労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日立エレベーターサービス 
事件番号  大阪地労委 昭和60年(不)第11号 
申立人  全日自労建設農林一般労働組合 
被申立人  株式会社  日立エレベーターシステムサービス 
命令年月日  平成 4年10月 6日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、昭和56年以降継続して、昇給・進級査定及び人事等級の格付審査において不利益の取り扱うことにより、賃金及び一時金について組合員を差別したことが争われた事件で、昭和59年以前に係る申立てについては、申立期間の経過を理由に却下したが、同60年以降に係る申立てについて、人事等級・基本給の是正、昇給・一時金の再査定、職能給の是正、バックペイ及び文書手交を命じた。 
命令主文  主   文
1 被申立人は、申立人組合員の(1)昭和58年 5月21日及び59年 5月21日付けの人事等級及び職能等級、(2)58年 5月21日及び59年 5月21日付けの昇給の査定点、(3)59年夏季及び年末一時金の査定点を、それぞれ次のとおり行ったものとして取り扱わなければならない。
 (1) 次表(i) 及び(ii)記載の申立人組合員の58年 5月21日及び59年 5月21日付けの人事等級を、人事等級を表す数値(但し、副参事は除くものとし、M級・専称は0として取り扱う)の標準年令別の平均値において、大阪営業所管内の事業所に勤務していた組合員以外のM級・専称以下の高卒従業員と均衡を失することがないよう格付けしなおすこと。
 (2) 次表(i) 及び(ii)記載の申立人組合員の58年 5月21日及び59年 5月21日付け昇給の査定点の平均、並びに59年夏季及び年末一時金の査定点の平均が、上記(1)による人事等級の是正後の査定区分ごとに 100点となるよう再査定すること
 (3) 次表(i) 記載の申立人組合員の58年 5月21日及び59年 5月21日付けの職能等級を、同人らの同日付けの職能等級を表す数値の標準年令別の平均値において、大阪営業所管内の事業所に勤務していた組合員以外のM級・専称以下の高卒技術職従業員と均衡を失することがないよう格付けしなおすこと。
 (4) 上記(1)ないし(3)の人事等級及び職能等級の格付け、並びに昇給及び一時金の査定は、申立人組合員それぞれが既に受けていたものより低位となることがない限度で行うこと。
 表(i)略

 表(ii) 略

2 被申立人は、前項による是正後の昭和58年度及び59年度の人事等級別、標準年齢別基本給の平均額が、同じ人事等級、標準年齢に属する大阪営業所管内の事業所に勤務していた組合員以外のM級・専称以下の高卒従業員の基本給の平均額となるよう各組合員の両年度の基本給を是正し、同時に前項に基づき賃金を決定して、これと既に支払われた賃金額との差額及びこれに各支給日の翌日から同差額支払い日まで年率5分を乗じた金額を、それぞれ支払わなければならない。
3 被申立人は、第1項及び第2項に基づいて各組合員の昭和59年の一時金を決定し、これと既に支払われた一時金の額との差額及びこれに各支給日の翌日から同差額支払い日まで年率5分を乗じた金額を、それぞれ支払わなければならない。
4 被申立人は、第2項及び第3項による是正に当たり、申立人組合員それぞれが既に受けていた基本給、賃金及び一時金の金額を不利益に変更してはならない。
5 被申立人は、申立人に対し、速やかに下記の文書を手交しなければならない。
            記
                    年  月  日
全日自労建設農林一般労働組合
 中央執行委員長 X1  殿
            株式会社日立ビルシステムサービス
               代表取締役  Y1
 当社が、関西支社(旧大阪営業所)管内の事業所に勤務していた貴組合員以外の従業員に比し、貴組合員の昭和58年 5月21日及び59年 5月21日付けの人事等級及び職能等級を低位に格付けし、また、同日付けの昇給並びに59年夏季及び年末一時金を低位に査定し、もって賃金及び一時金において差別したことが、大阪府地方労働委員会において労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
6 昭和56年度、57年度の人事等級及び職能等級の格付け、昇給及び一時金の査定、賃金及び一時金の額に係る申立て、並びに、58年の一時金に係る申立ては却下する。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
組合員が組合員以外の従業員に比し、集団として人事等級で低位に格付され、低い昇給査定を受け、基本給において低額であったことが不当労働行為に当たるとされた例。

1202 考課査定による差別
職能等級で低位に格付されて仕事給が低額であったことが不当労働行為に当たるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
低い一時金査定を受け、一時金が低額であったことが不当労働行為に当たるとされた例。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
審査中に退職したX2は、特段の意思表示があったとの疎明がないので、同人についての組合の救済申立てもなお適法であるとされた例。

4415 賃金是正を命じた例
申立人は、人事等級及び基本給について標準者への是正を求めたのに対して、大阪高卒従業員平均と均衡を失しないように是正することを命じた例。

4415 賃金是正を命じた例
昇給及び一時金については、人事等級を是正した後の査定区分に従い、組合員の昇給及び一時金の査定点の平均が 100点となるよう各年度において再査定した査定点を用いることを命じた例。

5008 その他
組合員と組合員以外の従業員の人事等級、職能等級及び賃金の格差に合理性がなく、不当労働行為であるとされた以上、その救済措置として必要な範囲で、これらを是正するよう命じることは労委の権限に属するとされた例。

5121 挙証・採証
賃金査定、昇格、格付等の審査で、集団的比較を行う場合、組合員の労働力の評価、勤務成績が他の従業員とほぼ等しいとの推論が一応成り立ち得る場合、この推認を覆すに足る事実の立証責任は会社にあるとされた例。

5200 除斥期間
昇給、進級査定または昇格審査とこれに基づく賃金決定及び毎月の賃金支払いとは、一体として一個の不当労働行為をなすものとみるべきで、その賃金の最後の支払い時から1年以内の申立ては適法であるとされた例。

5200 除斥期間
各一時金の査定は、それぞれ独立して行われ、その査定に基づく支給も1回限りのものであるとして、本件申立てのあった日から1年以上前の一時金に係る申立てを却下した例。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集95集250頁 
評釈等情報   

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