組合員X2に対し住宅手当を支給しなかったことが、組合の存在とその役割を否定する支配介入に当たるとされた例。

5200 除斥期間
理事長の発言は、本件申立より1年以上前の事実であり、申立期間を徒過しているとして却下された例。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集95集545頁 
評釈等情報   

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